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機能通貨の変更の処理-IAS21

IFRSを適用している子会社で機能通貨を変更した場合はどのように処理すべきかが今回のテーマです。IFRSではIAS21号「外国為替レート変動の影響」において外貨換算について規定されています。

日本基準では、外貨建取引等の会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第4号)において「多通貨会計」について一部触れられているものの、「機能通貨」という概念はないので、そもそも「機能通貨」とは何かから確認することにします。

1.機能通貨の定義

IAS21号第8項において、機能通貨とは、「企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨をいう」とされています。

2.機能通貨を決定するための具体的な考慮要因等

「企業が営業活動を行う主たる経済環境とは,通常,企業が主に現金を創出し支出する環境をいう」(第9項)とされ、以下の要因を優先的に考慮して決定するものとされています。

①売上に関連する事項

・財貨及び役務の販売価格に大きく影響を与える通貨。多くの場合、財貨や役務の販売価格が表示され,決済されるときの通貨が機能通貨に該当する

・競争力及び規制が財貨と役務の販売価格を主に決定することになる国の通貨

②仕入に関連する事項

・労務費,材料費や財貨や役務を提供するためのその他の原価に主に影響を与える通貨。多くの場合、当該原価が表示され,決済されるときの通貨が機能通貨に該当する。

上記の事項を検討しても機能通貨を適切に決定できない場合のみ、以下の要因を検討する必要があります(第10項)。

・財務活動(すなわち負債性金融商品や資本性金融商品の発行)により資金が調達されるときの通貨

・営業活動からの受取金額が通常,留保される通貨

なお、第9項と第10項の優先順位については、第12項において「経営者は,第10項及び第11項の指標を検討する前に第9項の主たる指標を優先する。」とされています。

3.在外営業活動体の機能通貨の決定

在外営業活動体の機能通貨を決定する場合には、第10項の二要因に加えて、その機能通貨が報告企業の機能通貨と同じになるべきか否かを判断するために、以下の要因を追加で考慮するものとされています(第11項)。

①在外営業活動体の活動がかなりの程度自主性をもって営まれているかどうか。例えば、在外営業活動体が報告企業から輸入した財貨のみを販売し,その受取金を報告会社に送金するにとどまるような場合は報告企業の延長線上で営まれており自主性をもっているとはいえないものとされています。
②報告企業との取引が,在外営業活動体の活動に占める割合の程度
③在外営業活動体の活動からのキャッシュ・フローが,報告企業のキャッシュ・フローに直接影響を与え,すぐに送金できるようになっているかどうか。
④在外営業活動体の活動からのキャッシュ・フローが,報告企業による資金援助がなくても、既存の及び通常予定される債務の返済原資として十分かどうか

在外の中間持株会社がある場合には、その活動が自主性を有するものであるかどうかについてよく検討する必要があります。場合によっては、現地通貨ではなく機能通貨を円にしなければならないなんていうこともあり得ます。

4.機能通貨の変更

第35項において「企業の機能通貨に変更がある場合には,企業は当該変更の日から将来に向けて新しい機能通貨に適用される換算手続を適用しなければならない」とされています。

つまり、変更日における為替レートを使用してすべての項目を新しい機能通貨に換算し、過去にその他の包括利益に認識された、在外営業活動体の換算により生じた為替差額は、当該活動体が処分されるまでは資本から純損益に振り替えないものとされています(第37項)

よって、従来の機能通貨で計上されていた為替換算調整勘定はそのまま引き継がれるということになります。実務上、この金額を固定して管理していく必要があるのかという点が気になりますが、おそらくそこまでは要求されないのではないかと思います。

期首時点で、機能通貨をUS$からユーロに変更したような場合(表示通貨は円とします)で考えると、BSのみを換算替することになりますが、この場合US$建の財務諸表を円換算した場合に算出される為替換算調整勘定とユーロ建の財務諸表を円換算した場合に算出される為替換算調整勘定の金額は理論的には一致するかもしれませんが、実際には多少異なるものと推測されます。しかしながら、大きな差異はないと考えられますので、結果多少算出される為替換算調整勘定の金額が異なっても重要性の観点から問題はないものと考えられます。

日々成長。

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