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満期保有目的の債券の減損と償却原価法

満期保有目的の債券であっても時価が著しく下落した場合には減損処理が必要である点については、「満期保有目的債券の減損処理-東京電力の社債は瀬戸際?」で書きましたが、減損までに額面と取得価額との差額を償却原価法で処理していた場合に減損後はどうなるのかの確認です。

減損した債券について、従来通りの償却原価法を継続したり、あるいは減損後の帳簿価額と額面との差額を償却原価法で処理するのは、減損しながらも帳簿価額を増加させることになり合理的ではないですし、どこかに不要と書いてあったはず・・・

根拠を確認したら、「金融商品会計に関するQ&A」に書いてありました。

———————————————
Q25:減損処理を行った債券については、以後、償却原価法の適用は不要と考えてよいでしょうか。

A: 減損処理を行った債券については、取得差額はもはや金利調整差額とは考えられませんので、以後、償却原価法の適用はありません
————————————————–

満期保有目的で保有する債券は、著しい時価の下落によって減損処理の対象となることは稀なので、久々に目にしたQ&Aでした。

ところで、そもそも金融商品実務指針第274項によれば、「満期保有目的の債券は、当該保有目的区分へ分類するための要件から、信用リスクの高くない債券が対象となる」とされています。 ということは、「信用リスクが高い」と判断される場合には、もはや満期保有目的ではなく「その他有価証券」に区分変更されることになると考えられます。

「信用リスクが高くない」が何を意味するのかについては、「金融商品会計に関するQ&A」で以下のように述べられています。

————————————————————-
Q22:実務指針第274項では、満期保有目的の債券は、当該保有目的区分へ分類するための要件から、信用リスクの高くない債券が対象となるとされていますが、「信用リスクが高くない」とはどの程度までの信用リスクをいうのでしょうか。

A: 債券を満期まで保有するためには、償還日において額面金額による償還が確実に実行されることがあらかじめ見込めることが必要ですので、実務上、満期保有目的の債券に分類することができる債券は、信用リスクが高くない債券が対象となるものと考えられます。したがって、債券を取得した時点において、当該債券の発行者が元本の償還及び利息の支払に関して支障をきたすおそれがあると認められる状況にある場合には、当該債券は満期保有目的の債券としての適格要件を満たさないことになります。具体的に、当該信用リスクの程度の判定を行うためには、各企業が、原則として、指定格付機関(企業内容等の開示に関する内閣府令第1条第13の2号)による格付けに基づいて「信用リスクが高くない」水準を決定し、これを満期保有目的の債券としての適格要件に関する合理的な判断基準として設定する必要があります

ただし、企業が、格付けを取得していない私募債を引き受ける場合等も想定されることから、上記の方法と同等程度の客観的な信頼性を確保し得る方法、例えば、発行者の財政状態及び経営成績等に基づいた合理的な判断基準を設定する方法によることも認められると考えられます。
なお、いずれの方法によるにしても継続適用する必要があり、また、判断基準はあらかじめ文書をもって設定することが適当と考えられます。

——————————————————–

ちなみに、東電の2011年6月20日現在の長期格付けは、以下のようになっています。

上記のとおり、各企業が水準を決定することとされていますが、おそらくB格を「信用リスクが高くない」の基準に用いている会社は少ないと推測されます。

そうだとすると、満期保有目的からその他有価証券へ保有目的を変更しなければならないということになります。

この場合、いずれにしても時価評価が必要になりますので、時価が著しく下落したとして減損処理が不要(よってPLへ影響がない)であっても、時価が下落した分については有価証券評価差額金がマイナス方向に変動し純資産額が減少することになると考えられます。

このようなロジックで考えると、いずれにしても大きな影響があると言えるのではないかと思います。

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