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裁量労働制の適用を巡る訴訟で税理士法人の敗訴が確定-レガシィ事件

以前”税理士法人の補助スタッフに対する裁量労働制の適用で税理士法人側が敗訴”というエントリで記載した裁判の控訴審において、平成26年2月27日に東京高裁は、原審判決を支持し、上告等の手続きがおこなわれていないためこの案件は税理士法人側の敗訴で決着しました

ただし、1審で税理士法人に命じられていた付加金20万円の支払命令は取り消されました。

この事案は、同一グループ会社である税理士法人とコンサルティング会社の双方と労働契約を締結していた税理士の補助業務を行うスタッフ(税理士資格なし)に専門業務型裁量労働制が適用できるかで争われたものです。

このスタッフは、公認会計士試験の合格者でで、監査法人に約3年勤務のち、法人税・資産税部門の税理士の補助業務を行うスタッフとして、期間の定めなく雇用される旨の労働契約をこの税理士法人と締結しましたとのことです。

このスタッフは、会計士の実務補修が修了しておらず、税理士となる資格も取得していなかったため、税理士名簿への登録はされていませんでした。その後、平成22年9月に税理士法人等を退職後に未払残業代の請求をして訴訟に発展したというものです

当初は、単に税理士資格なしの補助スタッフに裁量労働制を適用して、それが否定されたものだと考えていたので、それとは少々イメージが異なりました。

とはいえ、高裁は、『専門業務型裁量労働制の対象となる「税理士の業務」とは、税理士法3条所定の税理士となる資格を有し、同法18条所定の税理士名簿への登録を受けた者自身を主体とする業務をいうと解するのが相当であると判示』し、『確定申告に関する業務や土地等の簡易評価の資料作成業務などを行っていた補助スタッフは税理士となる資格を有せず、税理士名簿への登録もうけていなかったのであるから、その業務は裁量労働制の対象となる「税理士の業務」ということはできないと判断した』(T&A master No.551)とのことです。

一審の判決では、労働者がコンサルティング会社を労務の提供先として事実上税務書類の作成等の業務を行っていたことから、税理士法人でないコンサルティング会社が、自らが業として他人の求めに応じて税務署類の作成等を行い得るものではない以上、そのスタッフに「税理士の業務」として専門業務型裁量労働制の適用はできないというようなロジックで判断が下されています。

一方で、T&A masterの記事からすると高裁の判断はもっとシンプルに「税理士の業務」として専門業務型裁量労働制を適用するのであれば、最低限、税理士登録した者であることが必要ということのようです。

士業の場合、登録していないと本来業務に制約が生じますので、そのような状況下で裁量があるといえるのかといわれると、確かに厳しいように思います。逆に、登録さえしていれば裁量労働者となるかといえば、そうではないので、登録は裁量労働制の必要条件ではあるけれども、十分条件ではないと考えておくのが妥当だと考えられます。

たとえば、「税理士の業務」とならび「公認会計士の業務」も専門業務型裁量労働制の適用業種の一つですが、公認会計士として登録された後でも真の意味で裁量をもって仕事ができる人は限られるはずです。

「税理士の業務」や「公認会計士の業務」では、判断が必要な部分は多いですが、そうであっても大部分はある意味ルーチンワークで、時間と作業量は比例することの方が多いと考えられますので、安易に裁量労働に走らないように注意しましょう。

最後に、この訴訟は「レガシィ事件」と呼ばれているようです。

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