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取得後3ヶ月の実績でのれん6億円の減損、そして上場廃止

2018年8月2日付で日本取引所のHPにジャスダックに上場している(株)ソルガム・ジャパン・ホールディングスの上場廃止の決定が掲載されていました。

2018年7月号のFACTAに”「ソルガム摘発」偽計・背景に照準-監視委がやっと「悪巧みの巣」にメス。上場維持の粉飾、DCF法の「魔法の杖」とやり放題”という記事が掲載されていたのを見ていたので、結局上場廃止になったのかと思いましたが、会社のリリースは確認していなかったので、上記記事で取り上げられていた「のれん」の減損について確認してみました。

同社は2017年11月14日に株式会社アズシステムという会社を第三者機関の評価に基づき簡易株式交換で取得し、のれんを計上する予定であったところ、第3四半期中にのれんを全額償却しています。

同社が2018年2月28日に開示した「営業外収益、営業外費用及び特別損失の計上に関するお知らせ」では以下のように記載されています。

当社が平成 29 年 12 月5日に簡易株式交換にて子会社化しました株式会社アズシステム(以下、「アズシステム」といいます。)取得時に発生するのれん 604,609 千円について、当社がアズシステムを子会社化する時点における事業計画と、子会社化後の平成 29 年 12 月、平成 30 年1月、及び平成 30 年2月の営業実績を検証した結果、当初の事業計画は実現しておらず、アズシステムの前株主であるグリーンツリー東京株式会社の簡易株式交換時における表明保証違反(注1)も判明したことから、今後の将来計画を見直した結果、事業計画の達成は困難であると判断し、当社は、アズシステムののれん償却額として全額一括償却し、604,609 千円を特別損失に計上いたしました。

色々書かれていますが、それにしても取得後たった3ヶ月の実績でのれんを全額償却しなければならないというのは、普通はありえない内容です。ちなみに表明保証違反としては以下の項目が挙げられています。

①1年以上滞留の売掛債権46,910千円
②現預金の不足5,191千円
③未納労働保険料5,623千円
④未納社会保険料27,977千円

上記項目については、表明保証違反で支払いを受けることで損害の回復を図るとされていますが、表明保証をとっても実際回収できるとは限らないことからすると、単なる杜撰なM&Aといえそうです。

①については、「アズシステムの説明では回収可能と説明を受けておりました」とされていますが、1年以上滞留の売掛債権を回収可能と説明をうけたからハイそうですかと評価するか?というのが普通の感覚でしょう。

②につていは、「当社がアズシステムの子会社化にあたり、財務内容の調査を第三者機関に依頼し、その調査結果において現金1,321千円、預金3,870千円、合計5,191千円の不足を指摘されましたが、株式交換時におけるアズシステムの帳簿には当該金額が記載されていたことから、実在するものと理解しておりました。」って、DCFの評価は採用しても、現金不足の指摘は会社の帳簿を信用してしまうというのは、ありえないと感じます。

③、④は資金繰りが厳しい会社では比較的よるある事項なので、表明保証とればDDは適当でもいいやという姿勢が窺えます。

会社は「当社及び当社元代表取締役宮嶋淳氏等の当社関係者が反社会的勢力との関係を有するかのように記載されていた」としてFACTA誌に対して訴訟を起こして「名誉毀損による不法行為に基づく損害賠償等を請求し」、結果、 「1,320,000 円及び遅延損害金を支払うよう命じました。」と勝訴していますが、反社勢力との関係はともかく、上記のDCF法による評価と、その後の減損(一括償却)は普通に考えてかなり怪しいというのが普通の感覚ではないかと思います。

むしろ、評価額ありきでDCF法で高い評価額をつけるようFAに依頼したとか、その評価額をつけるのは結構大変だったという部分のFACTAの記事は信憑性が高いように感じます。

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