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厚生年金基金の改革案は、なんだかおかしな気がするのは私だけ?

6月19日に厚生年金基金制度の改革案について報道がなされていました。

日経新聞の電子版では以下のように報道されていました。

「AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚生労働省がまとめた厚生年金基金制度の改革案の全容が18日判明した。厚年基金が解散する際に国への返還が義務付けられている積立金を減額し、加入企業の負担を減らす。解散時に積み立て不足がある基金の加入企業が、連帯して返済義務を負う制度も撤廃する。財務悪化に苦しむ厚年基金が解散しやすくする。?」(日経新聞 2012年6月19日より一部抜粋)

厚生年金基金の現状については、2012年6月7日に開催された「第5回厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」配布資料 資料2-1「厚生年金金の現状について」で以下のような表にまとめられています。

平成22年度でみると、全体で170基金のうち73基金、割合でいうと約4割が代行割れとなっています。なお、170基金というのは、東京の基金数で全国だと595基金存在します(なお、同資料の表1だと全体で595基金となっていますが、表2では全国で588となっておりどちらの数字が正しいのか今一わかりませんが、全国では概ね590位という水準のようです。)

ちなみに、設立形態別の基金の数は以下のようになっています(同資料 表1)。

総合型 495

単独型 47

連合型 53

上記のとおり、総合型が圧倒的に数が多くなっています。単独型はイメージしやすいですが、総合型と連合型の違いがイメージしにくいと思いますので内容を確認しておきます。

・総合型厚生年金基金・・・同業種であることなど、一定のルールの下に同一業界の会社が集まり、共同で基金を設立して運営される基金

・連合型厚生年金基金・・・主力企業を中心に、関連会社(グループ会社)が集まり、共同で基金を設立して運営される基金

一定規模以上の運用資産がないと、安定的効率的な運用を行うことができないので、単独型厚生年金基金はもちろん、連合型厚生年金基金であっても、相当大きな企業(グループ)規模でないと採用することが困難です。
そこで、単独(グループ)では規模が足りないけれども福利厚生を充実させたいという同業種の企業などが集まって、全体のボリュームをあげて基金を運用しようとする総合型の数が多くなっています。

厚生年金基金は企業独自の制度なのですが、一方で公的年金である厚生年金の一部を基金が運用しています。これが、いわゆる「代行部分」と呼ばれるものです。
確定給付企業年金法が施行された2002年頃に、この代行部分を国に返すことが認められ大企業が続々とこの代行部分を国に返上したことを記憶している方も多いのではないかと思います(いわゆる「代行返上」)。

国に代わり公的年金の一部を運用していたわけですから、代行返上する場合には、普通に考えて、その時点で積み立てられていなければならない年金資産を国に返上することが必要となります。

ところが 、今回の改革案では、「厚年基金が解散する際に国への返還が義務付けられている積立金を減額し、加入企業の負担を減らす」とされているわけです。
運用に成功していたらより高い年金を得ることができたという機会がありながら、結果として運用がうまくいかなかったので、国に返還する積立金を減額してあげるというのは明らかに矛盾していると思います。

国が運用していたとしても失敗していたのだから、その分は考慮してあげないと基金がかわいそうだという考え方もなくはないですが、そもそも基金すらない会社もたくさんあることからすれば、やはりおかしな感じがします。

結果的に、公的年金の年金資産があるべき積立額よりもより小さくなることになり、足りない分は将来の給付減か保険料アップ、あるいは増税による国からの交付金の増加で賄われることになります。
いずれにしても、これら基金の恩恵を受ける可能性がなかった厚生年金の加入者にはいい迷惑です。

連鎖倒産を防ぐため「基金の加入企業が、連帯して返済義務を負う制度」を廃止するというのは必要だと思いますが、総合型であっても加入各社に帰属する年金資産の持分等を明確にするというようなことは必要なのではないかと思います。

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