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共通支配下の事業譲渡に係る税効果-個別財務諸表の処理

以前”共通支配下の事業譲渡における税効果がよくわかりません”というエントリで、共通支配下の事業譲渡における税効果の考え方がよくわからないという話を書きました。

先日、会計士協会主催の「企業会計基準復習シリーズ(第8回)」という研修で「共通支配下の取引の会計処理(少数株主が存在する場合や税効果会計の会計処理)」が取り上げられているのを発見し、集合研修CD-ROMで内容を確認しました。

その中で、ありがたくも共通支配下の事業譲渡にかかる税効果について説明がされていました。完全に納得できたわけではありませんが、解消された疑問点もあるのでまとめておきます。

前回考えた際の疑問点の一つは、「なぜ、資産調整勘定に対する税効果だけ考慮するのか?」というものでしたが、この点については、共通支配下の事業譲渡における譲受け側の会計処理として「資産調整勘定に対する税効果」のみを考慮するわけではなく、一時差異があれば税効果を認識することになるとのことでした。

この研修で用いられていた事例は以下のようなものでした。

親会社(P社)は、100%子会社であるS1 社とS2 社を有している。今般、S1 社は事業の一部(移転諸資産(関連する繰延税金資産を除く。)の会計簿価200、税務簿価300)をS2 社に400 で事業譲渡する。この場合のS1社(譲渡会社)とS2社(譲受会社)の会計処理はどのようになるか。

なお、これ以外の会計処理の前提は、以下のとおりである。

・S1 社(譲渡側)では移転諸資産に係る将来減算一時差異100(S1社における税務上の簿価300-会計上の簿価200) に対して繰延税金資産40 を計上している。

・譲渡価額はのれん価値を考慮して400 とされた。なお、事業譲渡日における移転諸資産の時価は150 である。この結果、譲受会社では税務上の資産調整勘定が250(=400-150)発生し、譲渡会社では税務上の譲渡益が100(=400-300)発生した。

・S1 社では、平成22 年度税制改正により導入された譲渡損益の繰延べは適用されないものとする。

・S1 社及びS2 社は、監査委員会報告66 号例示区分①に該当し、将来減算一時差異のすべてについて繰延税金資産を認識するものとする。

・実効税率は40%とする。

この場合の個別財務諸表上の仕訳は以下のようになると解説されています。

以前取り上げた設例では、資産調整勘定に対してのみ税効果を認識しているように見えたので、違和感がありましたが、上記のように会計上の簿価と移転資産の時価との差額についても税効果を認識するということであれば、一貫性という点では理解できます。

とはいえ、直前の簿価引継ぎが原則の共通支配下の取引において、上記のような繰延税金資産(負債)をPLを経由することなく計上するのは何故かという点が疑問として残ります。

この点については、結局のところ「のれん」の定義の問題ということになりそうです。研修資料の解説では「のれんは、税効果認識後の配分残余であるため、移転諸資産に一時差異等(事業譲受時に発生する資産調整勘定(又は差額負債調整勘定)を含む。)があるときは、適用指針71項から75項に準じて、事業受入時に税効果を認識することになる(相手勘定は「のれん(又は負ののれん)」」とされています。つまり、「のれん」は「税効果考慮後の配分残余」と考えるから、税効果を認識すべき項目があれば繰延税金資産・負債を計上し「のれん」を調整すべきということと考えられます。

適用指針上、「のれん(又は負ののれん)は取得原価の配分残余」(72項)という規定は取得の会計処理の部分に記載されているものの、適用すべき会計処理にかかわらず「のれん」の性格については不変と考えるは理論的だと思いますので、378-2項から「のれんは、税効果認識後の配分残余」と考えると、それは共通支配下の取引であっても同様に解釈すべきと考えられます。よって、共通支配下の取引であっても、新たに生じた一時差異については繰延税金資産・負債を認識し「のれん」で調整することになるというところでしょうか。

以上が、個別財務諸表での処理ですが、連結上の処理としては、もうひとつ論点がありますが、長くなったので今回はここまでにします。

日々成長

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