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出る杭はもっと出ろ!

不正リスク対応基準の公表-適用は平成26年3月期から(その2)

前回の続きです。

4.不正リスク対応基準の主な内容

不正リスク対応基準は、(1)職業的懐疑心の強調、(2)不正リスクに対応した監査の実施、及び(3)不正リスクに対応した監査事務所の品質管理の三つから構成されており、その主な内容は「設定前文」で以下のように述べられています。

(1)職業的懐疑心の強調

「強調」という表現が使用されていることからも想像できますが、根本的な考え方に変化はありません。すなわち「監査人は、不正リスクに対応するためには、誤謬による重要な虚偽表示のリスクに比し、より注意深く、批判的な姿勢で臨むことが必要であり、監査人としての職業的懐疑心の保持及びその発揮が特に重要であると考えられる」ため、「職業的懐疑心の強調」として掲記し強調したというだけのものです。

(2)不正リスクに対応した監査の実施

ここがある意味、最も興味がある部分ではないかと思います。不正対応基準の「第二 不正リスクに対応した監査の実施」は19項から構成されていますが、「設定前文」では9つのポイントで解説されています。

①不正リスクに対応した監査計画の策定

リスク対応基準では、「現行の重要な虚偽表示のリスクの検討に際し、不正リスク要因の検討や不正リスクを把握するために必要な手続を規定した。」とされています。
何のことかとリスク対応基準を確認すると、、経営者等に不正リスクに関連する質問をすることと不正による財務諸表の虚偽記載について監査チーム内の討議・情報共有を行うことが該当するようです。

こうして識別・評価された不正リスクを織り込んで監査計画を策定作成しましょうということです。具体的には、「実施する監査手続の種類、時期及び範囲の選択に当たり、評価した不正リスクに応じて、監査手続の種類、時期若しくは範囲の変更、往査先の選択方法の変更又は予告なしに往査することなど、企業が想定しない要素を監査計画に組み込むことが必要になる。」とされています。

いつも同じ事ばかりを行っていたら、不正が行いやすくなるので「企業が想定しない要素を監査計画に組み込む」というのはわかりますが、「予告なしに往査」は「設定前文」に述べられているだけで、リスク対応基準本文には記載されていないというのは若干無責任な感じがします。

不正リスクに対応し手実施する確認

リスク対応基準では、「積極的確認を実施する場合には、回答がない又は回答が不十分なときには、代替的な手続により十分かつ適切な監査証拠を入手できるか否か慎重に判断しなければならないこと」が明確にされています。

今後、確認状が回収できないため決算スケジュールが予定通りにすすまないというようなケースもでてくるのか、気になります。

不正リスクに関連する監査証拠

これは、不正リスクを識別している監査要点に対しては、「より適合性が高く、より証明力が強く、又はより多くの監査証拠を入手しなければならない」というものですが、リスクが高いと認識している項目なので普通のことだと思います。

不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況

これは、”付録2”として例示されているような「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況」を識別した場合には、「不正による重要な虚偽の表示の疑義」が存在していないかどうかを判断するために、適切な階層の経営者に質問し説明を求めるとともに、追加的な監査手続を実施しなければならない、とするものです。

”付録2”の内容ですが、記載されている内容は、「社内通報制度を通じて企業に寄せられ、監査人に開示された情報に、財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えられる情報が存在している。 」というものに始まり、あたりまえのことしか書かれていませんが、面白いものとしては「企業が、財務諸表に重要な影響を及ぼす取引に関して、明らかに専門家としての能力又は客観性に疑念のあると考えられる専門家を利用している。」というものがあります。

監査法人の駆け込み寺とかいわれていた監査人はどうなるのだろう・・・

⑤不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合の監査手続

これは、「識別した不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況について、関連して入手した監査証拠に基づいて経営者の説明に合理性がないと判断した場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑義があるとして扱わなければならない」というものです。

「不正による重要な虚偽の表示の疑義がある」とどうなるかですが、一言でいえば監査計画を修正しましょうということです(また、それか・・・)。逆に、追加手続きの実施等により、不正による重要な虚偽の表示の疑義がないと判断したときは、その旨と理由を監査調書に記載しなければならないとされています。

⑥専門家の利用

これは、不正リスクの内容や程度に応じて専門家の知識を利用する必要があるかを判断しなければならないことを明らかにしたというものです。内容はあたりまえのことですが、専門家の例として「不正調査」に関する専門家が挙げられているのは興味深い点です。

⑦不正リスクに関連する審査

これは、「不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合」、監査事務所内で定められた所定の審査が完了しないと意見を表明できない旨が明記されたというものです。「不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合」があろうとなかろうと、監査法人の場合であれば意見表明前の意見審査はあると思うので、この場合に限ったことではないと思いますが、監査事務所内での審査のレベルがあがる感じでしょうか。

⑧監査役等との連携

これは、一言でいえば監査役や監査委員会と適切に連携を図りましょうという内容です。

⑨監査調書

これは、不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合には、監査調書をきちんと作成しましょうという内容です。

不正リスク対応基準の構成内容として、あと(3)不正リスクに対応した監査事務所の品質管理が残っていますが、現場レベルではほとんど関係なさそうなので割愛します。

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