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連結納税適用会社の繰延税金資産の計上ー会社区分が国税と地方税で異なるときの税率は?

今回は連結納税を採用している会社における繰延税金資産の回収可能性についてです。連結納税を採用している場合の繰延税金資産の計上については以下の実務対応報告で処理方法が規定されています。
・連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)(実務対応報告第5号)
・連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)(実務対応報告第7号)

連結納税は法人税部分のみが対象となり、地方税については従来通りの個別納税が適用されることが処理を複雑にしています。連結納税の対象となるのは法人税部分のみということをうけて、実務対応報告7号の「連結納税会社の個別財務諸表における税効果会計の適用」では、「法人税、住民税又は事業税の別に繰延税金資産の回収可能性を判断し、回収が見込まれない税金の額については、個別財務諸表上、繰延税金資産から控除する。」というように、各税目ごとにそれぞれ判断して処理をすることが求められています。

したがって、そのとおりに処理をすればよいのですが、繰延税金資産の回収可能性の判定における会社区分が法人税法上は③、地方税法上は③ただし書というような状況が実際に発生すると、会社区分が異なってよいのかというような不安にかられます。そこで、念のため連結納税について書かれた書籍でこの点について解説されているものを探したところ、新日本アーンストアンドヤング税理士法人が書いている「グループ法人税制・連結納税制度の実務ガイダンス」の553ページに以下のようにまとめられているのを発見しました。

コンパクトによくまとまっている。上記でいうところの「連結の例示区分」は簡単にいえば連結親法人の会社区分のことで、「個別の例示区分」が各社の会社区分となります。

上記のとおり、税目別に繰延税金資産の回収可能性が判定されることになるため、法人税と地方税では繰延税金資産の回収可能性の判定の際の会社区分が異なることがあります。そこで、次の問題は、回収可能性が異なる場合に繰延税金資産の計上に用いる実効税率はどうすべきかです。とういのは、法人税または事業税に係る繰延税金資産の回収可能性を考慮するにあたり、事業税の損金算入効果が異なってくるためです。念のため最初に、繰延税金資産・負債の計上に用いられる原則的な法定実効税率の計算方法について確認しておくと、以下のようになっています。

一方、税金の種類ごとに回収可能性が異なる場合の計算方法として、実務対応報告7号の「参考」では以下のような計算方法が示されています。


法人税でみると、前提とされている実効税率が28%であるところ修正実効税率は29.6%と税率が高くなっています。これは、法人税法上回収可能と見込まれる一時差異が100であるのに対して、事業税上は20しか回収が見込まれないため、事業税の損金算入効果が薄れ、結果として実効税率が高くなるということだと考えられます。一方で、住民税については通常の実効税率5.6%に対して修正実効税率が5.3%と低くなることが一見おかしく感じますが、繰延税金計上対象となる一時差異が法人税100に対して住民税は10であることから生じるもので、決して繰延税金資産の計上額が100%回収可能と判断される場合よりも増加するわけではありません。

実に面倒ですが、仕方がないか・・・

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