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労働時間等は短くなっているのか?-2017年度労働時間総合調査(労務行政研究所)

労政時報3938号(2017年10月13日)に同誌が毎年実施している労働時間総合調査の結果が掲載されていました。

この調査は上場企業3456社及び上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)289社の合計3835社を対象に行われたもので、回答数は238社となっています。

まず、2017年度の1日当たりの所定労働時間は平均7時間47分(前年7時間46分)、休日日数は119.7日(前年120.3日)、年間の所定労働時間は1908時間59分(前年1902時間39分)となっています。

祝日と土日の関係で所定労働日数は多少変動することを考慮すると、2016年度と2017年度に大きな変動は見られないといえます。

ちなみに所定労働時間については、企業規模による差はみられなかったとのことです(平均では数分程度の差)。年間所定休日数を企業規模別に見た場合、1000人以上が120.6日でもっとも多く、300~999人が119.3日、300人未満が119日となっており、大きな差というほどではないものの、休日に関しては規模が大きくなるほど多くなるという傾向にあるようです。

年間所定労働時間については、全体でみると1850時間~1950時間未満の範囲に47.5%が含まれているとのことですが、規模別にみると1000人以上の会社ではこの範囲に58.3%が含まれているのに対して、300人未満は38.6%と、大分開きがあります。

従業員300人未満の企業(回答数83社)においては、年間所定労働時間が1950時間~2000時間という回答割合が32.5%と最も大きくなっており、次いで1900~1950時間が21.7%となっています。一方で、従業員300人~999人で回答が最も多いのは1900~1950時間で22.0%、1000人以上で回答が最も多いのは1850~1900時間で31.3%となっています。

1日の所定労働時間については、8時間が全体の48.3%と最も多く、7時間45分が18.1%、7時間30分が14.7%と続いています(ほか10%を上回るものなし)。

ここまでは2017年度の状況ですが、実際の労働時間等はどうなっているのかについて、2016年度の総実労働時間(試算)がまとめられていました。

年間総実労働時間(年間所定労働時間+年間時間外労働時間-1日あたりの所定労働時間×年次有給休暇の取得日数)を企業規模別にみると、1000人以上2068.5時間、300~999人2057.5時間、300人未満2043.9時間で、規模が大きいほど年間総実労働時間は長くなっているとのことです。

前述の、年間所定労働時間数や休日数、および個人的なイメージでは規模が小さい方が労働時間数は多いのかなと思っていましたが、実際は反対のようです。内訳でみると、年間所定労働時間は300人未満の方が1000人以上よりも21.5時間長いものの、時間外労働の実績(年間)では300人未満の193時間に対し、1000人以上は257.5時間と64.5時間も長くなっており、結果として合計では1000人以上のほうが大きくなっているとのことです。

状況は各社各様だと思いますが、規模が大きくなるほど色々と調整に手間取り効率が悪くなるという側面はあるかもしれません。長時間労働削減に向けて実施している施策の回答内容をみると、いずれの企業規模でも管理職層に対する意識啓発への取組が最も多い回答結果となっているものの、「ノー残業デーの設定」が1000人以上では83.2%であるのに対して300人未満では47.8%と大きな差となっています。

「ノー残業デー」というだけで全体的な労働時間が減るのも変な話ですが、大企業ほど普段相当無駄なことがあるということなのかもしれません。少し前に大和総研が、残業が月平均60時間に抑制されると残業代が最大で年間8.5兆円減少するという試算を公表して話題となりましたが、これに対して経団連は働き方改革によって残業代が減少しても給与が大幅に減らないよう、従業員へ還元する対応を企業に呼び掛ける方針を示したそうですが、
元々無駄があっただけなのか、新たな手法等で効率化を図ったのかによって、取扱は異なるべきだと思いますが、それを把握するためには改めて職務調査をかけてみるというような作業が必要なのではないかと考えられます。

1ヵ月あたりの平均時間外労働時間は全体で18.9時間であるのに対して、1000人以上では21.1時間、300人未満では17.3時間となっています。製造業と非製造業でみると、製造業は全体平均で17.8時間、非製造業は全体平均で19.9時間となっています。規模別にみると、製造業では規模によってそれほど大きな開きがない(最大最小の差は1.5時間)であるのに対して、非製造業では1000人以上が25.4時間であるのに対して300~999人では16.1時間と9.3時間の開きが生じています。

長くなりましたが、最後に時間外労働の算定における端数時間の取扱いについての回答結果を取り上げておきます。端数処理については、端数処理を行わないという回答が52.4%であったのに対して、端数処理の原則を決めているが46.8%であったとされています。

そして、端数処理の原則を決めている場合については、15分単位が最も多く46.6%、以下30分25.0%、5分14.8%と続いています。中には「15分単位で15分未満は切り捨て」という回答結果もあったそうです。

真実を回答してくるのは素晴らしいですが、労働法的には問題がありそうな会社ですね。

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