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追徴可能なのに無体財産の没収手続が重要なのは何故?-金商法改正

先日、マウント・ゴックスが経営破綻したことで一層注目されたビットコインですが、その後政府からは、ビットコインを通貨と認めずモノとして取扱い売買益には課税するという見解が示されました。

ビットコインにしてもFXにしても、目に見えない電子的なものの取引が拡大している中で今後も次々に新しい商品(?)が登場してくるのではないかと思います。

ところで、電子的なものでより多くの人に関係していると思われるものに株券があります。株券の電子化が実施されたのは平成21年なので、ほんの5年位前までは株を購入するというのは、その結果として株券を取得することでした。

もっとも、保管振替制度導入後は物としての株券を実際に手元に取り寄せることはほとんどなかったので、通常の株取引上は電子化されていようがいまいが、あまり大きな違いはなかったといえます。

ところが、金融商品取引法上の取扱いについては、実態としての株券が存在するのかしないのかによって大きな違いがでることがあります。

それは、犯罪行為によって得た財産として没収可能かどうかという違いです。
金融商品取引法上、犯罪行為によって得た財産は没収することが可能とされており、没収できない場合は追徴を課すことができる(金商法198条の2)とされています。

金商法上、「犯罪行為によって得た財産」が没収可能とされていますので、条文上は有体物に限らず金銭債権などの無体物も没収可能ということになります。しかしながら、現時点において、無体物を没収する手続きが法定されていないため電子化された株券を没収することができないという状況にあります。なお、有体物については、刑事訴訟法に定める手続きにより没収が可能となっています。そのため、株券を売却し換金してしまえば有体物化して没収できるのだと思いますが、これも法的裏付がなければ実行できません。

没収できないのであれば、追徴可能なのだから問題ないのでは?という気がしますが、場合によっては不合理な結果となることがありえます。

これが問題となったのが、イー・アクセス株のインサイダー取引の問題です。この事案では、イー・アクセス社の元会長秘書がインサイダー取引が発覚したことにより、懲役2年6月、執行猶予4年、罰金300万円および追徴金4400万円という判決を受けました。

執行猶予付といえども有罪判決が出ている上、追徴金4400万円が課せられているので、インサイダー取引で得た利益が没収されているように見えますが、実はそうではありません。

というのは、この元秘書はインサイダーで取得したイー・アクセス株を保有し続けていたためです。インサイダー取引によって取得した株式を高値で売り抜けて利益が確定していれば、その利益分を追徴することが可能なわけですが、株式を保有し続けている場合には、追徴される金額を株式取得時における価格を基準に決定しなければならないため、報道によると、結果的にその後の値上がりによる利益が4500万円以上も同秘書の手元にのこってしまうということになったとのことです。

ここまで考えて同秘書が株を保有し続けていたのかはわかりませんが、法的な裏付けがない以上、個人の財産を勝手に没収することはできないため、裁判所は同判決において、これを「法の欠缺である」と述べたそうです。

この3月中に提出される「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」では電子化された株券をはじめとする「無体財産」の没収手続きが追徴に加えて織り込まれるのは、このような弊害を解消するためとのことです。

というわけで、「無体財産」の没収手続きというのは追徴が可能であっても重要な手続でした。勉強になりました。

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