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退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法へ変更した場合の処理(その2)

前回の続きです。退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法に変更した場合に、過年度遡及修正基準との関係でどのように処理する必要があるかです。

その前に、従来どのように処理(開示)されていたのかを確認しておくと、事例としては以下のようなケースがあります。

(1)退職給付関係の注記に「追加情報」として、変更の旨と差額の処理方法などを記載しているケース。

(2)退職給付関係の注記の「退職給付費用に関する事項」に「当事業年度に退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法へ変更したことに伴い、期末時点での簡便法と原則法による退職給付債務の差額を特別損失として一括費用処理しております。」というような記載をしているケース。

(3)退職給付関係の注記の「退職給付費用に関する事項」に「簡便法から原則法への変更に伴う費用処理額」という項目があるものの特にそれ以上の記載はないケース

(4)会計方針の変更として記載しているケース。ただし、ざっと検索した限りにおいては、平成22年3月期のカヤバ工業しかみつかりませんでした。カヤバ工業の記載内容(一部)は以下のようになっていました。

(退職給付引当金の計上基準の変更)
連結子会社であるKYBエンジニアリングアンドサービス㈱は、当連結会計年度より、退職給付債務の算定方法を簡便法から原則法に変更しております。この変更は、平成21年10月1日付で、適格退職年金制度から確定給付企業年金制度への移行を実施したことを契機として、当該子会社において原則法に基づく退職給付債務に関する数理計算を行うための社内体制を整備したことによるものであり、より合理的な数理計算による退職給付債務の算定を行うことにより、適切な引当金の計上および期間損益の適正化を図ることを目的としております。・・・・(以下省略)

では、遡及修正会計基準が導入されてどうなるのかですが、この点については、簡便法から原則法への変更をどう考えるのかによってかわってくると考えられます。

選択肢としては、

1.会計方針の変更と考える

2.会計上の見積りの変更と考える

3.簡便法と原則法の選択適用が認められていた状況から原則法のみが認められることとなったことによるもので会計方針の変更でも会計上の見積りの変更にも該当しないと考える

つまり、上記1であれば遡及修正が必要となり、上記2および3であれば遡及修正は不要となります。ただし、会計上の見積りの変更であれば、会計上の見積りの変更として注記されることになると思います。

そこでまず、遡及修正会計基準導入後に簡便法から原則法へ変更した事例を探してみると以下の会社が遡及修正基準適用開始後に簡便法から原則法へ変更を行っていました。

(1)日亜鋼業株式会社 2012年3月期第1四半期報告書
記載箇所 特別損失のPL注記
「連結子会社の一部において、複数の退職金制度を統合したことに伴い、退職給付債務の算定方法を簡便法から原則法に変更したことによる差額143,473千円及び過去勤務債務の一括償却額45,315千円である。」

(2)ピー・シー・エー株式会社 2012年3月期第1四半期報告書
記載箇所 追加情報
「(退職給付引当金)
退職給付に係る会計処理は、前連結会計年度において、退職給付債務の計算を簡便法によっておりましたが、当第1四半期連結累計期間から原則法により計算する方法へ変更しております。
この変更は当第1四半期連結累計期間における当社の退職給付計算の対象となる従業員数が300人を超えたためであります。この変更に伴う退職給付債務の増加額133,752千円を特別損失に計上しております。」

(3)横浜ゴム 2012年3月期第2四半期報告書
記載箇所 追加情報
「退職給付引当金
当社の連結子会社である(株)ヨコハマタイヤジャパンは、平成23年7月1日付けで、税制適格年金制度について確定拠出年金制度へ移行し、「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(企業会計基準適用指針第1号 平成14年1月31日)を適用しております。
本移行に伴う影響額200百万円は、「退職給付制度終了益」として特別利益に計上しております。
また、この退職給付制度の移行に伴い、従来、簡便法を採用していた退職給付債務の算定方法について原則法を採用しております。
これにより、退職給付債務について計算した簡便法と原則法の差額2,747百万円を「退職給付費用」として特別損失に計上しております。」

以上の他、簡便法から原則法へ計算方法を変更し、追加情報として開示している会社として以下の会社がありました。
・富士製薬工業㈱ 2013年9月期第2四半期報告書
・ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 2013年5月期第3四半期報告書
・㈱神鋼環境ソリューション 2012年3月期第3四半期報告書

事例からすると、従来同様「追加情報」として開示するというのが主流のようです。

これをどのように考えるべきなのかですが、事例を調べていたら思いのほか時間がかかってしまったので、これは次回に繰り越します。

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