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IAS19(退職給付)の改定―遅延認識の廃止等

eIFRSという有料のサービスを利用しているので、基準の改定が行われるとしばらくして冊子が送られてきます先週IAS19号(退職給付)とIAS1号(財務諸表の表示)の改定に関する冊子が送られてきました。そういえば、IAS19号(退職給付)の改定版がでたと聞いた気が・・・

改定後のIAS19号も同封されていましたが、これを最初から読むのは少々気合い不足気味なので、Project Summary and Feedback StatementというA4で20ページくらいの要約も同封されていたので、まずはざっとこちらで内容を確認することにしました。

最初に適用時期について確認しておくと、今回の改正IAS19号は2013年1月から適用開始となります。

今回の改定された内容として、大きく以下の四点が挙げられていました。

(1)遅延認識の廃止

(2)再評価に関する一貫した表示

(3)開示項目

(4)多様な実務が生じている項目の明確化(”Diverse application”となっていますが、内容を読むと左記のような内容と理解しました)

(1)遅延認識の廃止

やはり、最もインパクトがあるのは(1)の遅延認識の廃止ではないかと思います。

この改正により、日本基準でいうところの数理計算上の差異は、発生した時点で税効果考慮後の金額でOCI(その他包括利益)に計上されるという取扱いになります。
なお、一度OCIに計上された数理計算上の差異については、その後PLに計上されることはないようです(リサイクリングなし)。

従来のIAS19号においては、いわゆる数理計算上の差異について、二つの処理が可能でした。一つは、一定水準以上の数理差異が生じた場合のみ償却を行うという回廊アプローチで、もう一つは、即時認識です。なお、即時認識する場合はPLを介さずOCIに直接計上するという処理が要求されていました。

上記のような選択肢が認められていると、数理計算上の差異については、企業によって以下のような三パターンで処理されることがあります。

①回廊アプローチを選択し、数理計算上の差異が一定水準以上なので償却分がPLに計上されているケース

②回廊アプローチを選択しているが、数理計算上の差異が一定水準より小さいので、財務諸表では何ら認識されていないケース

③即時認識を選択し、数理計算上の差異を発生時にOCIで計上しているケース

このような状況は財務諸表の比較可能性を損なうので、比較可能性を保つようにすることが改定理由の一つに挙げられています。この他、損失が資産として認識され、余剰(利益)が負債と認識されてしまうことも従来のIAS19号の問題点として述べられていました。

仮にコンバージェンスによって日本基準がIAS19号と同様の基準となった場合、単純に税効果をみていいことになるのか、やはり会社区分によっていわゆる④以下の会社はだめということになるのかは興味のあるところです。

(2)再評価に関する一貫した表示

表題ではなんのことか想像もつかないのではないかと思いますが、従来の利息費用と期待運用収益をネットして額を純利息費用(Net interest income(expense))としてPLに計上することとし、退職給付債務及び年金資産の再評価にかかる変動(いわゆる数理計算上の差異の発生額)についてはOCIで認識するということを意味しています。

このような改定を行った理由については、従来のIAS19号では年金資産の期待運用収益率が退職給付債務の割引率を上回っていると、実際には損失が生じていても財務収益が生じていることになってしまうというためと述べられていました。

一方で、改正後のIAS19号では損失は利息費用として、利益は利息収益として認識されることになるとしています。

少し見づらいかもしれませんが、改正後の制度説明について以下のような図表が掲載されていました。下記の例は、年金資産・退職給付債務ともに再評価によって有利な差異が生じているという状況を意味します。右から2列目のRemeasurementsの-35は再評価にかかる変動ということでOCIに計上されることになります。

(3)開示

開示についてはこの冊子には詳細は述べられていませんが、公開草案で述べられていた以下の項目については最終的に要請されないことになったと述べられています。

①昇給の予測の影響を排除して調整した、退職給付債務の現在価値(ED 125H)

②人口統計上の数理計算上の仮定を計算するのに使用した手続きの簡単な記述(ED 125G(b))

③年金数理上の仮定の変化に対する勤務費用の変化の感度分析(ED BC63)

④拠出額と当期勤務費用との相違を生じさせる可能性のある要因(ED BC62)

(4)多様な実務が生じている項目の明確化

この項目については、リスクシェアリングの会計処理等に関するものということ位しか記載されていないので、今後に譲ることにします。

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