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200%定率法が会計に与える影響

平成23年の税制改正で従来の250%定率法から200%定率法への変更が予定されていますが、会計上どのような影響がでるかを考えます。

現行の250%定率法は平成19年の税制改正で導入されましたが、この平成19年の改正に伴い「減価償却に関する当面の監査上の取り扱い」(監査・保証実務委員会報告81号)が公表されました。
平成19年改正の250%が200%に変更されているだけですので、まずはこの委員会報告の内容を簡単に確認しておきます。

この委員会報告のポイントを要約すると以下のとおりです。

①法人税法に規定する普通償却限度額(耐用年数の短縮による場合及び通常の使用時間を超えて使用する場合の増加償却額を含む。)を正規の減価償却費として処理する場合においては、企業の状況に照らし、耐用年数又は残存価額に不合理と認められる事情のない限り、当面妥当なものと取り扱われる。

② 法人税法上の減価償却計算に係る規定は、各事業年度の課税所得の計算上、損金算入できる金額の限度額を計算することを目的にしたものなので、会計上は改正前の定額法、定率法を継続して採用することができる。そのため、従来採用していた減価償却の方法を変更する場合には会計方針の変更に該当する。

③既存資産について従来の旧定率法を採用していた場合に新規取得資産について定率法を,あるいは,従来の旧定額法を採用していた場合に定額法を採用する場合には,法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱われる。
一方で、旧定率法から新定額法等の変更は、税法の改正を変更の理由とすることはできず合理的な理由が必要とされる。

既存資産の償却方法を変更することは,税法の改正を理由としない減価償却方法の変更であり,会計方針の変更として取り扱われる。すなわち、単に法人税法の改正を理由とするだけでは正当な理由に該当しないため,変更理由の合理性(変更の適時性等)が必要となる

そして、上記の④があるため通常は平成19年4月1日以降に取得した資産のみ改正後の方法によっているケースが一般的だと思います。
そもそも税法が変更したからそれに合わせて変更しているわけですから、その変更にそれ以外の合理的な理由を求めるのは無理な話です。

さて、そこで平成23年改正予定の200%定率法ですが、平成19年改正と同様の取り扱いになるのかが問題となります。
平成19年改正時と異なるのは、平成23年4月1日以降開始事業年度から適用される「会計方針の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」が適用されることとIFRSへの対応を考慮しなければならないという二点です。

まず、「会計方針の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」ですが、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更は正当な理由による変更と認められますが(第5項(1))、特定の経過的な取扱い(適用開始時に遡及適用を行わないことを定めた取扱いなどをいう。以下同じ。)が定められていない場合には、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用することが原則とされます(第6項(1))。

しかしながら、減価償却方法の変更については、会計方針の変更であるものの例外的に見積りの変更と同様に取り扱うこととされています(19項・20項)。
したがって、減価償却方法の変更は、遡及修正は不要で、将来に向けて修正を行えばよいこととなります。

以上のことから考えると、平成19年改正と同様、平成23年4月1日以降に取得した固定資産についてのみ改正後の償却方法を採用することができるのではないかと考えられます。

ところが、次にやっかいなのはIFRSへの対応です。IFRSでは定率法が認められないというようなことを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、IAS16号(固定資産)では減価償却方法として定率法も認められています。

しかしながら、一方で、使用する減価償却方法は、当該有形固定資産の経済的便益が企業によって費消されるパターンを反映しなければならない(IAS16号60項)とされており、税法上の定率法によった場合、その定率が経済的便益の費消パターンであること合理的に説明することが困難なため定率法を採用することは難しいと言われています。

前述の委員会報告によると既存資産について改正後の方法を採用するのは困難な一方で、逆にIFRSの観点で考えると、(仮に定率法が問題ないとした場合であっても)と4月1日前後で購入した全く同種の固定資産で経済的便益の費消パターンが異なるという合理的な説明は困難だと考えられますので、IFRSではこのような変更は認められないのではないかと考えられます。

現在の潮流からするとIFRSを無視できないので、委員会報告が改正され、むしろ既存資産についても統一的に償却方法を変更すべきというような結論になるのではないかと予測します。

<2011/3/25追記>

日経新聞によると「法人課税の5%引き下げや、高所得者を対象とした所得税の増税、環境税の導入などを盛り込んだ2011年度税制改正が実現するメドがまったく立たず、軒並み「棚上げ」状態のまま新年度を迎える見通しだ。」ということですので、とりあえず200%定率法についても実現しない可能性が高くなってきました。
4月以降に法案が成立した場合、遡及適用される可能性もありますが、期首からある程度期間が経過してしまうと企業側の処理も混乱するのでやはり1年遅れということになるような気がします。

日々成長。

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