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消費税基本通達11-2-19の適用範囲は限定的

今回は消費税基本通達11-2-19の適用範囲についてです。この通達については、“消費税(その5)-個別対応方式用途区分3 国税庁Q&A”というエントリでも触れましたが、税務通信3221号で具体的なQ&Aで考え方が述べられており、上記のエントリで紹介した「経理担当者のための消費税「個別対応方式」適用ガイド(あいわ税理士法人)」の見解よりも、保守的のようなので再度取り上げることとしました。

消費税法基本通達11-2-19では、一義的に「課税売上げと非課税売上に共通して要するもの」(以下「共通対応分」とする)に区分される課税仕入れであっても、合理的な基準により「課税売上げにのみ要するもの」(以下「課税売上対応分」とする)と「非課税売上げにのみ要するもの」(以下「非課税売上対応分」とする)に区分することが可能なものについては、その区分したところにより個別対応方式を適用して差し支えないとしています。

ただし、この取り扱いは、課税資産の譲渡等または非課税資産の譲渡等と明確かつ直接的な対応関係があり、かつ、既に実現している事象の数値のみによって算定される割合で、その合理性が検証可能な基準により機械的に区分することが可能な場合に限って適用があるとされています。

この通達を適用するための要件をまとめると、以下の四つがポイントとなるといえます。

①明確かつ直接的な対応関係があること

②既に実現している事象の数値のみによって算定される割合であること

③事後的に合理性が検証可能な基準であること

④機械的に区分可能であること

税務通信では、「誰が判断しても疑義が生じないような合理的な割合に基づいて区分している場合に限って適用を認める取扱いである点に注意したい」とされています。

そして、税務通信で示されていた具体的なQ&Aですが、一つ目は「オフィス賃料を階数で按分できるか」という内容のものでした。

前提条件は以下の通りです。

・5階建ての建物1棟をオフィスとして借り上げ、全体の賃料を一括して支払っている。

・1階は総合受付、2~4階は課税製品のみを販売・製造する部門、5階が管理部門となっている。

このような状況下で、賃料を建物の階数で按分し、1階と5階を「共通対応分」、2~4階を「課税売上対応分」とすることが認められるかというのが質問です。

この質問に対する回答は、基本通達11-2-19の適用はないとされています。

理由は、「実際の使用状況等が明らかでないため一概には言えませんが」としつつ、「一般的に、会議室やリフレッシュルームなど全従業員が利用できる部分が含まれるのではないかと考えられます。このような実態を前提に考えると、建物の賃料を階数で按分することについて、賃料(課税仕入れ)と課税売上げ及び非課税売上げと明確かつ直接的な関係があるとは言え」ないためとされています。

“消費税(その5)-個別対応方式用途区分3 国税庁Q&A”で紹介した事例は、通達の考え方を適用して、さらに「共通して要するもの」を「課税売上のみに要するもの」と「共通して要するもの」に分けられるのかという内容ですが、前提が同一フロアであるものの、会議室等の共用スペースがあるケースが大半であるとすれば、そもそも面積比で按分して基本通達11-2-19の適用をうけるというのは難しいということになりそうです。

なお、税務通信では基本通達11-2-19の適用はないとしつつ、「建物のレイアウト(図面)から各部署の所有面積が把握でき、各部門のみが使用するスペースに対する賃料が明確にできる場合において、課税売上割合を乗じて計算した仕入税額控除額が事業の実態と乖離した結果となっている場合には、税務署長の承認を受けることにより課税売上割合に準ずる割合を適用することも一つの方策であると考えられます。」とされています。

つまり、基本通達11-2-19の適用はないけれども、課税売上割合に準ずる割合を使う余地はあるということのようです。

もう一つ紹介されていたQ&Aは、水道光熱費を従業員数で按分できるかというものです。こちらも結論としては、基本通達11-2-19の適用は難しいとされています。理由は、水道光熱費については、各部門の業務内容や労働時間が異なることから、部署の人数で按分した結果と使用実績とが合理的に対応するとはいえないためとされています。

安易に基本通達11-2-19の適用を求めるのは危険ということのようです。

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