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大王製紙も忘れてはなりません(その2)

前回の“大王製紙についても忘れてはなりません(その1)”の続きです。

前回述べたように、大王製紙グループの出資関係はかなり不透明で、調査報告書によれば、「大王製紙以外の株主名と保有数の把握状況は別紙5大王製紙と連結子会社2記載の通りであって,監査法人も把握できていない」とされていますが、さすがに監査法人は知っているのではないかと思います。
株主間で株式の移転があれば、連結子会社としていた会社の支配を失っていることもありうるので、毎期なんらかの確認は行っていたはずです。

しかも、これだけ問題となって第三者委員会が設置されているにもかかわらず、「当委員会は今回,全ての連結子会社に対し,大王製紙を通じて株主構成の分かる資料の提出を求めた。しかし,応じたのは17社であった」というのが驚きです。つまり残り18社は拒否したわけですが、親会社の設置した第三者委員会の要求を拒むような会社を「支配」していると言えるのかが甚だ疑問です。

調査報告書によれば、「井川父子は大王製紙の大株主であるが、個人でなくファミリー企業によって保有している。大王商工、エリエール総業を含む5社がそれとわかっている。」ということで、2011年3月期の有価証券報告書で大王製紙の大株主の状況を確認したところ以下のようになっていました。

報告書では大王商工、エリエール総業のみ名前があがっていますが、新聞報道によると上記で色づけした5社が井川家支配の会社のようです。

このように「井川父子は,大王商工等のファミリー企業や大王製紙グループの外部に存在していて,これらの集団全体を支配するという独特な構造に形成されているため,社員は会社に対してではなく,井川父子に対する帰属意識を有することになる」と同報告書は評価しています。

このような状況下で、元会長への貸し付けは、いずれも事前に取締役会に諮られることもなかったし、そもそも大半の会社では適法な取締役会すら開催されていなかったとされています。

道では100億円を超える不透明な資金を元会長に貸し付けたという部分がクローズアップされていましたが、このうち約48億円は返済されています(ただし1件を除きいずれも当初約定の返済期限を経過してからなされたもの)。

この約48億円のうち「18億700万円が現金でなされたが、残りの29億4300万円については,連結子会社の株式及びファミリー企業と考えられるエリエール総業の株式を貸主の3社が購入し,その購入代金を貸付残金に充てる方法によっており,実質的には他社株式による代物弁済」がとられています。

最初から株式売却してればよかったのですが、そもそも何に資金を使ったのか。一部ではカジノで使ったと報道されていましたが、同報告書では、「FX取引や株式投資にかなり使ったと説明するのみで,それ以上具体的な説明はせず,その後予定されたヒアリングには出席せず,そのFX取引等についても裏付けとなる資料の提出をしない」とされており、こんなふざけた対応をされても、会社としては井川家を排除しないとしていることが井川家支配の強大さを感じさせます。

なお、このような多額の資金が元会長個人に貸し付けられたことに対して、会社は「連結子会社が役員個人に貸付を行うことは過去にはなかったが,担当取締役は,元会長が大王製紙及び連結子会社(以下「大王製紙グループ」という。)のために必要な資金として使うのであろうと漠然と推測し,違法行為をしているとの疑いをもたなかった」とされています。

本当に何ら疑いをもたなかったのかが微妙なところですが、このような貸付が行えてしまうこと自体がやはり問題で、J-SOXって何なんだろうと感じます。

「監査法人も,経理担当取締役同様,元会長が大王製紙グループのための事業活動に使用するものと推測した」とされていますが、「推測」って通常実施すべき監査手続きなのか・・・・

この他、平成23年6月開催の定時株主総会終了後の取締役会についても述べられています。
「大王製紙では有価証券報告書の作成は取締役会の決議事項ではなく報告事項である。資料は事前に配付されておらず席上で配付された。経理担当取締役が法令の改正等で前期の有価証券報告書と違っている部分のコピーを添付して説明したが,本件貸付が関係する「連結子会社と関連当事者との取引」の頁(71頁)のコピーは添付されておらず,その件に関する説明もされなかった。会議の終了とともに添付したコピーとともに資料は回収され,東京本社の役員にはその後も製本された有価証券報告書が配付されることはなかった」

書き方が微妙ですが、そもそもすぐに公表される資料を回収することが通常なのか、「連結子会社と関連当事者との取引」について説明がなかったのは誰かの指示によるものなのかについても言及してもらいたい部分です。

最後に同報告書では「元会長の責任を明確にするために,会社は更に貸付金の使途解明の努力を続けるとともに,元会長を告訴,告発することも検討すべき」と提言しています。会社も刑事告訴の手続きに入ると報道されていましたが、最終的にどう決着するのかは注目です。

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