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連結納税(その4)-導入のメリット(損金算入限度額が大きくなる可能性など)

“連結納税(その3)-導入のメリット(税額控除)”の続きです。連結納税のメリットについて書いてきましたが、今回は(4)および(5)についてです。なかなか進まないので、連結納税はメリットだらけなのかと自分でも勘違いしてしまいそうですが、連結納税が有利かどうかは置かれている状況により異なりますので、念のため。

以前のエントリであげたメリットを再度確認しておくと以下のようなものがあります。

(1)連結グループ内の損益通算が可能

(2)繰越欠損金を早期に解消できる可能性がある

(3)税額控除額が大きくなる可能性がある

(4)寄附金の損金不算入額等の課税所得の調整額が有利になる可能性がある

(5)繰延税金資産の計上額もより多く認められる可能性がある

(4)寄附金の損金不算入額等の課税所得の調整額が有利になる可能性がある

①寄附金の場合

連結納税を採用すると、交際費や寄付金の損金不算入額、受取配当金の益金不算入額については連結納税グループ全体で計算することになります。
例えば、一般寄附金の損金算入限度額は以下の算式で計算されます(法人税法施行令155条の13第1号)。

損金算入限度額 = ( 資本基準額 + 所得基準額 ) × 1/2

資本基準額=連結親法人の期末における資本等の金額×当該事業年度の月数/12×2.5/1,000
所得基準額=当該連結事業年度の連結所得の金額(*1)×2.5/100

(*1)連結所得の金額は、支出寄附金の全額を損金の額に算入しなかったものとして、支出前の金額を用いて算出するとされています(法人税法施行令第155条の13第3号)

例えば以下のようなケースを考えてみます。

・親会社の資本金5億円、所得金額(寄附金支出前とします。子会社も同様)2億円
・100%子会社の資本金3000万円、所得金額2000万円
・一般寄附金の額 親会社150万円、子会社200万円

まず、単体課税の場合、親会社での損金算入限度額は資本基準額125万円、所得基準額500万円から312万5千円と計算され、一般寄附金の全額が損金算入できます。

一方で子会社は、資本基準額7万5千円、所得基準額50万円から損金算入限度額は28万7500円と計算され、171万2500円が損金不算入となってしまいます。
結局親子合計で損金不算入額は171万2500万円となります。

次に、連結納税を行うとすれば連結親法人の資本等の金額が5億円、連結所得金額(寄附金支出前)が2億2000万円になるので、損金算入限度額は、資本基準額125万円、所得基準額550万円から、337.5万円と計算されます。一般寄附金の合計額は全体で350万円なので、損金不算入額は12万5千円と単体納税の場合よりも有利になります。

②交際費の場合

一方で、交際費の場合はどちらかといえば連結納税により不利に働くことが多いのではないかとおもいます。

つまり、単体課税の場合は、資本金の額が1億円以下であれば各社で支出交際費の額が600万円以下の場合は90%が損金に算入することが可能となりますが、連結納税を採用した場合には連結グループ全体で計算されてしまうことになります。

例えば、以下のようなケースを考えてみます。

・親会社の資本金1億円、支出交際費等の額500万円
・子会社の資本金3000万円、支出交際費等の額200万円

この場合、単体課税の場合はいずれも支出交際費等の額が600万円以下ですので親会社で500万円×10%=50万円、子会社で200万円×10%=20万円が損金不算入となります(合計70万円)。

一方で、連結納税を採用した場合は、連結親法人の資本金の額が1億円以下なのでグループ全体で支出交際費等600万円以下の場合は90%が損金算入とされることになります。その結果、グループ全体での支出交際費は700万円なので、600万円×10%+(700万円-600万円)=160万円が損金不算入となります。

結果的にこのケースでは、交際費に関しては連結納税を採用したほうが税務上不利となります。

さらに連結親法人の資本金の額が1億円超の場合は、損金不算入限度額はありませんので全額損金不算入となってしまいます。連結親法人になる会社の資本金が1億円を超えているケースは多いと考えられるものの、子会社の資本金が1億円以下というのはめずらしくないので考慮する必要があります。
ただし、グループ法人税の導入に伴い、単体納税の場合であっても完全支配関係にある親法人の資本金の額が5億円以上の場合は、子会社で交際費の損金算入限度額が認められないこととされたため、親法人の資本金が1億円超5億円未満の場合に影響を考慮する必要があると考えられます。

③受取配当金の場合

受取配当金を完全子法人株式等、関係法人株式等、その他の株式等の三つに区分して処理するのは単体納税の場合も連結納税の場合も同様です。

しかしながら、連結納税の場合は単体納税と以下の点で異なります

・益金不算入割合を決定するための株式の保有割合の判定は連結グループ内法人の持分を合計しておこなう(法人税法施行令第155条の10第1号)

・益金不算入となる受取配当金等から控除される負債利子の計算は連結グループを一体として行う(法人税法第81条の4第4号)

・短期所有株式等に対応する受取配当金等は益金の額に算入されるが、その計算は連結グループを一体として行う(法人税法第81条の4第2号、法人税法施行令第155条の7)

負債控除利子を無視すると、その他の株式以外であれば受取配当額の100%が益金不算入となり、その他の株式と判定されると50%が益金不算入となります。

また、簡単な以下のような例で考えてみます。

「関係法人株式等」は、簡単に言えば、他の内国法人の株式等で、持株(出資)比率25%以上、かつ、配当等の効力発生以前6か月以上引き続き保有しているものを意味します。

単体納税の場合は、各社で判断されますので、保有期間の要件を満たしていたとしても上記の場合は両社ともにその他の株式として基本的に50%が益金不算入となります。

一方で連結納税の場合は、グループ全体で比率が計算されますので、保有期間の要件を満たすとすると上記の場合は25%以上となり「関係法人株式等」として、基本的に配当等の全額を益金不算入とすることができます。

このように連結納税を採用した場合には、「関係法人株式等」(以上)と取り扱われるようになる可能性があるため有利に働くことがあるといえますが、現実問題としてよほど大きな会社でないと上記のような出資関係にあるケースはあまり多くないように感じます。

一方で、控除負債利子の計算においては、連結納税グループ全体で計算されること、および、「簡便法」による計算方法が認められないことから単体納税の場合と比べて有利になるのか不利になるのかはケースバイケースだと考えられます。

(5)繰延税金資産の計上額もより多く認められる可能性がある

この点については、会計監査を受けている会社以外はほとんど興味がない点だと思います。

連結納税を採用した場合の税効果については、「連結納税税度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」、「連結納税税度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に従って処理を行うことになります。

これらの取扱いについては、またボリュームがあるので別の機会に譲ることとし、ここでは概念的な説明にとどめることにします。

繰延税金資産については、将来回収可能と認められる限度において計上することが認められます。
一般的に連結納税を採用しようとするのは、課税所得を計上している会社と欠損金を計上している会社の損益を相殺すること等により最終的な税額が軽減されることが見込まれるためと考えられます。

単体納税を採用している場合、繰延税金資産の回収可能性は納税主体ごとに判断されるので欠損金を計上している会社では繰越欠損金に対する繰延税金資産が全額計上できない(回収が見込めない)ことがあります。

一方で、連結納税の場合は、グループ内の会社の繰越欠損金を他の会社の所得で回収可能と判断されれば、単体納税の場合であれば回収不能とされた部分について回収可能と判断できる場合があり得るということになります。

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