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個人事業で使用する車両の事業利用割合が100%でない場合の譲渡所得の計算はどうする?-再考

今回は、ちょうど1年ほど前に書いたエントリについて、実際に確定申告をしてみて気づいた点があるのでもういちどとりあげます。問題は、個人事業用で使用していた車両を売却(下取)した際に生じた売却益をどう処理するかです。

結論からすると、個人事業で使用していた車両を売却した際に生じた売却益は、事業所得ではなく、譲渡所得(総合課税)として取り扱われます。

これは、うっかりしていると間違えてしまうと思います。普通に考えると、事業所得の計算上、有形固定資産売却益を計上したくなります。

個人事業で使用していた車両を売却した場合の売却益は、譲渡所得(総合課税)にあたるとして、問題はここからです。

個人事業で車両を使用している方の場合、100%を事業用として取り扱っていない場合も多いのではないかと思います。つまり、自家用としても利用しているので、毎期の減価償却費のうち80%を事業所得計算上の損金として取り扱っているというようなケースです。

この場合、上記のような車両の売却益のうち、譲渡所得(総合課税)として申告すべき金額がいくらなのかが問題となります。

タックスアンサー”No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法”に記載されている通り、そもそも生活用動産の譲渡による所得については所得税が課せられないこととされています。そして、生活用動産の例として”通勤用の自動車”が挙げられていますので、純粋に個人の車両を売却した場合には所得税はかからないことになります(そもそも、普通の個人の場合、減価償却を行った場合の簿価を計算しているわけではないので、益がでていると感じることはないと思いますが・・・)

したがって、理論的には、(売却価格-簿価)×事業利用割合をベースに譲渡所得の金額を計算すべきと考えられますが、譲渡所得(総合課税)の場合、50万円の控除が認められているため、これを加味すると100%ベースで計算しなければならないこともありうるかなとも考えました。

売却益が出るケースが稀なのかもしれませんが、車両買換え時に値引き交渉をがんばると、本体価格はこれ以上引けないとなると、下取り車の価格を高く設定するということも行われるため、稀に売却益が生じます。

調べてもよくわからなかったので、当初のエントリ作成時に税務署に電話して聞いてみたところ以下のような回答でした。

結論としては、上記で述べたように事業利用割合を加味して譲渡所得を計算してよいということでした。というわけで、事業利用割合が100%でない場合の譲渡所得の計算(所有期間が5年以下の場合)は以下のようになるようです

{(売却価格-簿価)-特別控除50万円}×事業利用割合

と、実際確定申告をしてみるまで上記のようになると考えていたのですが、国税庁の確定申告書の作成コーナーで譲渡所得の申告書を作成しようとしたところ「譲渡資産にかかる償却費相当額」の注として「(注)仮に毎年の減価償却費の額を必要経費としていない部分があったとしても、毎年の減価償却費の合計額とすることに変わりはありません。」という記載がされていました。

ということは、売却収入を売却価格×事業利用割合で調整するか、あるいは不合理な気はしますが、事業利用割合が何%であろうとも全額が譲渡所得と扱われるというどちらかということになります。

仮に売却収入を調整しようとすると「売却価格×事業利用割合-減価償却累計額-特別控除」ということになりますが、簿価全額を取得費とみなして売却益を計算することになるので理論的ではありません。

したがって、結論としては過去に減価償却費を何%損金算入していても(たとえ10%であったとしても)、売却益全額が譲渡所得として取り扱われるということになると考えられます。

生活用動産であれば課税されないのでなんとなく不公平な感じがしますが、以下のように整理できるのではないかと思います。
所得税法における原理原則としては、上記のとおり譲渡所得として処理する方法であるが、事業所得の計算上、固定資産売却益を計上するという選択肢もあり得る。事業所得の計算上、固定資産売却益を計上した場合、理論的には売却益×事業利用割合が所得に算入されることになると考えられるが、一方で譲渡所得の計算によった場合は特別控除(50万円)があるので、結果的には譲渡所得として処理したほうが有利である可能性が高い。そのため、過去の損金算入割合に関わらず譲渡所得の計算上はグロスで譲渡益が算出される、ということではないかと考えられます。

仮に事業利用割合が小さく譲渡所得として処理すると不合理だということであれば、事業所得計算上、事業利用割合分の固定資産売却益を計上して事業所得を計算するという処理も認められるのではないかと思います。税務署もそこまで不合理ではないのではないでしょうか。

なお、固定資産売却益を計上する方法を採用した場合、途中で事業利用割合を変更している場合はどうするのかというような問題もありますが、この場合は、(過去に事業経費として計上した減価償却費/減価償却費累計額)で割合を算出するのが理論的ではないかと思います。

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コメント

    • ゆきの
    • 2014年 2月 05日

    ありがとうございます。
    すっきりしました

    • いまちゃん
    • 2014年 4月 10日

    車の売却高は簿価よりも低くなることが多く、譲渡所得がマイナスになるのですが、その場合「譲渡損の事業割合分を損益通算」でよいのか迷うところです。

      • MAK
      • 2014年 4月 12日

      そうですね。
      仮に、売却でなく除却していたら、除却損の事業割合分を事業所得の計算上損金として取り扱うことになると考えられますので、そういった意味では固定資産売却損の事業割合相当分を事業所得の計算上損金として取り扱っていても文句は言われないのではないような気はします。

      むしろ、売却益が生じた場合に過去の事業使用割合にかかわらず全額が譲渡所得として取り扱われることからすれば、譲渡損が生じた場合はその全額を損益通算してもよいのではないでしょうか。

        • いまちゃん
        • 2014年 4月 15日

        ありがとうございます。「全額を損益通算」ですね?確かに、譲渡所得に事業割合をかけるのはどうもしっくりきませんね。
        ただ、個人のレジャー用の車は、譲渡益が課税対象である一方で、譲渡損は譲渡所得での内部通算しかできないとされているので、損益通算については譲渡損の事業割合分にとどめておくのがよいのかなと考えています。

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