menu
閉じる
閉じる
閉じる
  1. 2017年4月から手取額が同額の場合も定期同額給与扱いに-平成29年度…
  2. 配当金は持参債務-株主が海外に居住している場合はどうする?
  3. 2016年3月期東芝の監査報酬は53億円-FACTA2017年4月号
  4. 仮想通貨(ビットコイン等)が消費税の非課税対象に
  5. 「法人税。住民税及び事業税等に関する会計基準」が公表されました。
  6. 株主総会で従業員株主が複数質問するも総会決議に著しい不公正がないと判断…
  7. セルフメディケーションの添付書類の見直し
  8. 不正アクセスでクレジットカード番号等の情報が流出した可能性を開示-GM…
  9. 取締役会の専決事項とされる「多額の借財」の「多額」はどのレベル?
  10. エフオーアイの粉飾決算で主幹事証券に賠償責任が認められた判決ー東京地裁…
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

大王製紙も忘れてはなりません(その1)

今回は大王製紙の件についてです。オリンパスに話題をさらわれた感がありますが、2011年10月28日に「大王製紙株式会社元会長への貸付金問題に関する特別調査委員会」の「調査報告書」が同社HPで公開されており、A4で30枚程度の報告書ですが、下手な小説よりは面白いと思いますので興味のある方は一読されることをお勧めします。

大王製紙の一件では、代表取締役会長であった井川意高氏(以下「元会長」)に、同氏が代表取締役を務める連結子会社7社から106億円に及ぶ不透明な融資がなされ、このうち約59億円が未返済の状態になっています。

同報告書によれば、10年5月12日にエリエール商工あてに5億5千万円が振り込まれたのが始めで、それ以降の四半期ごとの貸付金残高の推移を同報告書の「貸付・返済一覧表(会社別)」からまとめると以下のようになっています。

上記の推移から、最初こそ5億円程度であったものの一度始めてしまうとあっという間に9月末時点では40億円に達しているのが分かります。

なお上記のエリエール商工への貸付(総額22億5000万円)について元会長は、会社間での貸付で個人への貸付ではないと主張しているそうですが、同報告書では「同社に振り込まれた直後全額が同人の個人名義預金口座に振り込まれているなどの事実からして、実態はエリエール商工を経由した迂回融資」と切り捨てています。

なお、「エリエール」という名前からも想像できますが、この「エリエール商会」は大王製紙の子会社ではなく、元会長の実筆大王製紙元社長井川高雄氏(以下「顧問」)らが代表取締役としてゴルフ場経営等を行っているファミリー企業の一つだそうです。

同報告書で開示されている情報で初めて知りましたが、「国内連結子会社35社の大王製紙の保有議決権数」で開示されている議決権の保有構造はかなり特徴的です。


(大王製紙株式会社元会長への貸付金問題に関する特別調査委員会より)

なんと、国内連結子会社35社のうち大王製紙の保有議決権が20%未満の会社が23社もあります。これはいったいどういうことかと有価証券報告書の関係会社の状況を確認したところ以下のようになっていました(2011年3月期)。

(大王製紙2011年3月期有価証券報告書より)

国内連結子会社が35社もあるのに開示されている開示されているのはたった2社で残り33社はその他34社(うち1社は海外子会社)として開示されています。

なお、開示されている子会社の議決権比率も50%以下ですが、注書きで「持分は100分の50以下ですが、実質的に支配しているため子会社としたものです。」とされています。

重要性が乏しい子会社については社数の記載でよいこととされているものの、もう少し多くの社数を開示するのが一般的だと思います。

上記の議決権上状況からすると、あまりにも多くの会社で「持分は100分の50以下ですが、実質的に支配しているため子会社としたものです。」という注書きをしなければならないことを避けるため社数を絞っていたというのが実態ではないかと想像されます。

つまり、あまりにも多くの会社が「持分は100分の50以下ですが、実質的に支配している会社」が30社以上もあると、いったいそれはどういうことなんだ?と注目を集めては困るということなのではないかと思います。

実質的に支配している会社が多数発生した経緯について、同報告書(P-15)では以下のように述べられています。
「紙製造業は,巨大な設備投資を行いながら,他方では大量の水を必要とする。大王製紙は市場での成功の傍ら製造拠点等を確保する必要があった。新規の進出には,水利権の確保等様々な問題が生じる。そこで,次々と各地の紙製造会社を買収した。その際,顧問やその親族が主たる株主となり,大王製紙自体は15%前後の少数株主に止めることが通例であった。このようにして大王製紙グループが形成されていった。平成12年3月末期から,大王製紙は,他のグループ会社を連結子会社として,連結決算会社となった。」

緊密な者の議決権を勘案して実質的に支配しているのであれば、連結子会社とするというのは処理としては妥当ですが、そもそも上場会社がこのように多数の資本関係が不透明な子会社を有すること自体が問題ではないかと思います。

緊密な者が保有している株式を考慮するのは、実質的に支配している会社の連結外しを防止する趣旨ですが、そのようにすればそのような出資関係を選択することはほとんどなくなるというのが前提にあったものと考えらえます。

会計処理が正しければ、出資構造はイレギュラーであっても構わないというわけではないと思いますので、上場会社はそのような出資会計は解消することを原則とするなどの対応が必要ではないかと思います。少なくとも、実質的に支配しているという会社は「関係会社の状況」で記載を必須にするというような改正は必要だと考えられます。

長くなったので続きは次回にします。

日々成長。

関連記事

  1. 「見積りの変更」の開示例

  2. 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案) が公表されまし…

  3. 税制改正による定額法への変更で混乱が生じる可能性が大?

  4. 比較情報の取扱いに関する研究報告(その3)

  5. 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準と1株あたり情報

  6. 資産除去債務が合理的に見積もれないとは?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

カテゴリー

ページ上部へ戻る