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予定取引の為替予約の会計処理-振当処理と繰延ヘッジの違い

少し前に為替予約の振当処理(その2)で振当処理について書きましたが、そこで先延ばしにしていた予定取引に対する為替予約に対して振当処理と繰延ヘッジ会計を適用した場合にどのような違いがあるのかが今回のテーマです。

簡単な設例で、振当処理と繰延ヘッジで処理した場合の違いを仕訳で確認することにします。

(前提)

3月決算のA社は、X年3月15日に、今後予定している100千ドルの原材料の輸入取引について、円安によるリスクをヘッジするために、買建ての為替予約を行った。

輸入予定日はX年5月中で、決済予定日はX年6月30日である。為替予約は、X年6月30日を限月とする100千ドルの買建て為替予約である。

この為替予約は、金融商品会計基準のヘッジの要件を満たしているものとする。また、実効税率は40%とする。

為替レートは以下のとおりであったする

①直物レート
 為替予約日 X年3月15日  80円/ドル
 決算日   X年3月31日  90円/ドル
 取引日   X年5月10日  95円/ドル
 決済日   X年6月30日 100円/ドル

 為替予約日 X年3月15日  78円/ドル
 決算日   X年3月31日  88円/ドル
 取引日   X年5月10日  94円/ドル
 決済日   X年6月30日 100円/ドル

1.振当処理によった場合

為替予約日

仕訳なし

決算日


為替予約・・・100千ドル×(88円/ドル-78円/ドル)=1,000千円
繰延税金負債・・・1,000千円×40%=400千円

翌期首

取引日

振当処理が簡便的な方法として、実務上根強く残っているのは、この仕訳が可能であるためだと思います。つまり、予約したレートで仕入、買掛金双方の金額を固定して処理でき、以後は円取引のごとく処理をすすめることができます。

決済日

予約した為替レートで支払をすることになるので、同じく取引日に予約レート計上した買掛金を支払ったという仕訳で処理が完了します。

2.繰延ヘッジによった場合

為替予約日

仕訳なし

決算日

決算日の処理は振当処理と同様です。

翌期首

仕訳なし

繰延ヘッジの場合は、ヘッジ対象の取引が発生するまで損益を繰り延べます。

取引日

i)仕入計上

ii)為替予約時価評価

決算日から取引日までの予約レートの変動分の時価評価を行います。
為替予約・・・100千ドル×(取引日予約レート94円-前期末予約レート88円)=600千円
繰延税金負債・・・600千円×40%=240千円

iii)繰延ヘッジ損益を仕入に振替

繰延ヘッジの場合の場合は、取引日までのヘッジ手段(この場合為替予約)から生じた損益をヘッジ対象となった取引の損益に振り替えます。

仕入・・・・前期末の時価評価により生じた為替予約1,000+取引日の時価評価により生じた為替予約600=1,600千円
借方の繰延ヘッジ損益および繰延税金負債も同様に計算

決済日

i)買掛金の決済

ii)為替予約の決済

振当処理によった場合と、繰延ヘッジ会計を適用した場合の損益項目を合計して比較すると、
・振当処理・・・仕入7,800
・繰延ヘッジ・・・仕入7,900 為替差益100

ということになります。

両者の差異は、結局のところ取引日における直物レートと予約レート(上記の例ではそれぞれ95円、94円)の差の影響が、仕入や売上に吸収されるのか為替差損益として処理されるのかの違いとして現れるということになります。

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