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粉飾企業の非常勤監査役への損害賠償請求は認められるか?

T&A masterのNo.529に「粉飾企業の非常勤監査役への損害賠償請求は認められるか?」という解説記事が掲載されていました。

この記事で紹介されていたのは粉飾決算により上場廃止となったニイウスコーの事例で、結果的に非常勤監査役への損害賠償請求が認められませんでした。参考までに、代表取締役に対しては約1.5億円の損害賠償請求を命ずる判決が下されています。

1.当事者の主張

(1)原告株主
原告株主は、ニイウスコーで長期かつ巨額(5年にわたり売上約682億円を粉飾)の粉飾決算が続いていたこと自体が非常勤監査役の過失を推認させるなどと主張しました。

(2)非常勤監査役
これに対して非常勤監査役は、ニイウスコー社における粉飾は沿謳おうな注意を用いても知ることができなかったため損害賠償責任は負わないと反論しました。

2.裁判所の判断

裁判所は、監査役が「相当な注意を用いた」(金商法21条②-等)ということができるか否かの判断について、監査役会が定めた職務分担の内容が監査役としての善管注意義務に照らして相当である限り、監査役は自己の分担するものとして定められた職務を善管注意義務に従って遂行すれば「相当な注意を用いた」ものと認めることができるとした。

(相当な注意を用いたと判断した判断根拠)

  1. ニイウスコー社の監査役の職務分担は、常勤監査役が日々の社内の会議等に出席し、非常勤社外監査役常勤監査役から監査状況について報告をうけるというものであり、これは効率的な監査を可能にするため合理性を欠くとはいえず、このような職務分担が行われたことをもって善管注意義務違反になるとはいえない。
  2. 非常勤監査役が監査役会(年3回から4回開催)にすべて出席し、常勤監査役の実施した監査の内容の報告を受けていた。
  3. 監査役会として必要に応じで担当取締役から説明の聴取を行っていた。
  4. 重要な事項に関する意思決定については代表取締役に意見の具申等をしていた。

上記の状況を勘案し、裁判所は、金商法21条2号1号等の規定の適用上、相当な注意を用いて監査役としての職務執行を行っていたものと判断しました。

取締役会で公然と話に出ていたというようなケースでなければ、監査法人による会計監査でも分からなかったものを非常勤監査役が見抜くというのはやはり難しい気がしますので、原告株主には気の毒ですが、裁判所の判断は妥当なところではないかと感じます。

3.非常勤監査役になるなら・・・

上場企業の非常勤監査役になる機会は多くはないですが、仮に上場企業の非常勤監査役に就任するなら上記の事案から以下の点に注意が必要といえそうです。

①職務分担を監査計画等で明確に書面化しておくこと。
②監査役会の開催頻度を増やして出席率をあげること。
③取締役会への出席率もほぼ100%を維持し、きちんと意見を述べること。
④気になったことがあれば常勤監査役に依頼してでも確認すること。

社外監査役は割においしいという話も聞きますが、いつも損害賠償請求を回避できるわけではないので、仕事はきちんとしましょう。

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