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消費税(その10)-個別対応方式勘定別留意点4

少し期間が空きましたが、“消費税(その9)-個別対応方式勘定別留意点3”に引き続き『消費税「個別対応方式」適用ガイド』(あいわ税理士法人)において、個別対応方式の勘定科目別論点として取り上げられた項目で積み残しになっていた分で重要そうなものをまとめます。

なお以下では、便宜上
「課税売上にのみ要するもの」を「課税扱い」
「課税売上と非課税売上に共通して要するもの」を「共通扱い」
「非課税売上にのみに要するもの」を「非課税扱い」
と表記している箇所があります。

10.支払手数料

「支払手数料」という勘定科目は、様々な性質のものが計上される科目であることから、『消費税「個別対応方式」適用ガイド』(あいわ税理士法人)では、様々な項目について記載されています。

項目だけすべて紹介しておくと、
①税理士報酬・監査報酬
②株式売却のための株価算定費用等
③上場株式購入のための購入手数料等
④M&Aにより100%の株式を取得した会社に係るデューデリジェンス費用
⑤土地売却のための仲介手数料
⑥海外の土地売却のためのコンサルティング費用
⑦土地取得のための仲介手数料
⑧売掛金から差し引かれた振込手数料
⑨支払いの際に発生する振込手数料
⑩経営コンサルティング料、会社再編のアドバイス料
⑪役員変更、新株発行、新株予約権等の登記に係る司法書士費用
⑫損害賠償に係る弁護士費用
⑬本社移転に係る引越費用

様々な事項が挙げられていますが、用途区分の基本的な考え方に変わりはありません。

例えば、①の税理士報酬・監査報酬は、会社全体の事業にかかわるものであるため「課税売上と非課税売上に共通して要するもの」となりますが、同じ税理士や会計士に支払う報酬であっても株式売却のための株価算定費用等は、株式の譲渡のための費用となるため「非課税売上にのみに要するもの」になります。

残りの項目のうち、比較的頻度が高そうな③上場株式購入のための購入手数料等、⑧売掛金から差し引かれた振込手数料、⑨支払いの際に発生する振込手数料について内容を確認します。

まず③の「上場株式購入のための購入手数料等」ですが、結論からすると「非課税売上にのみに要するもの」になります。

この点については、国税庁の質疑応答事例で以下のように記載されています。

——————————————————————
株式売買に伴う課税仕入れ
【照会要旨】
財テクとして株式の売買を行い、これについて委託売買手数料等を支払っていますが、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合、これらの支出は非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価として仕入税額控除の対象とならないことになるのでしょうか。

【回答要旨】

株式の売買に伴う課税仕入れに係る支払対価としては、委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料があり、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合におけるこれらの支払対価は次のように、いずれも、非課税売上げにのみ要する課税仕入れとして取り扱います
———————————————————————

理由についても一部だけ引用しておくと、「株式を売却する際の委託売買手数料は、株式の譲渡のための費用ですから、非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価に該当し、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合は仕入税額控除の対象にはなりません」とされています。

次に⑧の「売掛金から差し引かれた振込手数料」ですが、これは「その売掛金の発生原因となった売上げが課税売上に該当する場合には「課税売上にのみ要するもの」に、非課税売上に該当する場合には「非課税売上げにのみ要するもの」に該当する」とされています。

ということで、非課税売上に該当するものを取り扱っていない会社では、あまり気にする必要はなさそうです。

最後に⑨の「支払いの際に発生する振込手数料」ですが、こちらはちょっと面倒です。といっても原則どおりなのですが、振込のもととなった課税仕入れの内容に応じて用途区分を行う必要が生じます。

月次決算をきちんとやっている会社の場合は、当月の費用を当月に未払計上して、翌月以降に支払うことになりますが、通常支払い時には、
借)未払金(買掛金) XXX 貸)現金預金 XXX
支払手数料    XXX
というような仕訳となると思いますが、この時点で未払金等の内容が何であったのかが分からないと正しく用途区分が行えないということになってしいます。

もちろん、未払計上時に遡れば、それが何であったのかわかると思いますが、手間がかかります。
また、一定期間に発生した未払金等を一括して振り込むことになりますが、同一取引先であっても「課税売上にのみ要するもの」と「課税売上と非課税売上に共通して要するもの」で未払金等が構成されていることも十分考えらえます。

さらに振込手数料については別途銀行から一括して請求されることも考えられます。

以上のような点をふまえると、「非課税売上にのみに要するもの」だけはピックアップして、あとは一律「課税売上と非課税売上に共通して要するもの」として処理してしまうとういうのが費用対効果の観点からは無難なのではないかと思います。

11.事業譲受により発生した「のれん」

これは、かなりマニアックな論点だと思いますが、消費税法の取扱いが興味深かったので一応備忘も兼ねて記載しておきます。

消費税法において、事業譲渡は、それがいかに有機的一体として機能する組織的財産の譲渡であったとしても、合併や分割などの包括承継と異なり通常の売買と同様に特定承継とされるので、事業譲渡による資産の移転は資産の譲渡等に該当することになります。

そのため、事業を譲り受けた側では、譲り受けた資産ごとの対価の額によって、課税仕入れ、非課税仕入れ、不課税仕入れに分スリする必要が生じます。

そして、事業譲受により生じた「のれん」は無形固定資産に該当し、その購入対価については課税仕入れとなります。

事業譲受で生じた「のれん」は課税仕入になるというのは、なかなか興味深いと思いました。

日々成長。

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