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亡くなった役員に支給される弔慰金は役員報酬に含まれるか

役員の方が在任中に亡くなられた場合、会社から弔慰金が支給されることがあります。

今回は、この弔慰金と役員報酬との関係をどのように考えるのかについてです。

1.会社法との関係

会社法上、役員報酬等は定款又は株主総会の決議によって定めなければならないとされています(会社法361条、387条等)。
余裕をもって年間支給額総額の枠が決議されているような場合であれば、弔慰金が役員報酬であろうがなかろうが、会社法的には適法ということになりそうですが、弔慰金を役員報酬とすれば総会で承認されている役員報酬の額を超えてしまうというケースもおこりえます。

弔慰金を役員報酬と考えるべきかについては、「具体的な事情に基づき贈呈される弔慰金の趣旨によることとなり、これは具体的な事情に基づいて判断される」(「役員報酬をめぐる法務・会計・税務」田辺総合法律事務所・清新監査法人等)とされています。

具体的には、弔慰金の金額が、死亡以外の事由によって退任した役員に対する退職慰労金の金額の算定と同様の基準により算定されていれば、死亡による退任に基づく退職慰労金として役員報酬ととらえるのが妥当であるのに対し、弔慰金の金額が、その役員の在任期間、社会的地位、会社の規模、その他の事情からして、退職慰労金というよりは香典相当の額であれば、これは香典として役員報酬にはあたらないと考えられます。

2.法人税法との関係

法人税法上も弔慰金の金額が法人の規模、役員の地位、在職期間等からして適正な金額と考えられるものであれば損金算入が認められると考えられます。

問題はどこまでが適正な金額として損金算入が認められるのかですが、この点について法人税法上は明確な基準はないようですが、相続税法基本通達3-20では、被相続人の死亡により相続人その他の者が受ける弔慰金等が実質退職手当等に該当するかどうか明確でないものについて業務上死亡の場合には普通給与額の3年分相当額を、業務上の死亡でない場合には普通給与額の半年分相当額を非課税とするとされています。

報酬(給料)3年分相当の弔慰金は相当の金額になりうるので個人的には適正な金額の範疇を超えているような気はしますが、あり得る範囲内として相続税法で非課税とされると考えれば、この範囲内は適正だという主張も可能だと考えられます。

もっとも、いくら相続税法上非課税とされる範囲内であっても、いかなる場合も3年分というのは適正とはいえないと考えられますので、役員の地位、在職期間等を勘案して支給月数等を事前に決めておくというのは必要だと考えられます。

3.会社法と法人税法の考え方の関係

上記のとおりだとすると、香典相当額を超え相続税非課税限度額以下の弔慰金のとらえ方を会社法と法人税法でどのように整合させるのかという疑問が生じます。

つまり、会社法上では役員報酬に該当する一方で、法人税法では損金算入が認められるということになりますが、役員報酬であるとすれば定期同額でも事前確定でもないので損金算入が認められないのでは?という損金算入が認められるとすることと矛盾する疑問が生じます。

整理の仕方としては、税務上別枠で損金算入の適正額が判定される退職慰労金くらいにとらえておくのがよいのではないかと思います。

なお、法人税法基本通達9-2-28(役員に対する退職給与の損金算入の時期)では以下のように述べられています。

9-2-28 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。ただし、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には、これを認める。

会社法上、香典相当の額を超える場合は役員報酬に該当するとすれば、香典相当額を超える弔慰金を支給する場合には、会社法で必要とされる手続きがとられているはずなので、上記の通達から総会決議時あるいは支給時に損金算入が認められるということになると考えられます。

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