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国税通則法の改正による税務調査手続の明確化(その1)

今回から何回かに分けて、国税通則法の改正による税務調査手続きの明確化について確認していく予定です。といっても、この改正自体は、平成23年税制改正によって1年半位前の平成23年11月30日に成立してているものです。しかしながら、改正による税務調査手続の見直しや理由の附記についての規定は平成25年1月1日から施行されており、今後の税務調査等で役立つかもしれませんので、内容を確認していくことにしました。

最初に平成23年度の国税通則法の主な改正内容を確認しておくと、以下の三つとなっています。

  1. 税務調査手続きの明確化
  2. 更正の請求期間の延長
  3. 処分の理由附記の義務化

上記のうち「税務調査手続きの明確化」に関連する内容を以下で確認していきますが、そもそも、一般にいう「税務調査」にはどのようなものがあるのかを確認しておくと、目的の違いによって以下の三つに区分されます。

①課税処分のための調査
②滞納処分のための調査
③脱税(犯則事件処理)のための調査

上記の区分において①課税処分のための調査・②滞納処分のための調査と③脱税(犯則事件処理)のための調査が大きく異なるのは、①・②が任意調査の性格を持つに対して、③は強制調査の性格を持つという点です。
そして、この①・②の調査を行う権限が「質問検査権」と呼ばれ、改正前は各税法に規定が置かれていたものが、国税通則法にまとめて規定されるように改正されました。

正直なところ、国税通則法なんてほとんど見たこともありませんでしたが、改正により質問検査権以外にも以下のような条文が設けられています。

条項

内容

74条の2~6 質問検査権(所得税・法人税・消費税・相続税等)
74条の7 提出物件の留置き
74条の8 権限の解釈
74条の9 事前通知
74条の10 事前通知を要しない場合
74条の11 調査終了の際の手続き
74条の12 官公署等への協力要請
74条の13 身分証明書の携帯

税務署が課税処分を行う場合には、「調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する」(国税通則法第24条)とされているため、その前提として「質問検査権」が必要となるわけですが、前述のとおり、質問検査権は、任意調査を認めるに過ぎず、相手方の意に反して事業所に立ち入り、調査を行うというような強制捜査を認めるものではないとされています。

このため、納税者の協力が得られなかった時の課税庁の手段として、推計課税が認められています(法人税法131条及び所得税法156条)。その上、正当な理由なく調査に応じない場合や調査を妨害する場合には、「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」(国税通則法127条)とされています。

したがって、任意調査という基本的な性格を有するというものの、調査に協力しない場合には納税者が大きな不利益を被る可能性があるという点には注意が必要です。
ただし、上記の罰則規定は、国税通則法改正前の検査忌避等に対する罰則規定と同様であり、「正当な理由なく、提示・提出に応じない場合にも上記罰則をもって、強権的に提示提出を求めるのではなく、納税者の理解と協力が得られるように努め、納税者の理解と協力が得られるように努め、納税者の承諾のもとに行い、従来の運用を変更するものでない」ことが国会の答弁で確認されています。(経営財務3242号「国税通則法の改正に伴う税務庁舎実務への影響とその留意点①」)

質問検査権が条文上どのように定められているのかを確認しておきます。なお、読みやすいように括弧書き等を省略してありますので、ご注意ください。

国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の当該職員は、所得税、法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む)の提示若しくは提出を求めることができる。

そして、税目ごとに質問検査権を行使できる対象者が明示されていますが、ここでは法人税法についてのみ確認しておきます。

二  法人税に関する調査 次に掲げる者
イ 法人(法人税法第二条第二十九号の二 (定義)に規定する法人課税信託の引受けを行う個人を含む。第四項において同じ。)
ロ イに掲げる者に対し、金銭の支払若しくは物品の譲渡をする義務があると認められる者又は金銭の支払若しくは物品の譲渡を受ける権利があると認められる者

上記のロは、簡単に言えば取引の相手方で、反面調査で対象者となり得るものということになります。

今回はここまでとし、次回は改正で明確化された「調査」の意義から確認します。

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