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18年3月期は定額法から定率法に減価償却方法を変更した会社が1社

経営財務3374号に2018年3月期に会計方針の変更を行った件数のまとめが掲載されていました。

近年の傾向のとおり有形固定資産の減価償却方法の変更が41社と多くなっていますが、このうち1社は定額法から定率法への変更を行っていると紹介されていました。

後学のため、どのような理由づけになっているのかを確認しておくと、以下のように開示されています。

日新製鋼(東一,鉄鋼,連結、あずさ)
(会計方針の変更)
(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)
 有形固定資産の減価償却方法については、従来、定額法を採用していたが、当連結会計年度より当社及び国内連結子会社において、建物、建物附属設備及び構築物の一部を除き定率法に変更している。
 この変更は、当社が新日鐵住金株式会社の連結子会社となったことに伴い会計処理の統一を図るとともに、今後、新日鐵住金グループにおいて推進する事業構造改革による同種設備間での最適な生産配分等により設備の生産性が向上していくことを踏まえた変更である。
 この変更により、従来の方法に比べて当連結会計年度の減価償却費が4,639百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ3,996百万円減少している。

親会社と会計処理を統一させたというのが実質的な理由だと思われますが、後段に付加されている「今後、新日鐵住金グループにおいて推進する事業構造改革による同種設備間での最適な生産配分等により設備の生産性が向上していくことを踏まえた変更」という部分は定額法から定率法への変更の理由とどう関係しているのかをすんなり理解することができませんでした。

「設備の生産性が向上していく」とすると後半の方が収益獲得に貢献しそうな感じを受けますが、定額法から定率法への変更理由なので、機械でいえば新しい機械ほど稼働時間が高くなるということなのではないかと思います。

いずれにしても減価償却費が約46億円増加しても同社は18年3月期に税前で156億円利益を計上しているので立派ですね。

ついでに、同記事で紹介されていた会計方針の変更事例の一つに、退職給付債務の計算方法の変更の事例が掲載されていました。

三精テクノロジーズ(東二,機械,連結、新日本)
(会計方針の変更)
(退職給付債務の計算方法の変更)
 当連結会計年度より,当社の退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法に変更しております。この変更は,過去数年にわたって従業員数が増加傾向にあり,また,平成28年6月に策定された中期経営計画に基づく今後の業容拡大に伴い,さらなる人員増の可能性があることから,これを機に,退職給付に係る数理計算上の見積計算の信頼性を検証したところ,原則法の採用により退職給付債務計算の精度を高め,退職給付費用を期間損益計算により適切に反映することができると判断したために行ったものであります。
 (以下省略)

 
 書きぶりからすると、300人は超えていないものの、精度の高い計算が可能なので原則法に切り替えたというように読めます。
 
 そこで同社の開示資料を確認すると提出会社の従業員数は257名(前年:244名)、連結ベースでは1081名(前年:809名)となっていました。連結ベースの人数は昨年に比べて大きく増加しているものの、もともと相当数人数がいたことから判断すると、親会社の数理計算が高い精度で行えるようになったということだと推測されます。
 
 22歳入社60歳定年で従業員のバランスがとれていると平均年齢は41歳前後になると考えられますが、同社の招集通知で提出会社の平均年齢等を確認してみると、平均年齢が42.2歳、平均勤続年数が16.2年となっていました。簡便法の基準となる300人は18歳入社で60歳定年を想定した場合、各年齢あたり7~8名いれば精度を保った計算が可能ということから設定されているとされています。
 
 今まで考えたことはありませんでしたが、仮に新卒採用は基本的に大卒という場合には、7×38年=266名程度バランス良く従業員が在籍していれば数理計算の精度を保つことができる可能性があります。同社の18年3月末の従業員数は上記の通り257名でこの人数に近く、平均年齢や勤続年数から考えて、従業員構成もきれいな分布をしていることが推測されますので、検討してみたら計算の精度を高めることができると判断されたということなのだと思われます。
 
 退職給付の簡便法といえば300人とすぐに思ってしまいますが、300人を超えても従業員構成が偏っていると精度の高い計算ができないことがある一方で、高卒採用を行っていない会社の場合は、300人に満たなくても原則法での計算が求められる可能性があるという点は認識しておいたほうがよいと思います。

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