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為替予約の振当処理(その1)

今回は為替予約の振当処理についてです。

振当処理とは、外貨建取引等の会計処理に関する実務指針(以下「外貨実務指針」とします)第3項によれば、「為替予約等により固定されたキャッシュ・フローの円貨額により外貨建金銭債権債務を換算し、直物為替相場による換算額との差額を、為替予約等の契約締結日から外貨建金銭債権債務の決済日までの期間にわたり配分する方法」とされています。

この定義は、振当処理を理解している人にとってはそのとおりなのですが、初心者にとって少々ハードルが高いようです。

振当処理は、「当分の間、特例として」認められている例外的な処理なので、まずは原則的な処理を確認しておきます。

1.為替予約の原則的処理

為替予約はデリバティブの一種なので、決算時に為替予約を時価評価して、評価差額は当期の為替損益として処理するというのが原則的な処理となります(金融商品会計基準Ⅳ.4、外貨建て取引会計基準一.2.(1)④)。

一方で、為替予約の対象とした外貨建金銭債権債務等は、決算日レートで換算したうえで貸借対照表に計上され、評価替により生じた損益は為替差損益として処理されることになります。

為替予約の評価損益と外貨建金銭債権債務から生じる損益はほぼ同水準で逆方向に作用するので、結果的に為替差損益が相殺され、為替レートの変動による損益のブレを抑えることができます。

為替予約の評価損益と外貨建金銭債権債務から生じる損益が完全には一致しないのは、通常の為替レート(直物レート)と為替予約レート(先物レート)は、関連性が強いものではありますが、別個のものだからくらいに理解しておけばよいと思います。

簡単な設例で仕訳を確認しておきます。

2.振当処理

振当処理を考える場合、外貨建取引の発生と為替予約の前後関係によっていくつかパターンが考えられます。

取引のイメージのしやすさを優先するか仕訳の簡単なものを優先するかを迷うところですが、まず取引のイメージが一番しやすいケースとして、取引時に同額の為替予約契約を締結したケースを考えます。

(1)外貨建取引と同時に為替予約を締結した場合

この場合、取引日の直物レートと先物レートの差額(以下「直先差額」といいます)を期間按分する処理が必要となります。このような処理が必要となるのは、直物レートと先物レートの差額の性質が理論的に両国の金利差から生じるものであるためです。

なお、この直先差額の配分については、外貨実務指針8項において「直先差額については日数又は月数による期間を基準として各期へ配分する」とされています。

この場合の会計処理を簡単な設例で確認します。

なお、直先差額を期間配分するのは、その性質が金利差であるためですが、そうだとすると、差額を損益に計上する際の計上科目が為替差損益でよいのかという疑問を感じる方もいるかもしれません。

この点について、外貨実務指針9項では、為替差損益として表示することを原則としつつ「合理的な方法により配分された直先差額は、金融商品会計実務指針における債券に係る償却原価法に準じて、利息法又は定額法により利息の調整項目として処理することができる。」とされています。

これは、為替予約の対象は主に売上や仕入から生じる営業債権債務であると考えられますが、「直先差額に金額的重要性がなく、かつ、信用機関が短いものに為替予約を付した場合には、期間配分した直先差額は為替差損益に含めて表示することが、実務慣行等を考慮して適切であると考えた」(外貨実務指針54項)ためとされています。

(2)外貨建取引の後で為替予約を締結した場合

このケースは上記①よりも少しだけ処理が複雑となります。

この場合は、取引時の直物為替レートと予約日の直物為替レートの差額については、予約時までに発生している為替レートの変動による影響なので、外貨建金銭債権債務に適用する為替レートが変動した場合と同様に発生時(為替予約を締結した期)に損益として計上する必要があります。
なお、このレート差は直物レート同士の差ということで直々差額と呼ばれます。

まとめると、直々差額は発生時に損益計上、直先差額は期間按分という処理になります。

これも簡単な設例で処理を確認すると以下のようになります。

次に為替予約を先に締結しているケース(いわゆる予定取引)がありますが、少し長くなりましたので、次回以降とします。

為替予約の振当処理(その2)”はこちら


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