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棚卸資産の評価方法を遡及修正して変更した場合の税務上の取扱い

棚卸資産の評価方法を変更しようとする場合、過年度遡及会計基準との関係では遡及修正することが実務上不可能として取扱い、変更する年度の開始する日の前日までに税務上必要な届け出を出して評価方法を変更するというのが一般的だと思いますが、評価方法を遡及修正しなければらない場合にはどうなるのかについてです。

会計上、棚卸資産の評価方法を遡及して変更した場合、期首時点の棚卸資産の金額が税務と会計で差が生じることになります。この差額については、税務上、過年度の課税所得の計算が誤っていたわけではないので過年度の申告に問題はなく別表五(一)の期首および当期の売上原価に与える影響を別表四で調整することになります。

問題は、いつまでこの差を調整していかなければならないのか?です。例えば先入先出法から総平均法に変更した場合、遡及修正により単価が変動した棚卸資産がすべて一度0にならない限り、税務上あるべき単価(修正前の単価をベースに必要な届け出を出した期から変更後の評価方法で計算した単価)と会計上の単価に差が生じます。

過去の単価の影響をうける在庫がどこかで0にならない限り、この差をずっと追っていかなければならにとすると非常に煩雑ですが、そこまでやらなければならないのか。

この点に関連して、随分前に国税庁から「法人が「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を適用した場合の税務処理について」という文書が公表されています。

この中で、棚卸資産の評価方法を先入先出法から総平均法に変更し、遡及修正によって期首棚卸資産の金額が550から500になったという設例が紹介されています。

そして、この設例では税務上必要な調整は、別表五(一)で期首残高の調整を加え、期首棚卸資産が減額された50だけ別表四で加算するのみとされており、別表四および別表五(一)への記載例として以下が示されています。

上記からすると、期首棚卸資産の変動分だけを当期に調整するのみで終了でよいのか?という期待がわきますが、残念ながらそうではありません。

というのは、上記の文書は当初平成23年10月に公表されましたが、平成24年9月に設例に以下の注が付記されました。すなわち、「総平均法は月別総平均を採用しており、当期中でいったん期首残高は全て払い出され、その後仕入れたものが当期末残高として残っているものとします。」というものです。

この注は「前提事実を明確にするために」追加されたものです。ということは、裏を返せば在庫が全部はけない限り、調整を行う必要があるということになると考えられます。また、評価方法の変更には事前に届け出が必要であることから考えてもこの結論は妥当だと考えられます。

棚卸資産の評価方法を遡及して変更すると税務上大変なことになる可能性が高いので気を付けましょう。

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