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日銀の金融緩和を考える-資産効果は期待できるのか?

先週木曜日(2013年4月4日)に日銀が「常識を超えて巨額」な金融緩和を行うという方針を発表しました。

その発表をうけ木曜日の午後の株価は大きく上昇し12,600円を超えて終わりました。金曜日の出だしは13,000円を一気に超えて「常識を超えて巨額」の効果はどこまでいくのかと思ってみていると、13,100円くらいで落ち着き、引けに近づくにつれて13,000円を割り込み、結局は12,833円で終了しました。

金曜日であるという点はあるものの、「常識を超えて巨額」な金融緩和への反応はこんなものなのか。黒田総裁もこの程度の影響と考えていたのか、もう少しインパクトがあると考えていたのか本音を聞いてみたいところです。

さて、日銀の金融緩和は物価上昇目標の2%を達成ことを目指すものとのことですが、多くの人が関心があるのはこれで景気が良くなるのか?ではないかと思います。

個人的にはあまり効果がないのではないかという気はします。理由は、いくら市場に資金を供給しても、それを使用する側に資金需要がないからです。こう書くとお金を貸してくれるならいくらでも借りたいという人はいるかもしれませんが、単にお金がなくて困っているという人に銀行はお金を貸してはくれません。

上場会社でいえば、2011年度末でほぼ半数が実質無借金で(2012年6月14日日経新聞)、有利子負債に比べた手元資金の超過額は無借金企業合計で25兆円(11年度末)となっています。このような状況からすると、低利といえども追加で資金は必要ないという可能性が高いと言えます。

しかしながら、BRICSの次はVISTAと言われるように、新興国への進出意欲というのは根強いように思うので、日本で資金を調達しVISTAへ投資ということは考えられます。この場合、上がるのは日本の物価ではなくVISTA各国の物価ということになります。

もっとも、「常識を超えて巨額」なので、従来の金融緩和以上に各種ファンドにも資金が流入し、株や不動産の価格が上昇することは考えられます。物価上昇という意味ではこれで達成ということになるのかもしれませんが、一般人として気になるのは株などの金融商品や不動産価格が上昇すると消費が増加し景気が上向くのか?です。経済学的には、株や不動産価格が上昇すると、資産効果により消費が増え景気にプラスの影響を及ぼすと習った気がします。

この資産効果については、2013年3月12日のニューヨークタイムズにBruce Bartlett氏が書いた”Wealth, Spending and the Economy“という記事で興味深い内容が書かれていました。

ニューヨーク大学の経済学者Edward N.Wolff氏の研究によると、中流階級(所得の上位20%~80%)では、株式が試算に占める割合は3.1%にすぎず、資産の2/3は住宅が占めています。一方で、所得上位1%の人々は、住宅が資産に占める割合は9.4%にすぎず、一方で株式が資産に占める割合は25.4%となっています。上位2%~20%でも株式の保有割合は14.9%と大きくなっており、一方で住宅が占める割合は30.1%にすぎません。

一般的に、資産価値が1ドル上昇すると3セント~5セント消費が増加するとされており、2007年から2009年にかけて住宅価額は10兆ドル下落しているので、消費は3000億ドル~5000億ドル減少させた計算となる。

ところが、最近の研究によると、住宅価格が変動したときと金融資産価格が変動したときでは人々の反応が異なること、および価値が上昇したときと下落したときでも反応が異なることが分かっている。

経済学者のKarl E. Case氏、 John M. Quigley氏、Robert J. Shiller氏による最新の研究によれば、住宅価額が1ドル下落すると年間10セント消費が下落し、一方で住宅価額が1ドル上昇しても消費は3.2セントしか増加しません。

一方で、株式価格の変動が消費にあたえる影響はもっと小さいものとなっています。すなわち、株式価格1ドルの変動に対して消費は2.5セントしか変動しません。

この研究結果からすると、大きく住宅価格が下落したことにより消費が下落した影響を打ち消すためには、現在の不動産価格の上昇傾向があと数年継続する必要があるということになるというものです。

これはアメリカでの実証研究であるので、単純に日本の場合も同様ということはできませんが、中流階級で住宅を購入している場合は、住宅が資産の大部分を占めるというのは同様ではないかと思います。特に住宅ローンが多く残っている場合、住宅を資産といってよいのかも微妙なところで、このようなケースでは仮に株を保有していても消費を増やそうという気が起こらないというのは理解できます。一方で、不動産価格が上昇し含み益が生じれば、住宅ローンの返済ができなくなるという恐れが小さくなるので、財布のひもが緩くなるというのも頷けます。

上記で書いたように、企業の国内での資金ニーズは大きくないと思いますが、消費税が増税されること、低金利であることから住宅購入意欲が増加すると考えられる一方で、銀行も融資資金があまるであろうことからすると、住宅ローンの貸し出しも緩くなり不動産価格は上昇するのではないかと思います。ただ、日本版サブプライムにはならないように願います。

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