menu
閉じる
閉じる
閉じる
  1. 特定退職金共済とは何ですか?
  2. 内々定の法的性格は?
  3. 株主優待で金券を交付した場合は源泉徴収必要か?
  4. 「居住者」「非居住者」の判断を滞在日数のみで行うのは要注意
  5. 平成29年度税制改正(その6)-法人税等関連(スピンオフに関する組織再…
  6. IFRS任意適用会社が144社に-経営財務調べ
  7. 譲渡制限付株式を役員に交付した場合の会計処理は?
  8. 平成29年度税制改正(その4)-法人税等関連(試験研究費の税額控除)
  9. 税務調査による更正が「誤謬」か否かの境界は何?
  10. PCデポが過年度誤謬の判明と公認会計士の異動を公表
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

自宅兼事務所の家賃が必要経費として認められなかった裁判の詳細が判明

約1カ月前に”自宅兼事務所の家賃が必要経費として認められない!”というエントリで、自宅兼事務所の家賃や水道光熱費の損金算入が認められないという判決が出たという事案を紹介しました。

T&A master No.531号で紹介されていた記事については興味を持った方が多かったようで、同誌に「裁判所の判断内容などを詳しく利したいという問い合わせが多数寄せられた」そうです。これを受けて同No.535では、重要判決紹介として同判決内容がより詳しく紹介されていました。

前回の記事ではわからなかったことも含めて前提事実は以下のようなものです。

・2階建住宅で1階に約15畳のLDK・洗面所・トイレ・浴室、2階に洋室3部屋(約6.5畳、約5.5畳、約5.7畳)という間取り
・家賃17万円(駐車場付)で4人暮らし(妻+子供二人)
・問題となった年度(平成21年)の当時、妻と共同で保険代理店を行っていた
・自宅以外に事務所は賃借していなかった
・管轄の税務署長は平成22年6月に所得税の調査を実施した
・平成22年11月に平成21年分の所得税の修正申告書を提出し、修正申告をおこない、この際に以下の金額を事業所得の金額の計算上必要経費に算入して所得税額等を算出した
①地代家賃
地代家賃を妻と1/2ずつ按分した額。T&A masterの記事からするとこの修正申告段階では本件家賃(=原告が居住する住宅に係る地代家賃)を1/2ずつ按分したということなので、家賃17万円を原告と妻で8万5千円ずつ事業経費に算入したということのようです。
②水道光熱費
地代家賃と同様に水道光熱費の1/2ずつ、原告と妻で按分した額
・税務署長は、税務調査に基づき平22年12月10日付で、原告の平成19年分以降の所得税に係る青色申告の承認の取消処分を行うとともに、上記金額を必要経費に算入することはできないとして更正処分等をした

ここまでの前提事実からすると、自宅兼事務所の家賃が全く必要経費として認められないという最初のインパクトが若干薄れてきます。この事案において最終的には面積按分も否定されてはいるのですが、この記事を読む限りにおいて当初この原告は家賃全額を(自分と妻で)事業経費として取り扱おうとしたようなので、さすがにそれは認められないのは当然だと考えられます。また、税務調査が入って修正申告をした際に、このような無茶な処理を行った(元々行っていた処理を修正するのを拒んだという可能性もありますが、記事の書き方からすると修正申告に合わせてトライしたと読めます)ということから、追徴額を減少させるために苦し紛れに事業経費を増やそうとしたという色合いが強そうです。

よって、一言でいえばあまり普通の状況ではないといえます。

なお、国側の主張の一部として「原告が本件地代家賃のうち事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきと主張する金額は、確定申告から不服申し立てに至る経緯において変遷し、かつ、原告が本訴において主張する本件地代家賃の事業用割合は60%であるが、本件水道光熱費の事業使用割合は50%であり、本件地代家賃と本件水道光熱費の事業割合が異なることについて原告は何ら合理的な説明ができていない」と述べられています。このことからも、確定申告時0%、修正申告時100%、不服申し立て時60%というような変遷をたどったのではないかと推測されます。

一方で、原告の主張としては、以下のようなものです。

  • 業務に使用する場所は明確に区分され、毎日、会議、食事会、パーティ、ミーティングのために使用していたので、家族団欒の場所としては使用できない
  • 原告が優雅な生活を送っている様子を見せるため高級な什器備品を置いているのであって、生活のためではない
  • 2階の事務所スペースを寝室として使用するのは年1、2回しかない。
  • 事業に使用している面積割合を勘案して事業割合を60%としたのであり、会計士からのそれが妥当であるという意見書をもらっている
  • 裁判所は、家事関連費を必要経費に算入することができる要件として以下の二つをあげています。
    ①事業所得等を生ずべき業務の遂行上必要であること
    ②その必要な部分の金額が明確に区分されていること

    そして、「本件住宅は、全体として居住用の用に供されるべき3LDKの2階建て住宅であり、その構造上、本件住宅の一部について、居住用部分と事業用部分とを明確に区分することができる状態にないことが明らかであり、原告がその家族と共に本件住宅に居住していることを併せて考えると、平成21年時点において、原告と妻XXが、本件住宅のリビング等を本件業務の専用スペースとして常時使用し、それ以外の用向きには使用していなかったとは考えられず、むしろ、居宅である本件住宅において、原告が家族と共に家庭生活を営みつつ、本件各業務及びこれに関連する業務などを行っていたものと認めるのが相当である。したがって、本件のうちリビング等が、本件各業務のためにいわば専用スペースとして使用されていたことを前提として、本件地代家賃のうち本件住宅の全面積にリビング等が占める割合に相当する部分を本件各業務の遂行上必要な金額であるという原告の主張は採用することはできない」という判断が下されています。

    記事のまとめ方の問題かもしれませんが、上記からすると「リビング」が無理筋で、芋づる式に2階の洋室も否定されたという感じがしてなりません。業務スペースと主張した2階の洋室がどのような状況であったのかについては特に触れられていませんが、机や本棚が配置されていたとすると6畳程度の部屋で年1、2回とはいえ寝室として使用できる位のスペースがあるものかは疑問です。

    そのように考えると、今回の判決によって、自宅兼事務所の家賃の経費算入がすべて否認されるというわけではない気がします。

    日々成長

    関連記事

    1. 外形標準課税の拡大の方向性が明らかに-平成27年度税制改正大綱

    2. オフバランスになっている中小企業のデリバティブに要注意

    3. 事業年度をまたいで事前届出金額と異なる金額で役員報酬を支給した場…

    4. 平成23 年度税制改正大綱-その3

    5. 減資と住民税均等割の関係

    6. 馬券収入-最高裁判決以上の利益をあげるも雑所得と認められず

    コメント

    1. この記事へのコメントはありません。

    1. 2016年 6月 09日

    カテゴリー

    ページ上部へ戻る