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改正退職給付基準対応-計算が間に合わないリスクも

経営財務3127号に「改正退給対応待ったなし 期日までに数字が揃わない可能性も」という記事が掲載されていました。この記事の内容通りだとすると事態は結構深刻です。

まず改正退職給付会計基準の対応状況については、「割引率や期間帰属方法まで検討済みとみられるのはわずか2~3割程度」で、多方は「これから検討・準備に着手」するという状況にあるようです。なお、すでに方針を固めたとみなせる企業の中で、「期間定額基準」を選択する企業は3~4割程度で、「上場企業全体では、7割程度が検討中・未回答とみることもできる」とされています。そして、このような状況は、現時点で年金数理計算の受託金融機関が描くスケジュールから「3~4か月遅れ」となっているとのことです。

受託金融機関の要望として、「通常,PBOの計算には数ヶ月かかる」ため、「年内には正式決定をしてほしいが、その場合でも3月末までの数字の提示が難しい可能性がある」とのことです。金融機関の対応は先入先出しであるため、これが事実であるとすると企業側としては早急に対応が必要となります。
なお、「いまから試算では間に合わないので本計算を薦める」とする一方で、方針が二転三転すると対応が困難なので事前に会計士と協議の上方針を固めることを推奨する旨の見解も示されていました。

また、会計士、年金数理人の見解として「基準改正はコンバージェンスのため。そうであれば、IFRSと同様、給付算定式基準に移行するのが基準の正しい読み方だ。」というものが紹介されていました。選択適用が認められている以上、正しい読み方も何もあったものではないだろうという気はしますが、将来的なIFRSの強制適用がちらつくため意思決定が遅れているという点は否定できないように思います。

受託金融機関の立場からすると、給付算定式にするのであればクライアント数と同じだけのプログラムが必要となり、特に後加重の均等補正の処理は実務負担が大きく準備時間も3割増しで考えてほしいとのことです。

では、なぜ企業の対応が進んでいないのかという点については二つの理由が示されていました。
一つは、給付算定式基準の採用が無難だとしても実体が変わっていないのに評価が変わって、数字が変わることを受け入れられないというものです。
もう一つは、「経営陣に説明しづらい」というものです。確かに、そもそも従来の期間定額基準ですら概念を理解している経営陣は少ないと考えられるところ、そこに給付算定式基準が選択可能となったといわれても、これを理解してもらうのはなかなか難しいと思います。

その上で、年金数理計算という一般人にはブラックボックス的な過程を得て算出された負債額や費用計上額の変動を説明して理解してもらうのは骨が折れる作業だというのは容易に想像できます。説明する側の立場からすると、何でそんなに計算結果がかわるの?というような単純な疑問に明確に答えるのが難しいはずですから。

そうはいっても、年内に正式決定しても間に合わない可能性があるとのことなので、早急に意思決定する必要があるようです。

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