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株式上場を行使条件とするストックオプションと対象勤務期間の注記の関係

上場準備会社では、従業員等のモチベーションアップなどを目的としてストック・オプションが付与されていることが多くあります。

そして付与されてるストック・オプションには通常以下のような行使条件が付されています。

  1. 新株予約権者権利が権利行使時において、当社の取締役、監査役または従業員であること(顧問等の地位が含まれたり、子会社での地位を含めたり範囲はケースバイケースで異なります)
  2. 権利行使期間をむかえていても株式が上場されていなければ権利行使できないこと

このような条件が付されている場合、ストック・オプションの注記として記載すべき対象勤務期間をどのように考えるのか、というのが今回のテーマです。

上記のような条件が付されているストック・オプションの注記を新規上場会社のIの部で確認してみると、「対象勤務期間」には通常「定めはありません」というような注記がなされています。

財規8条の15において、「対象勤務期間の定めがない場合はその旨」を注記することとされているわけですが、上記のような条件で対象勤務期間の定めがないといえるのかが問題となります。

対象勤務期間の定義については、ストック・オプション等に関する会計基準第2項において、「ストック・オプションと報酬関係にあるサービス提供期間であり、付与日から権利確定日までの期間をいう。」とされています。
付与日に関しては特に問題はないと思いますので、次に「権利確定日」について確認しておくと、「権利の確定した日をいう。権利確定日が明らかでない場合には、原則として、ストック・オプションを付与されたものがその権利を行使したことにより、行使価格に基づく金額が払い込まれた日をいう。」とされています。

さらに権利確定日については、ストック・オプション適用指針17項で以下のように定められています。

(1) 勤務条件が付されている場合には、勤務条件を満たし権利が確定する日

(2) 勤務条件は明示されていないが、権利行使期間の開始日が明示されており、かつ、それ以前にストック・オプションを付与された従業員等が自己都合で退職した場合に権利行使ができなくなる場合には、権利行使期間の開始日の前日(会計基準第2項(7))。この場合には、勤務条件が付されているものとみなす。

(3) 条件の達成に要する期間が固定的ではない権利確定条件が付されている場合には、権利確定日として合理的に予測される日

ここで、上記の(2)からすると対象勤務期間があるということになるのではないか?という疑問が生じます。

しかしながら、適用指針の第19項(複数の権利確定条件が付されている場合)では以下のように定められています。

19. 複数の権利確定条件が付されている場合には、権利確定日は次のように判定する。

(1) それらのうち、いずれか1つを満たせばストック・オプションの権利が確定する場合には、最も早期に達成される条件が満たされる日

(2) それらすべてを満たさなければストック・オプションの権利が確定しない場合には、達成に最も長期を要する条件が満たされる日

なお、ストック・オプションの権利が確定するために、ともに満たすべき複数の条件と、いずれか1つを満たせば足りる複数の条件とが混在している場合には、上記(1)と(2)を組み合わせて判定する。
また、株価条件等、条件の達成に要する期間が固定的でなく、かつ、その権利確定日を合理的に予測することが困難な権利確定条件(前項後段)が付されているため、予測を行わない場合については、本項の適用上は、当該権利確定条件は付されていないものとみなす。

19項の(2)からすると、上場日と権利行使日のいずれか遅い日が権利確定日となり対象勤務期間となりそうですが、「株価条件等、条件の達成に要する期間が固定的でなく、かつ、その権利確定日を合理的に予測することが困難な権利確定条件(前項後段)が付されている」場合には「権利確定条件は付されていないものとみなす」とされています。

株式の新規上場という状況を考えてみると、上場を達成するまでの期間は固定的ではありませんし、目標とする上場時期というものはあるにしても、上場日がいつになるのかを合理的に予測することは困難と考えられます。

したがって、「権利確定条件は付されていない」とみなされることになり、結局のところ、よく見かける事例のように対象勤務期間は定めがないということになります。

適用指針17項に飛びつくと間違える可能性があるので注意が必要です。

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