閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

前受金は金融商品の時価開示の対象か?

早速ですが、金融商品の時価の開示例を二つ確認します。

1.(株)JCLバイオアッセイ(2013年3月期)
JCL

2.水道機工(株)(2013年3月期)
2014-03-25_2

上記の開示例ではいずれも「金融商品の時価等に関する事項」に「前受金」が含まれていますが、「前受金」は金融商品の時価として開示する必要があるのかが今回のテーマです。

「前受金」は、なんとなく金融商品に該当しそうですが、結論からすれば「前受金」は金融商品の時価として開示する必要はないと考えられます。

考え方を確認していくと、まず、金融商品会計基準52項(結論の背景)では以下のように定められています。
「・・・(前略)なお、金融資産、金融負債及びデリバティブ取引に係る契約を総称して金融商品ということにするが、金融商品には複数種類の金融資産又は金融負債が組み合わされているもの(複合金融商品)も含まれる。」

つまり、金融商品は、金融資産、金融負債、デリバティブを意味します。そして、前受金が金融商品であるとすれば、金融負債に該当することになると考えられますが、金融負債は金融商品会計基準5項で以下のように定義されています。
「金融負債とは、支払手形、買掛金、借入金及び社債等の金銭債務並びにデリバティブ取引により生じる正味の債務等をいう。」

要約すれば、金融負債は金銭債務とデリバティブから生じる債務を意味します。そうすると、つまるところ前受金は金銭債務か否かが問題となります。

金銭債務とは、金銭の支払を目的とする債務を意味します。典型的には、支払手形、買掛金、借入金等が金銭債務に該当します。
ここで、前受金について考えてみると、前受金は負債ではありますが、前受金を受領している側が負っている債務は、受領した対価に対する商品やサービス等を提供することですので、前受金は金銭債務には該当しないと考えられます。

以上をまとめると、前受金は金銭債務ではないので、そもそも金融商品ではなく、したがって時価開示の対象とはならないということになります。
連結貸借対照表上に前受金が計上している会社を検索すると442社がヒットし、一方で金融商品の注記に「前受金」が含まれている会社は35社がヒットします。ただし、金融商品の注記については、必ずしも時価開示の部分に「前受金」が含まれているわけではなく、他の部分で「前受金」という単語が使用されているものの件数も含まれてていますので、実際に時価開示に「前受金」が含まれている事例は35社よりも少なくなります。

前受金を時価開示に含めている事例から判断すると、本来開示する必要がないものを開示してしまうことになるので注意が必要です。

関連記事

  1. 20年3月決算LIBORの廃止の影響は考慮不要

  2. 収益認識会計基準の早期適用新たに8社が開示

  3. 公認会計士等の実質的異動理由を10個例示・・・企業内容等ガイドラ…

  4. 25年3月期の見積の変更は76件(71社)

  5. エナリスの監理銘柄の指定が解除されないのは何故だろう?

  6. 株式上場を行使条件とするストックオプションと対象勤務期間の注記の…




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,838,820 アクセス
ページ上部へ戻る