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海外出向者に関わる税務(その2)

前回の続きで、税務通信3255号を参考に海外に出向する社員に関わる税務について確認していきます。

3.非居住者に対する支払いの源泉徴収と復興特別税の関係

非居住者に対する支払に関して源泉徴収を行う場合、所得税法の規定による源泉徴収税率を用いる場合は、復興特別所得税を合わせて徴収する必要があります。つまり、例えば所得税率が10%であれば10.21%、20%であれば20.42%を源泉徴収する必要が生じます。

一方で、租税条約による限度税率が適用される場合には、復興特別所得税を徴収する必要はありません。これは、国内法の改正によって租税条約の限度税率を超えて課税することはできないためです。

裏を返すと、上場株式の配当など、国内法(所得税法及び租税特別措置法)の税率の方が租税条約上の限度税率よりも低いため、国内法(所得税法及び租税特別措置法)の税率を適用するものについては、復興特別所得税も併せて源泉徴収する必要があるということになります。(復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A 国税庁平成24年4月)

つまり、実際に限度税率が適用される場合のみ復興特別所得税の源泉徴収は不要ということになります。

4.給与計算期間の途中で非居住者となった場合

給与計算期間が20日締めの月末払というようなケースで、4月1日に出国し4月2日に非居住者に該当することとなった場合で、3月末までの給料を日本側で4月20日に支給することとした場合の源泉徴収はどうなるかです。

この場合は、所得税法基本通達212-3によって、4月20日に支払われる給料から源泉徴収を行う必要はないとされてています。

所得税法基本通達212-3(給与等の計算期間の中途で非居住者となった者の給与等)では以下のように述べてられています。

給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった者に支払うその非居住者となった日以後に支給期の到来する当該計算期間の給与等のうち、当該計算期間が1月以下であるものについては、その給与等の全額がその者の国内において行った勤務に対応するものである場合を除き、その総額を国内源泉所得に該当しないものとして差し支えない。

つまり、
①計算期間の途中で出国していること
②給与の計算期間が1カ月以内
という二つの要件を満たせば、国内源泉所得に該当しないものとして源泉徴収する必要はないということになります。

5.海外出向後に賞与を支給した場合

上記4.のケースと類似ますが、4月に出国した社員に対して、賞与支給対象期間を同年の1月~6月とする賞与を7月に支給した場合にはどうなるのかです。

この場合は、支給される賞与総額のうち国内勤務期間に対応する部分については20.42%の税率で源泉徴収することが必要とされます。給与の計算期間途中で出国した場合と取扱いが異なるので注意が必要です。

考え方としては、賞与支給日には非居住者に該当するので、国内源泉所得のみが課税対象となるが(所得税法164条)、賞与は国内源泉所得に該当するので源泉徴収する必要があるということになります。

なお、勤務等が国内及び国外の双方にわたって行われた場合の国内源泉所得の計算は、原則として以下の算式で計算するとされています(所得税法基本通達161-28)

したがって、今回の前提で7月に支給される賞与が国内での勤務期間に対する部分のみ(3カ月分)であるのであれば全額が源泉徴収の対象となり、一方で海外勤務期間を含む6カ月を対象として賞与が支給されるのであれば半額が国内源泉所得として源泉徴収の対象となるということになります。

続きは次回とします。

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