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リコールと製品保証引当金

今回はリコールと製品保証引当金についてです。

製品や商品販売後に不具合が判明した場合リコールが必要となることがあります。リコールが必要となった場合、それなりに追加で費用がかかるわけですが、リコールの内容によっては対応費用が巨額となることがあります。

巨額なリコール費用が発生した場合、赤字転落、最悪の場合倒産ということもあり得るわけですが、会社の立場からすれば、このような事態に備えて少なくとも会計的には何とか対応しておきたいという思惑が生じます。

会計的にリコールに対応する処理としては、まずその名のとおりリコール損失引当金を計上することが考えられますが、「リコール損失引当金」で有価証券報告書のデータベースを検索してみると、2003年以降で検索しても10社未満程度(シロキ工業、フタバ産業、ツインバード工業、イトーキなど)となっていますので、一般的な方法とはいえません。

ではどうるすのかですが、一般的には製品保証引当金に含めて計上されることが多いと考えられます。リコール分がどう処理されているかを財務諸表で明確に確認できることは多くはありませんが、北米での問題が記憶に新しいトヨタ自動車のケースでは、平成22年3月期の有価証券報告書(単体)に以下のような記載がなされています。

(2) 製品保証引当金
製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるために、保証書の約款および法令等に従い、過去の実績を基礎にして計上しています。
(追加情報)
当事業年度より、将来のリコール等の市場処置に関する費用について、従来の個別に見積もる方法に加え、過去の発生状況を基礎にして包括的に見積もる方法を併用しています。これは、当事業年度において一連の品質問題をふまえ、「グローバル品質特別委員会」の設置などお客様視点での取り組みの強化に向けて業務の抜本的見直しを行ったこと、および市場処置台数が増加したこと等によるものです。
 
この見積り変更により、当事業年度の営業損失、経常損失および税引前当期純損失はそれぞれ105,698百万円増加しています。

上記からトヨタ自動車の場合は、リコール関連の費用も製品保証引当金に含まれて計上されていることが明らかです。加えて、もうひとつ興味深い点が追加情報に記載されています。それは、従来の個別見積りに加えて「過去の発生状況を基礎にして包括的に見積もる方法を併用」しているという点です。

トヨタ自動車のホームページでリコール情報を確認すると2012年は11件、2013年は現時点で9件のリコールが公表されています。

通常の製品保証と比較して、リコールはかなりイレギュラーな事象というイメージがありますが、相当な数の製品を販売し上記のような実態があることからすれば、リコールも不可避的に生じうる発生可能性が高い事象で、金額も合理的に見積もることも可能なので包括的に製品保証引当金の計上対象とし得るということです。

問題は10年に1回あるいは20年に1回あるかというような大規模なリコールを見積に含めることができるのかという点ですが、実績がある以上不可能ではないものの、計上額の合理性を説明するためのハードルは高いと考えられますので、このようなものについてはトヨタ自動車でいうところの「個別に見積もる方法」を採用するのが無難と考えられます。

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