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イギリスのEU離脱で日本経済新聞社の「のれん」の運命は?

イギリスで実施された国民投票の結果、イギリスがEUから離脱する見込みとなりました。国民投票の再実施を訴える動きもあり、また国民投票の結果自体、特に法的拘束力があるものではないようなので、最終的にどうなるのかは定かではありませんが、ドイツやフランスの対応は冷ややかで、出ていくなら早く出ていけという態度となっています。

週明けの株価はどうなるのかと不安視されていましたが、日経平均は前週末に比して上がっており、一安心というところです。

その日経新聞社ですが、昨年暮れにイギリスのフィナンシャルタイムズをものすごい金額で買収したことは記憶に新しいところです。その結果、同社の連結BSがどうなったのかというと、以下のようになっています(以下の右側が2015年12月末となっています。単位:百万円)。

nikkei_gw

フィナンシャルタイムズの買収によって、1556億円という巨額の「のれん」が計上され、連結総資産の約1/4を占めています。買収当時の記事を確認すると、”8億4400万ポンド(約1,600億円)で買収”と報道されています。

実際、有価証券報告書の企業結合の注記を確認すると、以下のようになっています。

3.取得原価及びその内訳
   取得の対価          166,300百万円
   取得に直接要した費用      2,272百万円
   取得原価           168,572百万円

取得原価1,685億円に対して「のれん」が155,564百万円となっています。ただし、取得原価の配分が暫定的に行われているため確定値ではありません。また、為替の変動によって外貨で把握された「のれん」の換算額は変動することとなります。

株式の取得対価が現地通貨ベースでは8億4400万ポンドとされていますので、単純に割り算すると1ポンド=197円程度と計算されます。

これに対して、その後に円高ポンド安に推移し、EU離脱報道を受けてさらに大きくポンド安に振れた結果、直近では1ポンド=133円程度まで下落しています。仮に買収額を133円程度で換算すると、1120億円ですので、円貨でみると500億円程度毀損していることになります。

同社の資金調達を見ると、短期借入金が14年12月期は61億円であるのに対し15年12月は1,306億円と大幅に増加しています。仮にこの借入がポンド建てであれば為替リスクが相殺されますが、金融商品の注記等から判断する限り、円建の借入のようなので、影響額が為替換算調整勘定で調整されPLにヒットしないものであると考えられるとしても、買収に要した円貨の額は変わらないので、タイミングが悪かったといえそうです。

買収金額は当時の報道によるとフィナンシャルタイムズグループの営業利益の35年分といわれています。ポンド安がすすむと、当初投資額に対して円換算した利益はさらに小さくなりますので、回収にはより長期間を要するということになりそうです。

さらに問題は、イギリスがEUから離脱し、ヨーロッパにおける金融の中心がロンドンからフランクフルトに移ってしまった場合、フィナンシャルタイムズのブランド力は維持されるのだろうかという点です。仮に、今後ロンドンが金融センターとしての地位を低下させていくのに伴い、フィナンシャルタイムズの収益も低下していくようなことがあれば、多額の「のれん」の減損という問題も浮上してくる可能性があります。

日経電子版の2015年12月7日の記事に「海外買収「これが日本流」は失敗の原因 」という記事が掲載されています。この記事の中で、「仕上がりとしては、買収時に市場価格を上回って支払うプレミアムは時価に対して総じて30~50%になるでしょう。」とした上で、「ただ、中には買収効果を算定している時に「社長がとにかく買いたがっているから、値段はいくら高くてもいい」とおっしゃるような企業もあります。いくら経営者が値段に関係なく買いたいと思っていても、株主への説明責任を考えると、買収額はロジカルで外部から見て納得してもらえる金額にしないといけません。」と述べられています。

買収当初から「高すぎる買い物」というような報道をよく目にしましたが、日系企業のM&Aの失敗事例にならないことを祈ります。

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