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平成29年度改正通達で示された役員退職給与の功績倍率の範囲は?

税務通信3468号の税務の動向に「29年度改正通達で示された”功績倍率”の範囲とは?」という記事が掲載されていました。

国税庁が7月14日に公表した「法人税基本通達等の一部改正について」では、平成29年度改正で行われた役員退職給与の見直しに伴い、いわゆる功績倍率法の定義が初めて明文化されました。

すなわち法人税基本通達9-2-27の2として以下が新設されました。

9-2-27の2 業績連動給与に該当しない退職給与
いわゆる功績倍率法に基づいて支給する退職給与は、法第34条第5項《業績連動給与》に規定する業績連動給与に該当しないのであるから、同条第1項《役員給与の損金不算入》の規定の適用はないことに留意する。
(注) 本文の功績倍率法とは、役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいう。

平成29年度税制改正では、「業績連動型の役員退職給与(業績連動給与に該当する役員退職給与)」について、業績連動給与の損金算入要件を満たさなければ損金不算入になることとされたところ、上記の通り功績支給倍率に基づいて支給する退職給与は業績連動給与に該当しないことが明らかとされたため、その金額が過大でなければ原則として損金算入が可能ということになっています。

しかしながら一方で、過去の判決では功績倍率は「同業類似法人の役員退職給与の額を,その退職役員の最終月額報酬に勤続年数を乗じた額で除して得た倍率」(東京高裁:平成25年7月18日判決)とされていることから、両者の関係はどうなるのだろうかという点が問題となります。

この点、上記税務通信の記事によれば「取材によれば,“通達で示された功績倍率(役員の職責に応じた倍率)”は,“同業類似法人の功績倍率”よりも広い概念であるとのこと。“同業類似法人の功績倍率”のほかにも,例えば,自社で設定した功績倍率(例:代表取締役の功績倍率○倍,取締役の功績倍率×倍等)なども含まれるという。」とされています。

よって、必ずしも同業類似法人の功績倍率等を把握する必要はなく、自社で設定した功績倍率等を基に算定した役員退職給与であっても、金額が過大でない限り損金算入が認められるということになるようです。

とはいえ、金額が過大であれば損金算入が認められない以上、過大か否かの判断にあたっては過去の判例を無視することはできないと考えられます。そもそも同業類似法人の支給状況を税務当局に照会すれば教えてもらえるということであればよいですが、そのようなことはないので、結局のところ過大かどうかの判断をどうすればよいのかが問題となります。

この点について上記記事では、”国側が『財務省や国税庁が公表している「法人企業統計年報特集」や「民間給与実態統計調査」,税務関係の雑誌(税務通信)の記事,書籍等の資料から,類似法人の一人当たりの平均役員給与を算定することが可能』などと主張した事例もあることから、こうした資料も,同業類似法人の支給状況等を把握するための一つの方法として参考となるといえるだろう”と述べられています。

上記で照会されているデータソース以外では、労政時報などのデータも参考になると思われます。通達が改正されたとはいえ、何らかの公表データで過大でないかのチェックはやはり必要ということになると思われます。

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