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臨時特例企業税は違法・無効で635億円を返金(神奈川県)-未収入金計上も検討必要か

2013年3月21日に最高裁判所は、神奈川県が独自に課していた臨時特例企業税を違法・無効という判決を下しました。

この判決を受け神奈川県は、納付された臨時特例企業税について過去10年分を遡り返還することを決定しました。返還金総額635億円で、内訳は本税480億円、還付加算金155億円となっています。なお、地方税の消滅時効は5年ですが、民法上の不当利得の返還請求権の時効が10年であることから10年分となっているそうです。

そもそも、「臨時特例企業」とは何かですが、神奈川県のHPによれば「法人課税における負担の公平と税収の安定化を図るため、臨時的・特例的な措置として創設したもの」で、法人外形標準課税が導入されるまでの措置として、資本金等の金額が5億円以上の法人を対象に平成21年3月まで実施されていたものです。

具体的には、「欠損金(各事業年度開始の日前5年以内に開始した事業年度のうち平成16年3月31日以前に開始した事業年度に生じたものに限ります。)の繰越控除を適用した事業年度(「課税事業年度」といいます。)」を対象に、課税標準額の3%(特別法人は2%)が行われていました。

この臨時特例企業税を定めた県の条例が、法人事業税について欠損金の繰越控除を定めた地方税法の規定を潜脱して課税するもので違法・無効であると争われていました。

一審では納税者の主張が認められましたが、東京高等裁判所では、繰越欠損金額が当期利益額を上回る場合には利益額の限度でしか課税されないもので、繰越欠損金額に課税するものでないことは明らかだと指摘し、法人事業税の規定を実質的に変更するものではないとして県の条例を適法とする判決が下されていました。

最高裁では、県の条例は、実質的に繰越控除欠損金額それ自体を課税標準とするものにほかならず、各事業年度間の所得の金額と欠損金額の平準化を図り、法人の税負担をできるだけ均等化して公平な課税を行う趣旨で繰越控除を認めた地方税法の趣旨・目的に反し、強行法規たる地方税法に矛盾抵触するため無効と判断されました。

3月決算の会社で考えると、この最高裁判決により未収入金を計上しなければならないケースが発生するものと考えられますが、4月2日の産経ニュース(以下参照)によれば3月中に還付加算金を含め353億3千万が既に対象企業に返還されたとのことなので、金額が大きなところは既に還付されているようです。

神奈川県は2日、3月21日の最高裁判決で無効とされた県の独自課税「臨時特例企業税」の返還金について、原告のいすゞ自動車のほか、35社に約353億円を返還したと発表した。週内に返還金総額約635億円の約8割を返還し、月内に全額を返すことで利息に当たる還付加算金の圧縮を図る。

 県は判決翌日、いすゞに約26億9千万円を返還。加算金が増えないよう返還額の大きい企業から進め、3月29日には返還額5億円以上の企業35社に納付済み税額約269億6千万円と加算金約83億7千万円の計約353億3千万円を返した。

 県は約1700社に対し、税額約480億円に加算金約150億円を加えた約635億円の返還を予定。4月中に全て返せる見込みだが、返還金を計上した補正予算は平成24年度内の返還を想定した額で、加算金1カ月分の数百万円が膨らむ見通し。増える額は「一日も早く返して加算金を圧縮する」ため、新たな補正を組まず既決予算から支払う。
 (出典:産経ニュース 2013年4月2日)

還付加算金を圧縮するため返還対応を素早くすすめるというのは正しいと思いますが、還付加算金155億円は誰が責任を負うのでしょうか?結局県税として納税者負担になるとすれば、大企業に負担を強いるつもりが、中小企業や住民の負担増にしかならないという皮肉な結果となってしまいます。

税収が足りなくなれば、税務調査で稼ぐしかないので、神奈川県の税務調査件数は増加するのではないでしょうか。

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