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税務上の「のれん」とは?(その3)

今回は”税務上の「のれん」とは?(その2)”の続きです。前回までで、税務上の「のれん」の概要については述べたので、今回はその他で注意すべき事項についてまとめることにします。

1.税効果会計との関係

会計上の「のれん」については、連結税効果実務指針27項において、「のれん又は負ののれんについては税務上の資産又は負債の計上もその償却額の損金又は益金算入も認められておらず、また、子会社における個別貸借対照表上の簿価は存在しないから一時差異が生ずるが、これについて繰延税金負債又は繰延税金資産は計上しないものとする。」とされていることから、税効果の対象とはなりません。

ちなみに、一時差異に該当するのに税効果の対象とならない理由については、同指針52項において以下のように述べられています。

52. のれん又は負ののれんに対して税効果を認識するかどうかという問題があるが、のれん又は負ののれんが投資額と子会社の資産及び負債の時価評価の純額の親会社持分額との差額であるため、のれん又は負ののれんに対して子会社が税効果を認識すれば、のれん又は負ののれんが変動し、それに対してまた税効果を認識するという循環が生じてしまう。例えば、子会社において資産の部に計上されたのれんである将来加算一時差異に対して繰延税金負債を計上すると、親会社持分額が減少するため、のれんが増加する。さらに、その増加額に対してまた繰延税金負債が計上され、それがのれんの増額となるため、両勘定との間に際限のない循環が生ずる結果となる。したがって、本報告においてはのれん又は負ののれんに対して税効果を認識しない立場をとった。

一方で、税務上の「のれん」については、税務上損金あるいは益金に算入されることになるため、純然たる一時差異として税効果の対象となります。したがって、税務上の「のれん」だから会計には関係ないと思っていると間違ってしまうので注意が必要です。

2.営業権との関係

「のれん」も「営業権」も同じようなものと捉えると混乱しますが、税務上の「のれん」については、税務上の資産調整勘定・負債調整勘定が会計上の「のれん」に似ているので、税務上の「のれん」と呼ばれているものにすぎません。

そのため、税務上の「のれん」と「営業権」は別物として登場することになります。”税務上の「のれん」とは?(その1)”では、資産調整勘定から除外すべき項目として寄附金のみについて触れましたが、「営業権」についても資産調整勘定から除外する項目とされており、除外された営業権は移転資産に含めることとされています。なお、資産調整勘定から除外される「営業権」は、個別に価値があり、独立した資産として取引される慣習があるものに限られるとされています(法人税法施行令123条の10③)。

ついでに、会計上の「のれん」と「営業権」の違いについても触れておくと、「営業権」は超過収益力を表すものであるのに対して、「のれん」は交付対価と受け入れた純資産の差額として定義されるという違いがあります。とはいえ、概念的なものにすぎないので、会計上はあまり気にする必要はないのではないかと思います。

3.「のれん」と消費税の関係

消費税については、特定承継とされる事業譲渡の場合に注意が必要となります。逆にいえば、包括承継となる合併や会社分割の場合には「のれん」が課税取引となることはありません。

「のれん」が消費税法上において「資産(の譲渡)」に該当するかが問題となりますが、取引当事者が、その「のれん」に対価性を認めて、取引対象としていることから資産と考えざるを得ません。したがって、受け入れた純資産と対価との差額を「のれん」と呼ぶか「営業権」と呼ぶかにかかわらず、資産価値を有するものに対して対価を支払ったものと考えられるので、消費税の課税対象となります。

要は、事業譲渡の場合に生じた「のれん」あるいは「営業権」には消費税がかかるという点に注意が必要ということになります。

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