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出る杭はもっと出ろ!

2011年経済危機?

今回は、「2011年本当の危機が始まる!」(朝倉 慶 著:ダイヤモンド社)という書籍が思いのほか、興味深かったので紹介します。この著者の本を読むのは初めてでしたが、著者の略歴に船井幸雄氏が「経済のプロ・K氏」と紹介したというのをみて購入してみました。

朝倉氏は、現在の状況は債券バブルの状況にあり、日本がデフレの脱却に躍起になっている一方で、世界はインフレに向かっているという主張をしています。

確かに、日本という国の財政状態がいかに悪化していても反応しない長期金利の動向を見ていると債券バブルという状態にあると言われてもやむをえないように思います。

同書で私が面白いと感じた点を紹介します。以下「」内は基本的に同書の要約です

「アメリカにおいても、米個人投資家協会の調査によると、米国人の個人金融資産に占める株式の比率は2010年の年初64%から7月には52%に急減している。現に、ニューヨーク証券取引所の売買高でみると、2010年8月には9億9000万株と2000年以降初めて10億株を下回っている。にもかかわらず、株式市場は堅調な上昇局面にあり、2010年9月には歴史的な上げを記録するなど、株価の動きは予想以上に強くなっている。これは、FRBによる追加金融緩和などによるインフレを意識した動きとなっている。」

個人金融資産に占める株式の比率の下落割合は顕著ですが、下がったと言っても日本と比較すると非常に高い割合のような気がします。
日銀の資金循環統計から2010年3月時点の状況を確認すると家計の総資産が1457兆円に対して、このうち株式(出資金含む)が106兆円であるので比率でいうと7.3%程度に過ぎません。ちなみに大部分は現金・預金 798兆円で、54.8%を占めます。

「リーマン・ショックが起きる直前の2008年9月12日とその2年度の2010年9月13日を比べてみると、インド株は約37%高、中国の上海市場は約29%高、ブラジルも同じく30%高、韓国も23%高となっている。英国、ドイツは下げた分を戻した形でほぼ変動ない一方で、米国は8%安、日本は23%安となっており、突出して安くなっている。日本株の配当利回りが現在2.13%となっている一方で、10年物国債利回りは1%前後であり両者の間でこれほど異常な乖離が起こったことはない。」

「米鉄道大手のノーフォークサザンは2010年8月23日、償還期限が2105年、利率6%の債券の発行を決めた。米国の30年物国債の利回りが3.8%なので、6%の利率にひかれて申し込みが殺到している。日本では、ソフトバンクの3年債の利率は1.24%、同社が1年前に発行した3年債に比べて4.52%に比べて3.28%も低い利息となっている。」

償還期間が100年を超えると固定金利はいくらなんでも厳しい気がしますが、これも債券市場が整備されたことの恩恵なのか申し込みが殺到するというのは異常ではないでしょうか。また、いくらソフトバンクが好調でも1年でここまで利率が違うとは知りませんでした。

「いまや米国でも債券ブームが始まっている。取引可能な残高が8兆1800億ドル(約700兆円)と言われる米国債市場にあって、国内勢の保有比率は5月の時点で50.2%にも達した。」

元々どのくらいの割合であったのかについては述べられていませんでしたが、従来の米国人の国民性からすると大分傾向が変わってきていると言えそうです。特に米国でも日本と同じようにデフレ基調に陥ってきたという話も聞きますので、今後の米国の動向にも注意が必要だと感じました。

「1994年、当時のクリントン政権は財政再建に打って出ました。膨らむ財政赤字に債券市場が警鐘を鳴らし、金利が上昇し始めたからでした。それでも当時の米国2年物国債は7%の金利でした。それが2010年10月12日にはなんと0.335%という史上最低水準になったのです。また10年物国債の金利は8%だったのが、10月6日には2.35%まで低下しているのです。」

上記に続き筆者は94年と比較して米国の借金は数倍に増えていること、イラクやアフガン戦争で国力が衰退していることを述べています。にもかかわらず、債券市場において金利が低下しているのはバブルであると述べています。特に最近のオバマ政権の大盤振る舞いでさらに財政が悪化しているということなので、信用力という点では低下しているというのが妥当な判断だと思います。

