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4月1日に施行されるフェア・ディスクロージャールールとは?

2017年12月27日に平成29年金融商品取引法改正に係る政令・内閣府令等が公布され、改正金融商品取引法および関連政令・内閣府令等が2018年4月1日から施行されることとなりました。

フェア・ディスクロージャールールは、上場会社に対して公平な情報開示を求めるものであることは名前から想像できますが、具体的にどのような内容となっているのかを簡単に確認しておくこととしました。

最低限理解しておくべきことは、フェア・ディスクロージャールールは投資家間の情報の公正性を確保するためのものであり、具体的には、上場会社等が未公表の決算情報等を証券アナリスト等に提供した場合、速やかにホームページ等に開示し、一般の投資家にも情報提供することを求めるものであるという点です。

欧米では既に導入されている制度とのことですが、現行の金融商品取引法では、金融商品取引業者等が、未公表の重要な情報であって顧客の投資判断に影響を及ぼすものを提供して勧誘することは禁止されているものの(金商業府令117条1項14号)、同様の情報を発行者等が提供することを禁止するルールはありませんでした。

上場会社等の場合、機関投資家から個別面談の申し込みがありそれを受けることもあれば、IR活動として会社が積極的に機関投資家と面談の機会を設けることもあり、そのような面談の際に、つい未公表の情報をいってしまうということもないとはいえません。

実際、日本でもフェア・ディスクロージャールールが導入されるきっかけとなったのは、最近において、上場会社が証券会社のアナリストに未公表の業績に関する情報を提供し、当該証券会社が当該情報を顧客に提供して株式の売買の勧誘を行っていたという事例が複数発覚したということがあったことによるとされています。

上場会社側の感覚からするとインサイダー情報と似通っているように感じますが、フェア・ディスクロージャールールで求められる情報の範囲は、インサイダー規制における重要情報よりも範囲が広くなっています。

この点に関連して、フェア・ディスクロージャーガイドラインの「問2 上場会社等はどのような情報を本ルールの対象となる情報として管理すればよいのでしょうか。」において以下のように回答が示されています。

(答)
本ルールを踏まえた情報管理については、例えば、上場会社等は、それぞれの事業規模や情報管理の状況に応じ、次のいずれかの方法により重要情報を管理することが考えられます。
① 諸外国のルールも念頭に、何が有価証券の価額に重要な影響を及ぼし得る情報か独自の基準を設けてIR実務を行っているグローバル企業は、その基準を用いて管理する
② 現在のインサイダー取引規制等に沿ってIR実務を行っている企業については、当面、
インサイダー取引規制の対象となる情報、及び決算情報(年度又は四半期の決算に係る確定的な財務情報をいいます。③において同じ。)であって、有価証券の価額に重要な影響を与える情報を管理する
③ 仮に決算情報のうち何が有価証券の価額に重要な影響を与えるのか判断が難しい企業については、インサイダー取引規制の対象となる情報と、公表前の確定的な決算情報を全て本ルールの対象として管理する


この3つの方法のうち、最低限の情報管理の範囲は②となります。

最低限の情報管理が②とされており、かつ、その②において「インサイダー取引規制の対象となる情報、及び決算情報」とインサイダー取引規制の情報+αがフェア・ディスクロージャールールでは規制の対象となっているということがわかります。

決算情報に関してより具体的には、インサイダー情報規制では軽微基準により規制の対象外とされるものであっても、フェア・ディスクロージャールールにおいて規制の対象となるということになります。

上場企業のIR担当者とすれば、今まで以上に気を遣う必要がありそうですが、一方で以下のような情報については、ルール適用の対象外とされています(ガイドライン問4)。

①今後の中長期的な企業戦略・計画等に関する経営者と投資家との建設的な議論の中で交わされる情報は、一般的にはそれ自体では本ルールの対象となる情報に該当しない。ただし、中期経営計画の内容として公表を予定している営業利益・純利益に関する具体的な計画内容などが、それ自体として投資判断に活用できるものである場合であって、その計画内容を中期経営計画の公表直前に伝達するような場合は、当該情報の伝達が重要情報の伝達に該当する可能性がある。

→結局のところ、数値化した情報はルールにひっかかる可能性が高いということのようです。

②既に公表した情報の詳細な内訳や補足説明、公表済の業績予想の前提となった経済の動向の見込みは、一般的にはそれ自体では本ルールの対象となる情報に該当しない。ただし、こうした補足説明等の中に、例えば契約済みの為替予約レートの数値のような、その後の実体経済の数値と比較することで容易に今後の企業の業績変化が予測できる情報が含まれる場合は、当該情報が重要情報に該当する可能性がある。

③工場見学や事業別説明会で一般に提供されるような情報など、他の情報と組み合わせることで投資判断に活用できるものの、その情報のみでは、直ちに投資判断に影響を及ぼすとはいえない情報(いわゆる「モザイク情報」)は、それ自体では本ルールの対象となる情報に該当しない。

では、上場会社が未公表等の決算情報等をアナリスト等に提供してしまった場合にどうなるかですが、この場合は、速やかにホームページ等において当該情報を開示する必要があるとされています(TDnetやEDINETを利用することも可能です)。

ちなみに、ホームページに当該情報を掲示する場合、「容易に重要情報を閲覧することができるようにされている」必要がありますが、これは必ずしも自社ホームページのトップページに掲載しなければならないというわけではないとのことです。

一般投資家はそれほど上場会社の投資家向け情報サイトを見ていないような気がする上、会社によってはIRページがわかりにくいところにある会社もあることから、そんなものでよいのかなという気はしますが、とりあえずルール上はそうのようになっているとのことです。

会社側からすると余計なことは話さないを徹底し、実務慣行がどのように形成されていくのかを見守るということになるのではないかと思います。

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