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ポイントの未使用残高は未払計上で損金算入可能か

T&A master No.717のSCOPEにポイントの未使用残高の損金算入を巡って争われた裁決事例が紹介されていました。

結論としては、国税不服審判所は平成29年3月1日に損金算入を否認した課税所分を指示する決裁を下したとされています。

理由は、「請求人(法人)が顧客にポイントを付与した時点では具体的な給付原因となる事実の発生は認められていないことから、法基通2-2-12(債務の確定の判定)によりポイント未払計上額を損金算入することはできないなどと判断した」とのことです。

この事案における請求人(法人)は、アニメ関連の企画販売等を目的とする法人で、平成23年6月以降以下のようなポイントサービスを提供していたとのことです。

ポイントサービスの内容は、購入金額の5%分のポイントを付与し、この金額は購入金額へ1ポイント1円として充当することができるほか、景品毎に設定されたポイント数に応じた景品との交換も可能というものであったとされています。なお、ポイントについては最終購入日から2年間利用がない場合は失効するとされ、換金は不可とされています。

当該請求には、平成22年10月期に同期末時点の本件ポイントの未使用残高として換算した金額を売上高から減額し、同額を未払費用に計上し、それ以降は、増加したポイント数分をポインと値引きとして売上高から減額するとともに、同額を未払費用に計上する会計処理をしたうえで、未払計上額を損金算入していたとのことです。

各期の金額は平成22年10月期が約16.4億円、平成23年10月期から平成26年10月期については、約3億円~4億円程度と大きな金額となっています。

原処分庁は、ポイント未払計上は各事業年度末において債務が確定していないとして、法人税の更正処分を行いましたが、これに対して請求人は、債務が確定しているかどうかを判断するための法基通2-2-12の要件を満たしているため損金算入が可能と主張したとされています。

加えて、このポイントは購入金額の5%相当額が購入の都度付与され、付与後即時かつ1ポイントから使用可能になっており、法基通9-7-3が定める要件を満たすことから同通達の適用により損金算入が認められるべきと主張したとのことです。

上記で請求人が主張した各通達では以下のように述べられています。

(債務の確定の判定)
2-2-12 法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。(昭55年直法2-8「七」、平23年課法2-17「五」により改正)
(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。


(金品引換費用の未払金の計上)
9-7-3 法人が商品等の金品引換券付販売をした場合において、その金品引換券が販売価額又は販売数量に応ずる点数等で表示されており、かつ、たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは、9-7-2にかかわらず、次の算式により計算した金額をその販売の日の属する事業年度において損金経理により未払金に計上することができる。
(算式)
1枚又は1点について交付する金銭の額×その事業年度において発行した枚数又は点数
(注)
1 算式中「1枚又は1点について交付する金銭の額」は、物品だけの引換えをすることとしている場合には、1枚又は1点について交付する物品の購入単価(2以上の物品のうちその一つを選択することができることとしている場合には、その最低購入単価)による。
2 算式中「その事業年度において発行した枚数又は点数」には、その事業年度において発行した枚数又は点数のうち、その事業年度終了の日までに引換えの済んだもの及び引換期間の終了したものは含まない。

審判所は、債務の確定について、ポイントを付与された顧客が商品購入金額に充当できるのは次回以降の会計時となるため、当該ポイントの使用に要する費用については顧客の本件ポイントの使用時である商品購入金金額への充当時等に初めて具体的な債務が確定するとして、ポイント付与時において具体的な給付原因となる事実が発生しているということはできないと判断したとされています。

請求人は、将来使用できるポイントを実際に付与したという事実が、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生しているということにあたると判断したものと思われます。たしかに1ポイント1円で利用可能なポイントの付与が完了していれば「給付原因となる事実が発生している」と考えてもよいのではないかと思う一方で、実際には利用されずに失効する分もあるはずなので、付与したポイント総額全額を確定債務といってよいかと点では苦しい部分があると感じます。

また、上記記事では「審判所は、本件ポイントについて顧客に付与した時点において具体的な給付原因となる事実が発生しているとは認められないことから、法基通9-7-3の定めるときに該当しないとしたうえで、同通達の適用は認められないと判断」したとされています。

9-7-3の内容との関係がいまいち理解できませんが、9-7-3では「たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることができるもの」が要件とされているところ、この会社のポイントサービスは金銭での払い戻しはなく、1円で販売されているものもおそらく無いであろうことからすれば9-7-3の要件を満たさないと考えられます。

なお、同社は審判所の判断を不服として東京地裁に訴えを提起しているとのことですが、個人的には厳しいのではないかと思います。

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