そして「世界的に資金は山のようにあまり行き場がないことが異常なバブルを発生させているのです」としています。

不景気な経済で生活していると「世界的に資金は山のようにあまり」という部分が実感しにくいですが、確かに上場企業の中には無借金の会社も散見されますし、金利が低いからといって設備投資が積極的に行われているとは思えません。どちらかと言えば先行きがわからないので設備投資していいのか判断に困っているという状況のように感じます。

現に「2010年7月7日に全国銀行協会が発表した預金貸出金速報によると、日本全国の銀行の貸出金残高に対する預金の超過額は6月末時点で約150兆円。2000年以降膨れ上がる一方」とのことです。

2011年2月末の預金貸出金速報でも総預金569兆円であるのに対して、貸出金は415兆円で6月末の状況と大きく変動はないようです。この余りある預金を流動性を確保したうえで運用しなければならないという結果債券に資金が集まっているという解釈が成り立ちます。

「10年物国債の金利が2003年6月に0.44%という記録的な低金利を付けた時は、債券が天井知らずで買われたときでしたが、その当時でさえ銀行の国債保有額は87兆円でした。現在、銀行の国債保有額は140兆円に上ります。」

現時点で2011年1月までの統計数値が日銀で公表されていますが、銀行の国債保有金額は以下の通り2011年1月末時点で146兆円となっており、2010年1月からの推移でみると基本的に徐々に増加しているといえます。

しかしながら、一方で日本証券業協会が公表している公社債投資家別のデータをみると都市銀行は以下のように2010年8月から売り越しに転じているという状況にあります。これが公社債に対する投資のリスクを考慮したものであるとすれば危険な兆候と言えますが、今後の傾向にも注意したいと思います。

「1929年大恐慌のとき、債券市場はまだ整備されておらず、債権は満期まで持つものであった。債券市場が整備され、途中でも売買できるようになったのは、つい1970年代からのことである。だから世界的な債券相場の大暴落などという歴史はない。」

このあたりの歴史は全く知りませんでしたが、流動性(途中での換金)を保つ仕組みが整備されてきたことは、直観的には信用リスクの実態よりも低い金利での流通につながるような気がします。

この点、流動性が保たれることのプレミアムがどの程度あるのかについては、難しいところですが、参考となる事例としては2004年の西武鉄道の上場廃止があります。西武鉄道のケースは経営実態に粉飾等があったわけではなく、有価証券報告書の大株主の持株比率に虚偽の記載があったに過ぎませんでしたが、同社が上場廃止を発表した際には公表直前の株価が1081円であったところ、11月16日には249円(約77%の下落)となりました。上記の下落の全てが流動性のプレミアムを失うことによる下落ではないと言えますが、といって流動性を失うことのプレミアムは小さくはないと思います。

「日本の国内企業の2010年3月末の現預金残高は144兆2400億円、これは前年比で9%増、140兆円という膨大な金額になったのは1990年以来で、まさに金余りはバブル期に匹敵している状態。米欧の企業も事情は同じで、米企業は約150兆円(前年比2割増)、欧州企業は約180兆円。こうして余剰となっている資金が銀行に預金としてプールされ、その資金が結果的に、日米欧とも国債の買い付けに回っていると考えればよい。」

このデータの出所は明示されていませんでしたが、前述の統計からすると2010年3月の国内銀行の国債保有残高が135兆円なので大部分が国債で運用されているということになります。

「日本国債の投資家別の保有比率をみると、銀行が38%、民間の保険・年金が24.4%、問題の公的年金が11.6%、家計が5.0%、海外投資家が4.6%、その他が16.4%となっている。この内訳の中で公的年金がこれからは売り手になってしまうというのは深刻な変化である。」

上記は、2010年7月13日の日経新聞に掲載された「年金積立金、減少進む」という記事を受けてのものでしたが、年金については今後もらう人たちが増えていくわけなので今後は公的年金が国債の売り手に回るというトレンドは続くと考えるのは妥当な考えだと思いました。

長くなったので、続きは次回以降にします。

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