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出る杭はもっと出ろ!

クロス取引の取扱い

税務通信の3283号に”軽減税率の廃止とクロス取引”という記事が掲載されていたのを見て久々に思い出したので、今回は株式等のクロス取引の取扱いについて取り上げることにしました。

結論からすれば、会計上も法人税法上もクロス取引は売買処理が認められません。つまり、クロス取引によって益出しや損出しは認められないということになっています。最近クロス取引が論点になることがなかったのは、この処理が実務上浸透しており、クロス取引で損益を調整しようとチャレンジする会社が減っているということなのかもしれません。

会計上、クロス取引の売買処理が認められないのは、金融資産の消滅の要件のうち「譲渡人が譲渡した金融資産を当該金融資産の満期日前に買戻す権利及び義務を実質的に有していないこと」(金融商品会計基準第9項(3))という要件満たさないためです。簡単に言えば、形式的な売買で損益を認識することは認めないということです。

では、どのような取引がクロス取引に該当するかですが、この点について金融商品会計基準Q&A12では以下のように述べられています。

(一部抜粋)
金融資産を売却した後に同一の金融資産を同一数量若しくはほとんど同一数量購入した場合又は金融資産を購入した後に同一の金融資産を売却した場合で、かつ、譲渡価格と購入価格が同一の場合、又は譲渡の決済日と購入の決済日の期間に係る金利調整が行われた価格である場合には、譲渡人が譲受人から再購入又は回収する同時の契約があると推定されます(実務指針第42項)ので、金融資産の消滅の認識要件を満たさず売却処理は認められないと考えられます。

上記のような場合がクロス取引に該当するのはイメージ通りといえそうですが、以下のようなケースにも注意が必要です。

(一部抜粋)
金融資産を売却した直後(5営業日までは直後と考えられます。)に同一の金融資産を購入した場合又は金融資産を購入した直後に同一の金融資産を売却した場合であって、それらの取引における譲渡価格と購入価格がともに取引時の時価であるからといって必ずしも売却処理が認められるわけではなく、実質的に相対取引になっていると解される等、取引の実態によっては売却処理が否定されることもあります。

保有数量がたいした数量でなく日々の市場取引量がある程度ある銘柄であれば、市場を通じた売買が「実質的に相対取引になっている」というような状況にはないと思いますが、売買処理を望むのであれば、少なくとも5営業日内の買戻しはやめたほうが無難と考えられます。

法人税法上においても、平成12年に株式(売買目的有価証券を除く)のクロス取引による損益は認識しないことが明確化されています(法人税法基本通達2-1-23の4)。

一方で、個人の所得税法においては、「市場取引などの場合はクロス取引による売却でも、株式の譲渡として認められる(「個人が上場・店頭売買株式を売却するとともに直ちに再取得する場合の当該売却に係る源泉分離課税の適用について」(法令解釈通達)平成12年3月17日 課資3-2等)」(税務通信3283号)。
というわけで、所得税の観点からは軽減税率が適用される今年中に含み益が生じている銘柄のクロス取引を検討したほうがよいと考えられます。

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