打たれてへこむ悔いではなく、打たれても周りの杭を引き上げたい

定額残業代(その1)

時間外労働(いわゆる残業)については、労働基準法により事業主は時間外労働に対して割増賃金を支払わなければなりません。

時間外労働時間に応じて時間外手当等を支給するのが最もポピュラーな方法だとおもいますが、一方で毎月の給料の中、あるいは特定の手当の中に一定時間分の残業代(割増賃金)が含まれているという運用をしている会社も増えてきているように感じます。

単なる偶然かもしれませんが、最近見た事例では45時間分の残業代が含まれているとしているケースが目につきました。

そもそも、この定額残業代という方式を採用することの可否ですが、労使が合意していれば契約自由の原則により、基本的には可能です。

ただし、いくつか注意しなければならない点があります。

①通常の労働時間の賃金にあたる部分と時間外及び深夜の割増賃金にあたる部分とを判別できる必要があり、これが算定できない場合には無効となります。
つまり、「基本給の中に毎月XX時間分の時間外手当を含むものとする。」あるいは、「職務手当には月XX時間分の時間外手当を含むものとする。」というような定め方が必要となります。

②①で定めた時間を超過して時間外労働が行われた場合には、超過した分の割増賃金を支払う必要があります。すなわち、合意した時間を超過した場合に割増賃金を支払わなければ、労働基準法37条違反となります。

③仮に固定残業代に相当する手当(例えば「職務手当」)を支給するような場合には、その手当が残業代XX時間分であることを明らかにするとともに、その額が法所定の金額を下回っていないことが必要となります。

④基本給の中に一定の割増賃金が含まれるという方式の場合は、誰でも割増賃金相当額が計算できるように就業規則(賃金規程)に計算式等をきちんと定めておく必要があります。

なおこの点については、金額の明示が必要とする考え方もあるので、就業規則等で定めた算式に従い、固定残業代部分の金額を労働者に個別に明示しておいた方が無難です。

ある会社に労基署の調査が入った時に、賃金規程で計算方法の定めがされており、労働者はイントラシステム上でその規程にいつでもアクセスすることができるようになっていたため固定残業代の制度自体は問題とはされませんでしたが、給与明細上で残業代相当分を明示するよう指導を受けたことはあります。ですので、金額そのものの明示がなくてもは、固定残業代の効力が否定されるものではありませんが、傾向としては金額を明示したほうが無難だと思います。

⑤当然ですが、最低賃金を下回っていないことも必要です。月給制で基本給のなかに一定時間数の割増賃金が含まれているとした場合、割増賃金部分相当額を除いた基本部分で最低賃金を上回っているかを確認することが必要です。

月給制の場合、最低賃金を上回っているかの確認は、以下のように行います(厚生労働省HPより)。

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

・給料が基本給のみで構成され月額20万円とし、このなかに45時間相当分の時間外手当(割増

賃金)が含まれているものとします。

・1日の所定労働時間を8時間、1年間の所定労働日数を240日とします。

この場合、 20万円÷(8時間×20日+45時間×1.25)=約924円となり、平成22年度で最も最低賃金が高い東京(821円)を上回っていますので最低賃金には抵触しません。

仮に、上記の条件で月給が17万円となった場合に同様の計算を行うと、時間当たり786円となり東京や神奈川(818円)では最低賃金を下回ることになります。

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