閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

扶養控除等申告書におけるマイナンバーの取扱い(その3)-プレ印字方式

前回まで扶養控除等(異動)申告書における個人番号の原則的な取扱い及び余白部分に一定の文言を記載して個人番号の記載を行わない方法について確認しました。

今回は、個人番号のプレ印字する方法について確認することとします。マイナンバーを記載しなくてすむならそうしたいというニーズの方が高いものと思われますが、プレ印字することのメリットもあるので、少なくとも原則法によるのであれば検討する価値はあるものと考えられます。

3.個人番号を申告書にプレ印字する方法

そもそも、扶養控除等(異動)申告書に個人番号をプレ印字(個人番号をプレ印字する場合、氏名や住所もプレ印字されていることが想定されます)して従業員に交付して、確認の上、押印してもらい提出してもらうことが可能なのかがまず問題となります。

この点、ビジネスガイド2016年11月号の「マイナンバー制度最新実務Q&A」(弁護士 渡邉雅之氏)では、以下のように記載されていました。

「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨をプレ印字することも考えられます。従業員のマイナンバーをプレ印字することは禁じられていますが、かかる記載をプレ印字することは許されると考えられます。

上記の記事では、そもそも個人番号をプレ印字する余地はないということになってしまいますが、国税庁の源泉所得税関係に関するFAQのQ1-8として以下が掲載されています。

Q1-8 給与支払者が従業員等のマイナンバー(個人番号)を印字した扶養控除等申告書を従業員に交付して、従業員がその内容を確認した上で給与支払者に提出するという方法は可能ですか。
(答)
所得税法上、扶養控除等申告書の提出者は、必要事項(氏名、住所、マイナンバー(個人番号)等)を記載した申告書を給与支払者に提出することとされていますので、一般的には従業員自身が必要事項を記載し、給与支払者に提出する必要があります。
しかしながら、給与支払者が扶養控除等申告書に従業員等のマイナンバー(個人番号)を印字し、従業員に交付して、従業員本人がその印字されたマイナンバー(個人番号)を確認することにより従業員本人がマイナンバー(個人番号)を記載した状況と同様の状態とすることについて、従業員本人と給与支払者の間で合意しているのであれば、ご質問による方法をとることも、番号法上可能であると解されます

上記のQ&Aからすると、少なくとも扶養控除等申告書については、個人番号を会社がプレ印字し、従業員に確認してもらうことも可能であると考えられます。

ところで、上記のQ&Aで太字で記載した部分「番号法上可能であると解されます」という表現が不自然に感じられますが、扶養控除申告書における個人番号の原則的な取扱いで確認したとおり、所得税法上はあくまで「従業員が」申告書に個人番号を記載するのが原則とされていますから、所得税法上問題ないとは書けないということなのだと推測されます。

個人番号のプレ印字が不可であるとすれば、このQ&Aの回答も(所得税法上)認められないという答えになったと考えられますので、結論としては個人番号をプレ印字して従業員に確認してもらうという方法も問題ないという解釈が妥当だと考えられます。

また、個人番号の記載が要求される以前から、所得税法上、扶養等控除申告書は従業員が記載することが原則ですが、実務上は氏名等がプレ印字された状態のものを従業員に提供しているケースもあったと思いますので、実務上の要請からしても上記の解釈でよいと考えられます。

3-1 プレ印字するメリットは?

個人番号をプレ印字するメリットは、従業員の手間削減や記載間違い・漏れを防止することができるということの他に、本人確認のうち身元確認を省略できるというメリットがあります。

ただし、この取扱いについては2016年5月に一部修正が加えられたことにより、修正前に比べて使い勝手が悪くなった部分があるので注意が必要です。

まず、国税庁FAQのQ2-5では以下のように記載されています。

Q2-5?あらかじめ従業員の氏名や住所等を印字した扶養控除等申告書を交付しておき、従業員がその扶養控除等申告書を用いて扶養控除等の申告をした場合には、本人確認のうち身元確認は完了したものとして考えてよいですか。 (平成28年5月25日更新)
(答)
氏名や住所等を印字した書類を従業員に交付するまでの間に、事業者が従業員の本人確認を行っているのであれば、お示しの方法をとった場合、本人確認のうち身元確認については完了しているものと考えます。(本人確認に関するFAQ Q2-1参照)

番号法でいう本人確認は、番号通知カード等による個人番号の確認と運転免許証等による身元確認の両方を行う必要があり、原則としては個人番号の提供をうける都度本人確認が必要とされています。

しかしながら、上記のとおり個人番号等をプレ印字した扶養控除等申告書を従業員に交付し、回収すれば身元確認は行う必要がないということとなり、きちんと運用しようとする場合には手続き上のメリットは少なくないのではないかと思います。

3-2 プレ印字の取扱いは2016年5月の改正でどう変わった?

2016年5月25日に国税庁告示が改正されるまで、身元確認書類として示されていた国税庁告示1-5では以下のように規定されていました。

(改正前)
個人番号利用事務等実施者が個人識別事項を印字した上で本人に交付又は送付した書類で、当該個人番号利用事務等実施者に対して当該書類を使用して提出する場合における当該書類

これが以下のように改正されました。

(改正後)
個人番号利用事務等実施者が過去に本人であることの確認を行った上で個人識別事項を印字した書類であって、本人に対して交付又は送付したもの(当該書類を使用して当該個人番号利用事務等実施者に対して提出する場合に限る。)

つまり、改正前は過去において本人確認を行っていたか否かにかかわらず、プレ印字した書類を提供し、回収すれば身元確認書類を兼ねることとなったため、番号通知カードのコピーを入手すれば本人確認を完了することが可能という建て付けになっていました。

上記の取扱いは扶養控除等申告書に限らず、法定調書作成のために専門家等から個人番号を収集する際にも利用可能な方法なので、改正前の方法であればかなり使い勝手がよかったと考えられますが、改正後は過去に本人確認を行っていなければならないので、特に会社外部の方に対しては利用しにくい方法となってしまったといえそうです。

今回で終わるつもりでしたが、長くなったのでここまでとし、2016年3月の改正によって平成29年分から認められることとなった帳簿方式については次回とします。

関連記事

  1. 復興特別所得税の区分処理方法(その1)

  2. ハズレ馬券訴訟-大阪地検は控訴の構え

  3. 個人がポイントを取得・使用した場合の課税関係

  4. 扶養控除等申告書におけるマイナンバーの取扱い(その4)-税法で定…

  5. 学生支援機構による「奨学金返還支援(代理返還)」は直接返済で給与…

  6. 事業所得の損失と給与所得は損益通算できる?




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,849,783 アクセス
ページ上部へ戻る