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分掌変更時に報酬を1/3にしても役員退職給与の損金算入が否定された事案

T&A masterのNo.513に”分掌変更の役員退職給与を損金と認めず”という記事が掲載されていました。

役員の分掌変更等の場合の退職給与については、法人税法基本通達9-2-32で以下のように述べられています。

(役員の分掌変更等の場合の退職給与)

9-2-32 法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。(昭54年直法2-31「四」、平19年課法2-3「二十二」、平23年課法2-17「十八」により改正)

(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。

(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除く。)になったこと。

(3) 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。

(注) 本文の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。

上記から報酬が半分以下になって、出勤日数も減少して非常勤役員とすればあまり問題となることはないのではないかと思っていましたが、そうでもないというのがこの事例です。

ここで紹介されていた事例では、

  1. 役員報酬の額を従前の3分の1に減額されていた
  2. この役員は月3、4回出勤するだけの非常勤役員になっていた
  3. 製造管理に関する技術的なアドバイスを行う一方で、経営判断の根幹にかかわるアドバイスは行っていなかった

という状況でしたが、代表取締役から非常勤役員に分掌変更された際に支払われた役員退職給与の損金算入が認められませんでした(沖裁(法)平24第5号)。

国税不服審判所が損金算入を認めなかったのは、

  1. 本件役員が主力商品の製造管理に関する技術指導を行っていること
  2. 法人が発行する株式の50%超を保有していること

から、非常勤であるとしても、勤務先法人にとって重要な業務を行っていると認定し、分掌変更によって実質的に退職したと同様の事情があるとは認められないと判断したためであるとのことです。

報酬が大きく減額し、出勤日数も月3~4日であれば、外見的には影響力のある地位を占めているようには見えないことのほうが多いと考えられることからすれば、やはりポイントは持株比率ではないかと考えられます。

もちろん分掌変更後の業務の実態も考慮する必要はありますが、持株比率が50%を超えるような役員の場合には特に注意が必要ということではないかと考えられます。

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