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役員退職慰労金廃止の会計処理

業績との連動性が低いことや役員の業績に対する動機づけが希薄であることなどを理由として、役員退職慰労金制度を廃止してストックオプションを導入する会社が増えています。役員退職慰労金制度がある会社がIPOをしようとする場合も、証券会社から役員退職慰労金制度は廃止したほうがよいのではないかという提案がされることもあります。

では、実際に役員退職慰労金制度を廃止しようとする場合の会計処理がどうなるのかというのが今回のテーマです。

考えられる主なケースは以下の二つです。

  1. 役員退職慰労金制度は廃止することとしたが、廃止時点までの分の役員退職慰労金の支給決議は退任して支給するときまで行わない
  2. 役員退職慰労引当金を廃止することとし、役員退任時に支給する役員退職慰労金の金額の支給決議を行う

上記1のケースでは、株主総会で支給決議が行われておらず、あくまで内規に基づいて制度廃止時点までの期間を対象とした役員退職慰労引当金が将来支給される見込みの状態ですので、従来通り役員退職慰労引当金として計上を続けることになります。そして、実際に役員が退任し、役員退職慰労金が支給された時点で役員退職慰労引当金を取り崩すことになります。

このケースでは、以下のような開示がなされることになります。

㈱ゼンリン 2013年3月期 単体

(5) 役員退職慰労引当金
役員の退職慰労金の支給に備えるため、役員退職慰労金規程(内規)に基づく期末要支給額を計上しております。
なお、当社は平成18年3月31日付で役員退職慰労金制度を廃止しており、当事業年度末の役員退職慰労引当金残高は、制度廃止時に在任していた役員に対する当社所定の基準による打切支給予定額であり、支給時期はそれぞれの役員の退任時としております。

次に上記2のケースでは、役員退職慰労金の支給時期は退任後であるものの、支給額については株主総会で決議済であるため、役員退職慰労金引当金を確定債務として「長期未払金」等の勘定へ振り替えることになります。

このケースでは、以下のような開示が行われることになります。

ニフティ㈱(2013年3月期) 単体

(4) 役員退職慰労引当金
 役員及び執行役員の退職により支給する退職慰労金に充てるため、内規に基づく当事業年度末要支給額の全額を計上しております。
(追加情報)
 当社は従来、退職慰労金の支給に備えるため、内規に基づく要支給額を役員退職慰労引当金として計上しておりましたが、当事業年度中の定時株主総会において、役員退職慰労引当金制度廃止に伴う打ち切り支給が決議されました。これに伴い、「役員退職慰労引当金」を取り崩し、支給済分を除く、打ち切り支給額の未払金66百万円については、固定負債の「その他」に含めて表示しております。

主に上記の二つの方法が考えられますが、役員退職慰労金制度を廃止し、廃止時点以前分も支給しないことにすることも考えられます。事例を探してみたところ、以下の事例がありました。

㈱タカラレーベン(2013年3月期)単体

⑤ 役員退職慰労引当金
 役員の退職慰労金の支出に備えるため、役員退職慰労金規程(内規)に基づき当連結会計年度末における要支給額を計上しております。
(追加情報) 
 当社は、平成24年6月22日開催の取締役会において、役員退職慰労金制度の廃止を決議いたしました。制度の廃止に伴い、全取締役の同意を得て、役員退職慰労引当金の全額戻し入れを行い、当連結会計年度において、役員退職慰労引当金戻入額53百万円を特別利益に計上いたしました。
なお、連結子会社においては役員退職慰労金制度が存続しており、従来通り、内規に基づく連結会計年度末要支給額を負債計上しております。

最後に、役員退職慰労引当金制度を廃止し、支給決議も行った上で制度廃止時(在任中)に支給するという選択肢もありますが、税務上は損金不算入となってしまうため現実的にこの方法が選択されることはないと考えられます。

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