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事業年度をまたいで事前届出金額と異なる金額で役員報酬を支給した場合の取扱い

この時期になると役員報酬の税務上の取扱いについて色々なところで取り上げられますが、特に今年は税制改正の影響で役員報酬関係の記事が多いように感じます。

月刊税理の2017年5月号で「役員給与」の実務ポイントとして役員給与に関連する様々な内容が取り上げられていた中で、そうだったんだと気づいたことを二つ取り上げます。

一つ目が、タイトルにある「事業年度をまたいで届出金額と異なる報酬を支給した場合」の取扱いです。この点については、「事前届出給与をめぐる問題」(税理士 齋藤 樹里 氏)という記事の中で解説されていたものです。設例は以下のとおりです。

当社は、3月決算の法人です。5月に開催した定時株主総会の決議に基づき、10月10日及び4月10日にAに対して500万円、A1に対して300万円ずつ支給する旨の事前確定届出給与を、所轄税務署長に届け出ました。10月は届出のとおり支給しましたが、翌年4月は業績悪化のため、臨時株主総会を開催し、当初の届出金額の半額を支給することにしました。変更届出は提出しておりません。

この場合、どのような取扱いとなるかですが、国税庁の役員給与における趣旨説明によると、定めどおりに支給されたかどうかの判定は職務執行期間を1つの単位として判定することとされているものの、職務執行期間と事業年度は一致しないため、翌事業年度の支給分のみが届出どおりに行われなかった場合においては、当初の事業年度の課税所得に影響を与えるものではないため、翌事業年度に支給された分のみ損金不算入とするという解説がなされているとのことです。

上記の例における支給予定日が7月10日と12月10日であったとしたら、全額損金不算入になるであろうところ、上記のような取扱いとなるのはおかしな感じがしますが、会社側からすると、うまく利用することができる手段の1つとして覚えておいて損はないと思います。

なお、このような理論的でない取扱いを、「制定法でなく、法令解釈通達の趣旨説明で行うことについて、租税法律主義の観点から問題があるとの指摘がある」とのことです。これももっともですが、いずれにしても取扱いについては特に変更はなされていないとのことです。

二つ目は、「事前確定届出給与を設定していても、実際に支給しなかった場合には特段ペナルティはさせられないこととなっている」という点です。「つまり、とりあえず枠取りしておき、利益状況を見ながら支給するかどうか決めることが実質的に可能な状態であり、制度趣旨とは裏腹に、恣意性が介入してしまう状況にある」というものです。

支給を適当な時期年1回にして枠取りしておいて利益の状況をみて支給するかどうかを決定するという方法も可能ということになり、これも覚えておいて損はないと思います。

消費税の課税逃れに対応する相次ぐ改正のように、課税上の弊害が顕著になればそのうち見直されるのではないかと思いますが、現時点においては検討の余地がある方法といえそうです。

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