menu
閉じる
閉じる
閉じる
  1. 特定退職金共済とは何ですか?
  2. 内々定の法的性格は?
  3. 株主優待で金券を交付した場合は源泉徴収必要か?
  4. 「居住者」「非居住者」の判断を滞在日数のみで行うのは要注意
  5. 平成29年度税制改正(その6)-法人税等関連(スピンオフに関する組織再…
  6. IFRS任意適用会社が144社に-経営財務調べ
  7. 譲渡制限付株式を役員に交付した場合の会計処理は?
  8. 平成29年度税制改正(その4)-法人税等関連(試験研究費の税額控除)
  9. 税務調査による更正が「誤謬」か否かの境界は何?
  10. PCデポが過年度誤謬の判明と公認会計士の異動を公表
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

連結納税(その2)-連結納税を導入するメリットは?

連結納税制度とは、企業グループを1つの納税単位として、法人税を申告・納付する納税制度のことで、国内に所在する親会社とその100%子会社および100%孫会社を法人税の計算上、一つの納税単位とみなしてそれぞれの所得及び欠損を通算して申告納税する仕組みです。

今回は、連結納税のメリットについて確認することにします。連結納税のメリットとしては以下のようなものがあります。

(1)連結グループ内の損益通算が可能

(2)繰越欠損金を早期に解消できる可能性がある

(3)税額控除額が大きくなる可能性がある

(4)寄付金の損金不算入額等の課税所得の調整額が有利になる可能性がある

(5)繰延税金資産の計上額もより多く認められる可能性がある

(1)連結グループ内の損益通算が可能

最初に確認しておきますが、ここでいう連結グループは、国内に所在する親会社とその100%子会社および100%孫会社を意味し、企業会計上の連結の範囲とは異なるので注意が必要です。
また、連結納税を行う場合は、すべての100%内国子法人を連結納税に含める必要があり、一部の子法人のみを取捨選択することはできません(法人税法第4条の2)。

なお、100%内国法人であっても100%保有の外国法人を経由した間接保有の100%内国法人は連結子法人に含まれない、あるいは支配関係がなくなった子会社が再び従来の連結親法人の下で連結子法人になろうとする場合で一定の場合には連結子法人になれないというような規定もありますが、まずは概要の理解を優先し無視することとします。

損益通算(課税所得の通算)については、例を示さなくてもイメージできるかもしれませんが、単純なケースで示しておくと以下のような節税のメリットがあることがわかります。

仮にすべての会社で状態的に課税所得が発生しているケースであれば損益通算によるメリットは生じないといえます。また、欠損が生じている会社もたまたまで、通常は課税所得が生じるというのであれば敢えて連結納税を行わなくても大差ないという見解もありえます。環境変化の激しい状況下で不確実な将来の所得よりも今年の節税を重視するのか、手間の増加を嫌うのかという選択ともいえます。

(2)繰越欠損金を早期に解消できる可能性がある

連結納税の利用にあたっては、繰越欠損金の存在が採用に踏み切らせる大きな理由になりえます。

まず「繰越欠損金」について確認しておきますが、繰越欠損金はある決算期で発生したマイナスの所得のことで、最長7年間繰越可能で翌期以降の課税所得と相殺することができることとされています。

連結納税においては、連結親法人の繰越欠損金と子法人の繰越欠損金で取扱いが異なる部分があるので注意が必要です。
まず、連結親法人の繰越欠損金については、それが連結納税の開始前後のいずれの時期に発生したかにかかわらず全額を連結納税グループ全体で利用することが可能です。

一方で、子法人の繰越欠損金については、連結納税開始前(加入時)に存在する繰越欠損金については、一定の場合に当該子会社の所得を上限として利用できるのみで、グループの他の会社の課税所得と相殺はできません。

ちなみに、子法人の繰越欠損金については平成22年度の税制改正により、一定の利用が認められるようになりましたが、それ以前は子会社の繰越欠損金は切り捨てられるという取扱いになっていました。この子法人の連結欠損金の切り捨てが、連結納税採用の足かせになっていたといわれています。

親会社で繰越欠損金を抱えている場合における典型的な連結納税の効果を示すと以下のようになります。下記の例では親会社で100の繰越欠損金を有しているという前提となっていますが、仮にこの繰越欠損金が今期で期限切れを迎えるものであったとすると単体課税の場合は未消化の繰越欠損金(50)は将来取り戻すことはできないことになります。

一方で子会社が繰越欠損金を有していたケースを考えてみると以下のようになります。下記の結果からわかるように、連結納税開始時に子会社が繰越欠損金を有している場合は、連結納税を行っても単体課税と合計額に変化がないようになっています。

参考までに、平成22年税制改正前の制度では、連結納税を採用した場合、子会社の繰越欠損金×税率分(繰越欠損金=>課税所得の場合)だけ単体課税よりも税額が大きくなってしまうという現象が生じてしまう制度となっていました。

上記で子法人の場合は一定の場合に繰越欠損金の利用が可能と書きましたが、繰越欠損金の引き継ぎが可能となる法人は以下のようになっています(法人税法第81条の9第2項、61条の11)。

①親会社に長期(5年超)保有されている100%子会社

⇒連結納税制度開始日の5年前の日からその開始の日まで親法人による完全支配関係が継続している法人

②親会社または100%子会社により設立された100%子会社

⇒連結納税制度開始日の5年前の日からその開始の日までの間に設立された子法人で、設立の日からその開始の日まで親会社またはその完全子法人による完全支配が継続している法人

連結納税制度開始日の5年前の日より前から完全支配が継続している場合は上記①に該当するので、連結納税制度開始日の5年前の日以降で設立した一定の子法人について繰越欠損金の引き継ぎを認めるということになっています。

③株式移転完全子法人

⇒連結納税制度開始日の5年前の日からその開始の日までの間に株式移転に係る株式移転完全子法人で、株式移転の日から連結納税制度開始の日までに株式移転完全親法人による完全支配関係が継続していている子法人

だんだんイメージしにくいものになってきていますが、株式移転とは「1または2以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること」をいいます(会社法2条32項)。
株式移転は株式交換と似ていますが、株式移転の場合は複数の会社が共同で株式移転完全親会社を設立することも可能なので、複数の会社によって迅速に純粋持株会社を設立する際に有効な手法と言われています。

株式移転のイメージは下記のようになります。

④適格株式交換に係る株式交換完全子法人

⇒連結納税制度開始日の5年前の日からその開始の日までの間に行った適格株式交換により株式交換完全子法人となった法人で、株式交換の日から連結納税制度開始の日まで親法人または、その完全子法人による完全支配関係が継続している法人

⑤法令の規定に基づく単元未満株式の買い取り等による子法人

⇒単元未満株式の買い取りまたは法令の規定に基づく保有制限株式の買取りにより完全支配関係を有することとなった法人で、その買取の日から連結納税開始の日まで親法人による完全支配関係が継続している法人

長くなりましたので(3)以下のメリットについては次回以降とします。

関連記事

  1. 繰越欠損金の控除限度額の引き下げと税効果

  2. 全体の法人数は減少も連結納税適用法人は急増-平成23年度会社標本…

  3. 個別引当の貸倒引当金はスケジューリング可能 or 不能?-繰延税…

  4. 税務上の「のれん」とは?(その3)

  5. 所得拡大促進税制の確認(その3)-雇用者給与等支給額(各論)

  6. 為替予約等の含み益で十億超の計上漏れ?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

カテゴリー

ページ上部へ戻る