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オリンパス株を減損したら、減損損失は損金算入できる?

オリンパスの株価は一時500円を下回る水準まで下落しましたが、2012年2月16日の終値は1,273円となっています。

すこし遡ってみると、
2010年4月1日 3,050円
2011年4月1日 2,265円
2011年7月1日 2,698円

となっており、上記の価格でオリンパス株を取得していた場合、2012年2月16日の終値(1,273円)で計算した下落率は以下のようになります。

対2010年4月1日 58.3%下落
対2011年4月1日 43.8%下落
対2011年7月1日 52.8%下落

したがって、取得した時期によっては会計上株式の減損が必要となる可能性があります。もっとも、金融商品の実務指針上は、「時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損失として処理」するとされているので、減損をしたくない場合には、本業は毀損していないし、回復が見込まれると頑張ってみる会社もあるかもしれません。

ただ、実際のところは、株価が「回復する見込み」などというものをきちんと説明できるケースはほとんどないと考えられます。仮に、「回復する見込み」を高い精度で判断できるのであれば、株の神様と呼ばれる日もそう遠くはないはずです。
考えられるとすれば、決算が締まるまでに株価が上昇し下落率が50%を大幅に下回り、下落が一時的なものであるといえるというようなケースではないかと思います。

そこで、会計上、オリンパス株式の減損を実施した場合にその評価損を損金に算入できるのかが問題となります。

上場有価証券等については、法人税法上も、その価額が著しく低下し、簿価を下回ることとなった場合には損金経理を要件として評価損の損金算入が認められています(法人税法33条2項、法人税法施行令68条1項2号イ)。
そして、「価額が著しく低下」というのは法人税法基本通達9-1-7によって、「当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいう」とされています。

問題は損金算入の要件となっている「近い将来その価額の回復が見込まれない」というのが会計の「回復する見込みがあると認められる場合を除き」と同義なのかどうかです。

資産性が疑わしい項目については、会計の観点では費用(損失)計上が求められ、税務の観点では損金算入が認められないというのが一般的ですので、回復する見込みがあると積極的に説明できないということが、「近い将来その価額の回復が見込まれない」ことと同義であるとするのは結構勇気がいります。

上場有価証券の減損損失の損金算入については平成21年4月に国税庁から「上場有価証券の評価損に関するQ&A」というものが公表されています。

このQ&Aでは、「近い将来回復が見込まれない」ということの意味ついて、「株価の回復可能性の判断のための画一的な基準を設けることは困難ですが、法人の側から、過去の市場価格の推移や市場環境の動向、発行法人の業況等を総合的に勘案した合理的な判断基準が示される限りにおいては、税務上その基準は尊重されることとなります」とされています。

「総合的に勘案した合理的な判断基準が示される限り」はそれが尊重されるということですので、積極的に「回復可能性がない」ことを説明しなければならないということになりますが、50%程度の下落で減損する場合、下落した水準の株価がある程度長期にわたって継続しているという事実以外で説明するのは難しいように思います。

なお、監査法人の監査を受けている場合、「上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し、税効果会計等の観点から自社の監査を担当する監査法人から、その合理性についてチェックを受けて、これを継続的に使用するのであれば、税務上その基準に基づく損金算入の判断は合理的なものと認められます」とされています。

ここで気になるのは、「株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し」という部分です。減損が必要ではないかという有価証券について、「一定の形式基準」で「回復する見込みがある」と監査法人に認めてもらうのは正直難しいように思います。

以上のことから考えると、オリンパス株を会計上減損しなければならない場合は、税務上加算して、仮に今の株価水準が来期も継続するようであれば税務上も損金算入するというのが無難なのではないかと思います。

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