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IASBの教育文書「減価償却とIFRS」は定率法の採用に踏み切る材料になるか

IFRSにおいて固定資産の減価償却方法に定率法を採用することができるかという点については何度か書きましたが、IFRS財団が昨年11月に公表した教育文書「減価償却とIFRS」(Depreciation and IFRS)を根拠に定率法の採用が行いやすくなったという見解もあるようです。

IAS16号上は、減価償却方法として定率法も認められていますが、IFRSを先行適用した数社では、基本的に定額法が採用されています。ただし、HOYAや住友商事では「主として定額法」となっており、定率法を採用している資産もあるということで先日話題になりました。

今後、従来通り定率法あるいは「主として定率法」というような会社がでてくるのかは不明ですが、上記の「減価償却とIFRS」を根拠に定率法採用に動く会社も出てくるかもしれません。

「減価償却とIFRS」について、原文は以下のサイト(IASB)で確認できます。

http://www.ifrs.org/Use+around+the+world/Education/Occasional+Education+Notes.htm

また、ISBJでも仮訳という前提で日本語訳されたものが公表されています。少し長くなりますが、以下に関連する部分を転載します(太字・下線は加工)

——————————————
第56項は耐用年数に関する次のようなガイダンスを示しているが,これは消費パターンを考慮する際にも役立つかもしれない。
ある資産に具現化された将来の経済的便益は,主に当該資産の使用を通じて企業によって消費される。しかしながら,資産が遊休状態にある間でも,技術的又は経済的陳腐化や自然減耗などのその他の要因によって,当該資産から得られていたかもしれない経済的便益の減少が結果として生ずることがよくある。
そのため,資産の耐用年数の決定に際し,次のような要因のすべてを考慮する。
(a) 当該資産について予想される使用量。使用量は,当該資産の予想生産能力又は実際生産高を参考にして検討される。
(b) 予想される物理的自然減耗。これは,当該資産を使用する操業シフトの回数,修繕及び維持計画,休止中の当該資産の管理及び維持などの操業上の要因に左右される。
(c) 生産技術の変化若しくは向上,又は当該資産によって製造される製品若しくは提供される役務に対する市場需要の変化から生ずる技術的又は経済的陳腐化
(d) 資産の使用に対する法的又は類似の制約,例えば関連するリースの満了日

このリストは包括的(all-inclusive)だろうか。経営者が消費のパターンを評価する際に考慮すべき要因はこれだけだろうか。私はそうは思わない(IAS第38号「無形資産」には,有形固定資産について考える際にも役立つと思われる,もっと長いリストが含まれている)。例えば,耐用年数の後半に,より多くの修繕やより頻繁なメンテナンスが必要となる資産は多い。同様に,経営者は,ある資産を使って製造される製品の価格が当該固定資産の耐用年数にわたって低下していくと予想するかもしれない。これらはいずれも,定率法が消費パターンのより良い近似となる場合があることを示している

IAS第16号の第52項では,経済的便益の消費が,資産の公正価値の変動と同じでないことを明確にしている。また,資産が減損している場合(IAS第36号「資産の減損」参照)には,減価償却は減損の認識の代替とはならない。資産に関連した負債の認識(IAS第37号「引当金,偶発負債及び偶発資産」参照)についても同じである。

IAS第16号において,定額法は他の方法よりも優先されるのだろうか。この点についても,私はそうは思わない。定額法は,反証がない限り、管理するのにも財務諸表の利用者が理解するのにも最も容易であるかもしれない。これらの要因により,定額法は最も容易な方法となっているが,必ずしも優先される方法だとは限らない
—————————————————————

従来は、IAS16号56項に「主に当該資産の使用を通じて企業によって消費される」とあり、定率法を採用する場合には経済的便益の予想消費パターンを適切に反映していることを証明しなければならないと考えられていたため定率法の採用は困難と言われていました。

現に、「フォーチュン誌2008年度売上高上位100位中、IFRS採用企業が49社であるが、定額法を採用している企業は38社あり、また主に定額法を採用している企業は5社となっている」(完全比較国際会計基準と日本基準 新日本有限責任監査法人著)というようにほとんどの企業で定額法が採用されているようです。

上記の理屈でいえば、修繕費が期間の経過に伴い逓増していくような場合には定率法を採用できる可能性があり、また半導体のように価格の下落が激しい産業ではむしろ定率法が望ましいということになります。
いずれにしてもある程度のデータをもって定率法を採用することが合理的であることを説明する必要があると考えられますが、税法のメリットを享受するため定率法の採用が一般的な日本においてIFRSへ舵を切りやすくする内容ではあります。

もっとも欧州等でIFRSを適用している同業他社が(主として)定額法を採用している場合に定率法を採用する勇気があるかという問題はありそうです。もちろん各社で、経済的便益の費消パターンは異なるということはありますが、定額法と定率法までの差があるということがあってよいのかという気はします。

すでに欧州ではIFRSが適用開始されて相当期間が経過しており、いまさらこのような教育文書が出されたのは意味を勘繰りたくなりますが、そこまで日本は重視されていないですかね・・・

IFRSを先行適用する会社の動向に注目です。

日々成長

 

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