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会社更生法はどんなもの?(その2)

会社更生法とはどんなもの?(その1)の続きです。前回は、会社更生法の概要について確認しました。

今回は、会社更生法の手続きなどについてもう少し詳細に確認します。

1.申立てから決定に要する期間

更生手続開始の申立てがなされてから更生手続開始の決定が出るまでの期間ですが、東京地裁の標準スケジュールでは1カ月で、DIP型会社更生手続きの場合は3週間とされています。

会社の規模によっても異なるのかもしれませんが、3週間とするとエルピーダメモリの場合は2012年3月19日頃に更生手続開始の決定がでることになります。

2.更生手続開始が決定されるための要件

裁判所が更生手続開始の決定をするためには、更生手続開始時条件である更生手続開始の原因となる事実があって、かつ申立ての棄却事由がないことが必要です。

更生手続開始の原因となる事実とは、以下のような事実です。

①破産手続開始の原因となる事実(支払不能または債務超過)が生じるおそれがあること

②弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障をきたす恐れがあること

要は、もうやっていけないという状態であれば、更生手続開始の原因となる事実があるということになりそうです。

あとは、棄却事由がない必要がありますが、以下が棄却事由にあたります。

①更生手続の費用の予納がないとき(会社更生法41条1項1号)

②裁判所に破産手続、再生手続または特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき(会社更生法41条1項2号)

③事業の継続の内容とする更生計画案の作成もしくは可決の見込みまたは事業の継続を内容とする更生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき(会社更生法41条1項3号)

④不当な目的で更生手続開始の申立てがされたこと、その他申立てが誠実にされたものでないこと(会社更生法41条1項4号)

ダイヤモンドオンラインの記事では、従来型の手続きの場合は「保全管理人団や保全期間中の公認会計士の費用等として1億円近くの予納金を用意しなければならないこともあった」とのことです。1億円とまではいかなくても、上場企業の場合3000万円~5000万円位は予納金が必要なようです。

DIP型の場合、従来型に比べて低コストですむようですが、予納金が少なくてすむというわけではないようです。

また、上記③については、「更生の見込み」ではなく、「事業の継続の内容とする更生計画案の作成もしくは可決の見込みまたは事業の継続を内容とする更生計画の認可の見込み」という手続き面が判断されています。

3.更生手続開始の決定による効果

会社更生手続開始の決定があった場合には、以下の効果が生じます。

①更生会社における基本的事項(組織再編や、配当、減資など)の変更等が禁止・制限されます(会社更生法45条1項)

更生債権等の弁済等は原則として禁止されます(会社更生法47条1項)

③他の倒産手続きの申立て、強制執行の申立等が禁止されます(会社更生法50条1項)

④更生会社の取締役等は、更生会社に対して報酬等を請求することができなくなります(会社更生法66条1項)。また、更生会社の取締役等が競業行為を行う場合は、管財人の承認が必要となります。

債権者の立場からすると、上記の中では②が重要なので、もう少し詳細に確認することにします。

原則として、更生手続開始の決定後は、更生計画の定めるところによらなければ、更生債権等について、弁済をし、弁済を受け、その他債権を消滅させる行為をすることができないとされています(会社更生法47条1項)。

ただし、以下の場合は、裁判所の許可を得て、更生債権の全部または一部の弁済を行うことが認められています。

①中小企業者の債権の弁済

更生会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権等の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障をきたすおそれがあるとき(会社更生法47条2項)。
なお、会社更生法上「中小企業者」の定義はなされていないようですが、47条3項で「裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、更生会社と同項の中小企業者との取引の状況、更生会社の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない」とされていますので、裁判所が「中小企業者」と認めるかどうかということなのではないかと推測されます。

②少額債権の弁済

少額の更生債権等を早期に弁済することにより更生手続きを円滑に進めることができるとき、または、少額の更生債権等を早期に弁済しなければ更生会社の事業の継続に著しい支障をきたすとき。
なお、「少額」についても、いくらとは定められておらず会社の規模等に応じて判断されることになります。

更生会社の取り扱っている商品等のサプライヤーは、いままでの分を払ってもらえなければ追加で販売を継続することは考えにくいので、会社を継続させようとするのであれば、「少額」と限定のつくものの更生債権等の弁済を認めるのは当然といえるのではないかと思います。

長くなりましたので、今回はここまでとします。

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